ラオス

■ポンサムレットカーンスックサー 卒業の夏(大学編) 2007.10.2 update

去る9月3日(月)、ラオス国立大学の卒業式が行なわれた。就職難が深刻さを増すなか4,000名を超える学生がラオスの最高学府を巣立っていった。ポンサムレットカーンスックサーはラオス語で「卒業する」の意。

《第7回ラオス国立大学卒業証書授与式》
ラオス国立大学の全学部学科による合同卒業式が9月3日、朝8時からドンドークキャンパスの経済経営学部の講堂で行なわれた。大学総長はじめ学部長、学科長、教職員ら関係者以外に、ソムサワート副首相、ソムコット教育大臣ら来賓が列席するなか、一人ひとりに卒業証書が手渡された。卒業生は、学位と修士を合わせて4,440名(うち女性1,493名、34%)だった。一方、卒業年次にあたる学生の約200名が留年または退学した。

ソムサワート副首相はこの日、「卒業しても引き続きベストを尽くすように」と挨拶し、卒業生たちを激励した。「この卒業証書は君たちの大学での勉強がまさに終わったことを示している。これからは理屈ではない本当の問題が待ち構えているだろう。君たちが学んだ知識をフルに生かして、君たちの人生と社会とをよりよいものにしてほしい。それが国の将来の発展にもつながるものと私は確信している」と祝辞を述べた。

ドンドークキャンパスは首都ビエンチャンの郊外(北約10km地点)にある。大学の1kmほど手前からは道路沿いにバケツを並べただけの即席の花屋が花束やブーケ、ぬいぐるみを売っていた。大学構内への自家用車やバイクの乗り入れが禁止されたにもかかわらず駐車場が十分に確保されなかったため、路上に駐車した車が道をふさぎ大学の周辺は大渋滞した。

プラカードを先頭に学部学科ごとに講堂に入り、卒業証書を受けとったあとは、おもいおもいの人とおもいおもいの場所で会って祝福を受け、花束や記念品をもらい、それを両手一杯に抱えて記念写真を撮った。

いくつかの待合所にはスクリーンやテレビが設置された。講堂に入れない父兄や関係者のために、構内のようすが生中継された。待合わせ場所に現われない息子や娘の呼び出し放送が絶え間なく流された。「○○学部○○学科卒業の○○さん、お母さまがお待ちです。○○へ行ってください」。最後の学生が証書を受け取ったのは午後1時ごろだった。

校内にはジュースや菓子、サンドイッチ、やきそばなどの屋台が立った。携帯電話が混線してまったくつながらなかったのは例年のことで、電話会社ラオテレコムが出向して交換台を設け有線の電話を複数設置、通話サービスを行なった。

もっとも多くの卒業生を出したのは教育学部の943人で、逆に少なかったのは建築学部の35人だった。その他、人文学部546人、経済経営学部314人、工学部255人の順に多かった。

《ラオス国立大学のあらまし》
ラオスの教育制度は5-3-3-5制で、小学校5年、中高3年、大学5年(一部7年)となっている。教育制度の改定がいわれているが、いまのところ小学校5年生までが義務教育である。9月に入学(始業)して7月に終業。8月に卒業式(夏休み)がある。前期・後期の2学期制で、各年次は2006-2007年度(昨年度)、2007-2008年度(新年度)のように表されている。

ラオス国立大学は1996年に創立。教員養成学校と複数あった高等教育機関とを統合してつくったラオス初の総合大学だった。その後、新たにチャンパーサック大学(2002年創立、チャンパーサック県)とスパヌウォン大学(2003年創立、ルアンパバーン県)と2校の大学が開学している。昨年11月に本学の創立10周年記念式典が行なわれた。大学の建学の理念の一つとして多民族国家の芸術・文化・伝統の保護と拡大を掲げているのが特徴で、基本理念として世界に通用する人材の育成を謳っている。今年の卒業式は通算で7回目。

クウォーター制(地方や官公庁の推薦制度)で約20%の学生が推薦を受けて入学している。残り80%は全国区での入学試験の合格者が入学する。1年次は全員が基礎教養課程で学び、2年次から各専門の学部に分かれて学ぶ。単科大学を統合してできた大学だということもあってキャンパスが7つある。近年、夜間学部の学生の入学希望者が増加して受け入れ枠も徐々に拡大している。各学部事務と教員の重要な副収入源になっている。

