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「モンゴルでは最近、お金がだんだん紙のようになっていきます」……これは、私の同僚でモンゴル人の日本語教師が言った言葉です。要するに「インフレが進んでいる」ということなんですが、世界中を悩ませている原油および小麦価格の高騰は、例外なくモンゴル庶民の家計も苦しめています。
先日、私が勤める大学の4年生の日本語会話の授業で「この国の問題」というテーマで発表させたところ、既婚の学生(モンゴルの大学には、既婚者や子持ち、妊娠中の学生がフツーに在籍しています)はみんな「小麦価格高騰」について話していたし、同僚の先生方も食料品の価格上昇で生活はかなり切迫している様子。大学内では各学部の学部長が結束し、学長に給料アップを直訴しに行くなんてこともありました。
そんな中、この問題がどれだけモンゴル人の生活を苦しめているのかという話ですが、例えば「モンゴル人の主食は?」と問われたら、ほとんどのモンゴル人が迷わず「肉」と答えるだろうと思われます。老若男女を問わず、とにかくモンゴル人は肉をよく食べます。そして、肉と並んで小麦粉を使った料理も多く、モンゴル料理として有名なボーズ(蒸し餃子)やホーショール(揚げ餃子)を筆頭に、モンゴル人がよく食べるツォイワン(肉入り蒸しうどん)も、スープに浸けて食べるマントゥ(具なし饅頭)も、小麦粉なしでは成り立たないモノ。で、餃子の皮もうどんの麺も既製品などなく、どの家庭でも小麦粉から作るのが一般的。小麦の値段が上がれば、その打撃はダイレクトに家計を襲うというわけです(食べる量もみんなハンパじゃないしね)。
そして、もちろんその波は私の生活にも押し寄せていて、周りのモンゴル人たちに同情されてしまうほど給料が安い私の食生活。基本的に朝食は食パンを3日で1斤、昼食はスーパーで購入した菓子パン2袋を4日に分け、週末の金曜日だけは大学の食堂を利用。で、夕食はアパートで自炊(ごはんとおかず一品)。…という感じなんですが、いつも買っている朝食用の食パンが3月に入ってから400トゥグルクから450トゥグルクに値上がりし、さらに4月も半ばにさしかかった頃、値上げだけでは採算が取れなくなったのか、どうもパン生地のキメが荒くなり、食感がボソボソになってきてしまいました。
さらに毎週金曜日、大学の食堂で昼食というのが唯一「贅沢なひととき」なんですが、4月に入ってこちらも遂に値上げ。心なしか食堂を利用する学生の数も少なくなってしまったような感じです。
しかし、そんな中で価格が高騰しているのは小麦製品だけではありません。同じ穀物である米の価格も、流行に遅れることなく着実に値上がりしています。
モンゴルでは、スーパーなどに行けば袋詰めされた上質の米が売られていますが、やはり貧しい生活を強いられている私は、市場で量り売りされている一番安い米を買っています。基本的に米を炊いて食べるのは夕食のときだけだし、5キロも買えば2か月弱くらいは食いつなぐことができるので、それほど頻繁に買うわけではないし、2月ごろまでは価格の変動もなかったんですが、つい先日、市場に米を買いに行ったときのこと。いつも利用している穀物屋に入ると、安い米が店頭から姿を消してしまっていました。仕方なく他の店を覗いてみてもやはり安い米はナシ。しかし、これは「安い米が売られなくなった」のではなく、単純に「米の値段がビックリするほど高騰した」というだけのことだったのです。
例えば私がいつも買っている量り売りの安い米、以前は1キロ560トゥグルクだったのが、そのとき760トゥグルク。米はいつも5キロ買っているので、2,800トゥグルクが3,800トゥグルクになってしまいました。1,000トゥグルクの値上がりです(しかも、それは4月上旬の話で、今はさらに価格が上昇しています)。ちなみに、私が住んでいる町で1,000トゥグルクあれば、喫茶店でティーパックの紅茶(贅沢品)が4杯も飲めます。
つい最近、私が日本語を教えている学生が「この国で生活が便利になるのは他の国より遅いのに、生活が苦しくなるのは他の国と同じです」と言っていましたが、小麦の値上がりに困窮するモンゴル人同様、私も米を主食とする日本人として、モンゴルで「米のありがたみ」をじっくり噛み締める毎日です。
※モンゴル通貨トゥグルクのレートは、1トゥグルク=約0.1円です(2008年4月現在)。
画像上:モンゴルの一般的な家庭料理、塩茹で肉のチャンスンマハ。おかずはジャガイモと練り小麦粉。
画像中:大学の食堂。手前に移っているのがモンゴル揚げ餃子のホーショール。
画像下:市場の一角で米や小麦粉などの「白い穀物」を量り売りしている店。おばちゃんが体中真っ白にしながらせっせと働いています。
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