特定非営利活動法人『ラオスのこども(Action with Lao Children)』はラオスを代表する老舗のNGOの一つ。このほど25周年を迎えたと聞き、取材した。
《25周年記念イベント》
去る8月4日(土)、およそ1,000人の聴衆が国立文化ホールの会場を埋めた。『ラオスのこども』の25周年を共に祝うために集まった子どもも大人も興奮して式典が始まるのを待っていた。
スバンさん(情報文化省中央子ども文化センター長)が司会者として壇上に上がり開会を宣言。ダラーさん(『ラオスのこども』ラオス事務所代表)がこれまでの会の活動を振り返った。
本が極めて少ないラオスにおいて128タイトル60万冊の本を出版。ラオスの小中学校161校に図書室を開設。全国2,650校に本を配付。子どもたちが、工作、絵画、詩、音楽、踊りなどの表現活動に参加できる子ども文化センター9ヶ所の運営を支援。また、教員対象の読書推進セミナーや作家育成のためのコンクールの開催など、表現活動や教育に携わる人材の育成に取り組んでいる。
センドゥアン副大臣(ラオス教育省)が、「私は今日この式典に参列できたことを心より光栄に思います。当会の功績を、ラオスの子どもたちへの並々ならぬ寄与を知るものであります」と会の偉大な功績をたたえた。25年間に及ぶ当会の活動は、ラオスの教育史上重大な位置を占めたといえる。
チャンタソン共同代表が、「ラオス国の教育行政の発展により、より多くの人が喜びを分かち合えるように、NGOを含む民間組織とラオス政府とのさらなる協力関係の構築を望みます。25周年を祝うこの式典は、「ラオスのこども」のスタッフのためだけでなく、本を読むことに興味を持っている人や本の読み聞かせによって子どもたちにその機会を提供しようと努めているすべての人々を励ますものです。人前で話をしたり、好きな絵を描いて見せたり、また伝統舞踊を踊ったりする機会を子どもたちもまた大人と同様に享受してきた25年の歩みでした」と挨拶。
コンドゥアンさん(ラオス国立図書館館長)の挨拶があってから、子どもたちによる歌や踊りの披露が続いた。CEC(ビエンチャン都子ども教育開発センター)や子どもの家、また村の図書館で日ごろ練習している成果のお披露目で、「シンサイ」(ラオスの民話)の朗読、「花」の混声合唱、伝統舞踊、ラップ調のダンスB-boy、読経に節をつけたコーラスなどなど。エンディングには会の関係者が一同に舞台に上がり、『ラオスのこども』が出版した本の詩にメロディーを加えたオリジナルソングの大合唱で幕を閉じた。
《イベントの舞台裏》
ダラーさんから25周年を記念して何かやりたいという話は以前からあった。しかし予算的にも式典だけのためにチャンタソンさん(当会の代表)にビエンチャン入りしてもらうわけにもいかず、それならば代表がラオスに来る予定の8月ごろにやろうという話は出ていたが、イベントの日程が最終的に決まったのはイベント開催のじつに3週間前だった。
しかし、開催を決定してからの動きは早かった。ラオス事務所は、総力を挙げて関係団体に協力を呼びかけた。その結果、通常より安く借りることができた会場費と垂れ幕2本分の費用以外は、つまりポスターやラオス語リーフレットのデザイン料や印刷費、招待状の印刷費、当日の子どもたちのための昼食代などは、ラオス国内の関係団体が支援してくれた。
今回のイベントの後半は、子どもたちによる発表の場に当てた。前日のリハーサルでは、歌を唄う前になかなか立ち位置が決まらずやきもきした。でも当日はびしっと決められるあたり「ラオス人は本番に強い」と思った。イベント終了後、照明が手際よくできなかったという反省等あったものの、内容は完璧な出来栄えだった。8月7日付けのビエンチャンタイムズ紙とビエンチャンマイ紙にイベントの様子が大きく取上げられた。
《ラオス駐在日本人スタッフよもやま話》
現場に来ると、東京事務所にいたときには、分からなかった、見えていなかったことがよく見えてくる。当たり前のことだが、活動がうまくいっているところとそうでないところがある。ほこりをかぶっている本を見ると、「なんでだろう」と落ち込むが、積極的に活動しているところに行くと、とても元気が出てくる。