制服はないが、男子学生は白シャツに黒ズボン、女子学生は白シャツに柄のないシン(伝統の巻きスカート)をはく決まりで、違反者は授業が受けられない。ラオス青年同盟の学生班がブルーのユニフォームを着て学内を見回り、規律委員の役割りを果たしている。

学科や学科内の1クラスが揃いのTシャツをつくることはこれまでもよくあった。ところが学部単位で色違いのネクタイが出回り始めた。所属学部ごとに決められた色のネクタイ(たとえば社会学部はブルー)を普段からつけることで学部の結束を強めるのに用いられているようだ。女子学生もネクタイをつけるが、制服という感じではなくファッションの一部として利用されている。卒業式など特別な式典に出るときはともかく、学生が通常の授業時にネクタイをつけることはこれまでまず見られなかったが、これが近年の流行のようだ。

本学の教職員は1,884名、そのうち教員は1, 203人(うち女性466人、39%)で、博士58人(女性13人)、修士号取得教員384人(女性98人)となっている。学生は26,673人(女性9,415人、35%)で、そのうち539人(女性45人)の留学生を受け入れている。年間予算は約300億キープ。=2006年度の統計より=

参考(1):大学付属機関
大学中央図書館
教員養成センター(TDC)
人口動態研究センター(PSC)
ラオス日本センター(LJC)
アジア研究センター(ARC)
ラオス日本技術訓練センター(LJTTC)
情報技術センター(ITC)
環境開発研究センター
遠隔地教育センター(CDEC)

参考(2):学部など
□学部 □専攻 □所在地
基礎教養課程 大学1年次 ドンドーク・キャンパス
文学部 ラオス語学、フランス語学、ドイツ語学、ロシア語学、日本語学、
中国語学、朝鮮語学、ベトナム語学
ドンドーク・キャンパス
社会学部 史学、地学、政治経済学 ドンドーク・キャンパス
教育学部 教育行政学、教授法カリキュラム学、心理学 ドンドーク・キャンパス
農学部 土壌分析学、畜産酪農学、獣医学 ナボン・キャンパス
林学部 林学 ドンドーク・キャンパス
法学部 法学、経済行政法学 ドンノクム・キャンパス
医学部(※) 医学、歯科学、薬学 ピアワット・キャンパス
理学部 数学、コンピュータ科学、物理学、生物学、化学 ドンドーク・キャンパス
工学部 電子電気工学、土木工学、機械工学、灌漑学、交通学 ソッパルアン・キャンパス
タットーン・キャンパス
建築学部 建築学 ポンパナオ・キャンパス
経済・経営学部 経済学、経営学 ドンドーク・キャンパス
(※)2007年10月からラオス国立大学(教育省管轄)より分離、保健福祉省管轄下の付属機関になる予定

参考(3):国外の提携校
=国別ランキング2007年=
1位 日本 13校
2位 ベトナム 11校
3位 タイ 10校
4位 フランス/韓国 各9校

=その他の提携大学=
中国(6校)、アメリカ/ニュージーランド(各4校)、ドイツ/カナダ(各3校)、オーストラリア/スウェーデン(各2校)、ロシア/デンマーク/ポーランド/カンボジア(各1校)

=提携している日本の大学(13大学)=
名古屋大、京都大、神戸大、明治大、東京外大、東海大、立命館大、琉球大、立教大、創価大、東京農工大、愛知学院大、日本大

=提携する日本の機関=
たちかわIT交流会、NEF(財団法人)長尾自然環境財団、熊本ラオス友好協会、山田長満(おさみつ)奨学金、JIRCAS(独立行政法人国際農林水産業研究センター)、JICA(国際協力機構)、Japan Foundation(国際交流基金)
※数年前まで藤本基金、IGES(財団法人地球環境戦略研究機関)、世界市民クラブ(WCCPR)、長谷部基金との提携もあった。

画像上右:大学本部棟の前で
画像上左:講堂のそばで卒業証書をもらう順番を待つ学生たち
画像中:卒業証書を手に、はいポーズ!
画像下右:たちかわIT交流会がラオス国立大学と提携(日刊工業新聞2007年9月7日付け)


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