チリ

■Isidora Goyenechea(イシドラ・ゴジェネチェア) 2007.12.18 update

サンチャゴのラス・コンデス地区にIsidora Goyenechea(イシドラ・ゴジェネチェア)という通りがあります。アメリカ大使館前から東の方向にのびており、ずっと先の噴水を挟んだ教会まで距離にして1km強です。周辺には、オフィスビルが建ち並んでいますが、高級ホテルやお洒落なレストランやパブなどもたくさんあり、美食街としても一日中賑わっています。

この通りの呼称は、イシドラ・ゴジェネチェア(1836−1897)という女性に由来します。通りの名前になったほどですから、単にセレブというだけでなく、社会的にも貢献した人だったのではと推測されるように、このイシドラさん、当時のチリで最も裕福な女性でしたが、自己中心的ではなく、いつも他者、とりわけ弱者に目を向けて、多くの偉業を行った人だそうです。

資産家の家に生まれ、富豪の男性と結婚し、良妻賢母となって、このまま順風満帆な生活が続くかと思われた矢先、37歳で最愛の夫に先立たれます。しかし、彼女の偉いところは悲しみに打ちひしがれて内に引きこもるのではなく、外に目を向けて自分の使命を見出していった点です。他人に任せきりだった夫のロタ炭鉱事業の運営を一手に引き受け、炭鉱労働者の待遇改善を自ら行った他、障害を患った炭鉱労働者のための保護施設や病院の建設、そして教育を広く普及させるための学校建設に私財を投じました。敬虔なカトリック信者であった彼女は、教会も2つ建てました。

以上、ざっとこのような経歴です。チリ人なら誰でも歴史の授業でこの“近代女性としての鑑”的存在を学ぶのですが、私は、2003年に上映された「Sub-terra(スブテラ〜炭鉱労働者の地下の世界〜)」で初めて知りました。映画ですから史実より美化され、分かり易くまとめられているとは思いますが、単純な私は素直に感動し、それまで覚えにくかったその通りの名前を完璧にインプットできました。

画像右:ブロックに区切られているチリ。全ての道に名前がついていて、各ブロックの角に表示されています。
画像左:イシドラ・ゴジェネチェアの道は綺麗に舗装されていて、スペイン語以外の言語を聞く頻度が多いのでヨーロッパな雰囲気が感じられます。
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では、イシドラ・ゴジェネチェア通りを少しご案内したいと思います。

地下鉄の最寄り駅はTobalaba(トバラバ)です。この駅を降りて、El Bosque(エル・ボスケ)通りを5ブロックほど歩くと左奥にアメリカ大使館、正面に拡張工事中のホテルが見えます。右手には、円錐形の幹に特徴のあるチリ椰子があります。そこがイシドラ・ゴジェネチェア通りの出発点です。

余談ですが、チリ椰子は森林火災で焼けても新芽が出てくるといわれており、とても生命力が強いそうです。ただし、成長が遅いので、イシドラ・ゴジェネチェア通りにあるような大きさになるには何百年もかかるということで、この椰子はとても大事にされています。チリ椰子を背景に、ぜひ写真を撮っていただきたいと思います。でも、この交差点は車がいろいろな方向から来るので、信号が青でも充分に注意して渡ってくださいね。

通りを渡ると、まず、小型スーパーと銀行があります。その先にはワイン専門店が2軒ほどあります。また、レストランも軒を連ねており、イタリア、スペイン、アルゼンチン、アメリカなど色々な国の料理が楽しめます。しかし今、チリのエリートビジネスマンの間では健康ブームが最盛で、野菜を中心にしたヘルシー系のレストランがダントツです。ともかく、この辺りのレストランは全てオープンテラス付きで、いい匂いの立ち込める料理を囲んで会話の弾んでいる人々の姿を目にすると、思わず中に入りたくなります。

画像左:Isidora Goyenechea(イシドラ・ゴジェネチェア)通りへの最寄り駅Tobalaba(トバラバ)です。
画像中:交通量の多い道の真ん中に見えるのがチリ椰子です。奥に見えるのは建設工事中のビルで、完成すればとても高いビルになるそうです。
画像右上:ワイン専門ショップ。品揃えが豊富です。
画像右下:仕事が終わってオープンテラスで一服する人達。
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イシドラ・ゴジェネチェア通りの中間地点付近には、芝生と子ども用遊戯具の備わったペルー広場があり、日中は母子連れやベンチで憩うお年寄りの姿が見られます。毎週日曜日はここで骨董品市が開催されます。この公園の下は地下駐車場となっており、遠い地区からも買い物客がやって来ます。

地下鉄ですと最寄り駅はEl Golf(エル・ゴルフ)になります。その名のとおり、近くに会員制ゴルフ場があります。かつては市の郊外だった所が、現在は新市街の中心地となっているわけで、サンチャゴで一番贅沢なゴルフ場かもしれません。

さらにアンデス山脈方面に向かってイシドラ・ゴジェネチェアを進んで行くと、まだまだレストランが続きますが、この他ドラッグ・ストア、高級家具店、本屋、土産店、高級ブティックなどがあります。道行く人たちも皆ファッショナブルで、私もよく散歩しながら個性的な装いを観察して楽しんでいます。

画像上左:ペルー広場は、ビルの中に囲まれた憩いのオアシスです。緑を求めて仕事をサボって休んでいる人もいます。
画像上中:ペルー広場の地下は駐車場です。ガラス張りのモダンな入り口。
画像上右:ペルー広場への最寄り駅El Golf(エル・ゴルフ)です。左奥に見える赤い建物はリッツ・カートンホテルです。
画像下左:かつて市の郊外だった所が、いまでは新市街の中心地。チリで一番高級なゴルフ場の入り口です。
画像下中:お土産屋さんも、家具屋さんも一級品のブティックです。
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イシドラ・ゴジェネチェア通りの最終地点は、ロレト広場と広場に面したカトリック教会です。最寄り駅は、Alcantara(アルカンタラ)駅。教会は小ぢんまりとしていますが、立地条件がよく、シンプルで落ち着いた趣きがあるので、週末は結婚式が目白押しです。

今年の冬(7月、8月)は例年にない寒さに見舞われたことに加え、路上駐車が禁止されたため、イシドラ・ゴジェネチェア通りにあるレストランはどこも客足が遠のいていました。現在、月曜日から金曜日の夜9時から明け方3時まで再び路上駐車できるようになり、初夏のような天候の続く春たけなわの今日この頃は、また活気が出てきました。

イシドラ・ゴジェネチェアはチリに来る人たちが必ず一回はここで食事すると言われるほど有名な場所です。冷えた白ワインに生ウニでもいかがですか。それとも、生ビールにCongrio(コングリオ=穴子)のフライがよろしいでしょうか。

画像左:ロレト広場です。木陰が多く、子供たちが良く遊んでいます。
画像中:ロレト広場の噴水の奥にあるのが、小ぢんまりとして人気の教会です。
画像右上:ロレト広場の最寄り駅Alcantara(アルカンタラ)の入り口です。
画像右下:ウニです。身がプリプリして美味なる贅沢です。
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