現場の仕事は、会が行なっている活動に対する反応がすぐに分かるところにやりがいがあるように思う。今回の25周年記念のイベントは、ラオス事務所主体で行ない、大成功だったと思う。愚痴を聞くことも度々あるけれど、ラオス事務所のスタッフは、とても頑張っているとつくづく思う。
当会の自慢はラオス人が主体だということ。日本人の役割は、前に立つのではなく、裏方で活動がうまく進むようコーディネートすることである。NGOが果たす役割についてはこれからも様々な角度からいろんな人の意見に耳を傾けていきたい。
《基礎データ》
特定非営利活動法人『ラオスのこども(Action with Lao Children)』
(1)ラオス事務所のスタッフ
代表者:ダラー・カンラヤ
日本人スタッフ:猿田由貴江
ラオス人6名、日本人1名
(2)ラオス事務所の連絡先
ウェブサイト:http://deknoylao.org
TEL/FAX:021-213449
E-mail::alclao@laopdr.com
(3)会員数(日本国内)
約130の個人と団体
(4)年間予算(2006年度)
約160,000ドル
(5)活動分野
教育支援
(6)活動目的
子どもが自らの力を伸ばす権利、人生を主体的に選択する権利をまっとうできるよう、教育の普及に協力することで、公正で平和な地球社会づくりに貢献する。
(7)活動概要
<図書出版>
昔話、創作絵本、海外文学作品、辞書など、子ども向けを中心としたラオス語の図書や紙芝居を出版
<読書推進>
ラオス国立図書館の読書推進運動に協力。小中学校に本のセットを届け、子どもと本の出会いを広げる。また、継続的に読書に親しむことができるように空き教室に本棚などの備品を整備し運営方法を伝え、図書室を設置
<子ども文化センター>
図画工作、詩、音楽、踊りなど、学校ではあまり行なわれない表現活動の運営を支援
<人材育成>
図書の作り手、図書室の担い手など、表現活動や教育に携わる人材の育成
(8)沿革
1982年 |
ASPBラオスの子どもに絵本を送る会として発足 |
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日本語の絵本や学用品を寄贈する |
1990年 |
ラオス語の本を初めて出版する |
1991年 |
ラオスビエンチャン事務所開設 |
1992年 |
一般図書、古典、創作作品を出版する |
1993年 |
移動図書箱運動スタート |
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東京事務所開設 |
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日本の絵本にラオス語を貼付して送る活動を始める |
1994年 |
子ども文化センターを設立 |
1995年 |
紙芝居の普及活動を始める |
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初めて学校図書室を開設 |
1998年 |
ラオスの紙芝居を日本で出版する |
2002年 |
外務大臣表彰 |
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法人格取得を機にデックノイラオ(ラオスのこども)と改称 |
2003年 |
民話絵本コンクール、紙芝居コンクールを開催 |
2005年 |
ビエンチャン都子ども教育開発センター設立を支援 |
2007年 |
創立25周年記念イベント開催 |
画像上右:シンサイ(ラオスの民話)の朗読は詩を暗誦して輪番で発表した。
画像上左:コーラスはラオスの伝統曲に交えて日本語の歌「花」も唄われた。
画像中:ロビーでは当会が出版した本の販売が行なわれた。
画像下右:『ラオスのこども』ラオス事務所は、ラオプラザホテル前の通りを空港方面に車を2、3分走らせると右側にある。信号機のある交差点からは350メートルほど。
【謝辞】本稿は、ラオス駐在日本人スタッフの猿田由貴江さんに伺った話と、いただいた資料を元にまとめました。猿田さんには訪問客の多い時期にもかかわらず、取材を快く受けていただきました。また貴重な資料や写真をたくさん提供していただきました。ありがとうございました。 |