ラオス

■ビールを飲んで省エネに貢献 2007.7.3 update

ビアラオ(Beer Lao)は、ラオスを代表するビール・メーカー「ラオ・ブリュワリー社(Lao Brewery Co., Ltd)」が製造するビール。現在、日本のほか、アメリカ、フランス、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、カンボジア、ベトナム各国に輸出されている。日本で開発された省エネ技術が近頃ビアラオに導入されたと聞き、取材した。

《省エネ事業》
地球温暖化対策の一環として、エネルギー消費の削減と炭酸ガス(温室効果ガス)排出量の削減を目的に、プロアクト(コンサルティング会社)と株式会社マエカワがNEDO(新エネルギー産業技術総合開発機構)より事業を委託され、2005年にビアラオが導入を決定、2006年末に完成、2007年から本格的に稼動している。このシステム導入により年間で2,400トン(40%)の重油を節約できる。同時に年間7,500トンの二酸化炭素(CO2)の排出を抑える。2010年では年間のビール生産量1億6,000万リットル(見込み)に対して3,400トンの重油が節約できる見通しだ。今回の新システムの導入には170万ドルを投じたが、2〜3年で回収できる見込み。ラオス初のCDM認可事業(= Clean Development Mechanism)としても期待がかかる。

【蒸気再圧縮システムの導入】水と麦芽とホップをまぜて釜に入れて加熱するというビールを製造するプロセスでは、大量の熱を消費する。ビアラオ工場では重油ボイラーで高温の蒸気をつくりビンを加熱、消毒しているが、日本の工場と比べて重油の消費量が多かった。そこで煮沸後に釜から出てくる蒸気を高性能ヒートポンプで再圧縮して加熱し再利用することで、重油の使用量を大きく削減した。ヒートポンプ駆動用の電力消費が大きくなるという難点があるが、ラオスでは国内の電力はすべて自国の水力発電所でまかなわれており、また近隣国に比べて電気代が割安であるため、工場内での省エネ、コスト削減につながった。

上記以外に、低温殺菌工程の効率化とバイオガスの利用を始めた。生ビールは低温殺菌せずに出荷されるが、通常ビンビールと缶ビールは品質を長期間保つために低温殺菌して出荷されている。温度の違う9つの蒸気室を順に通す工程だが、この蒸気室にヒートポンプをつなぎ発生する水蒸気を回収、循環させることで熱効率を高める。

またバイオガスの利用を始めた。これまで工場から出る汚水は、ろ過して川に流されるだけだったが、ろ過装置のわきにバイオガスを取り出して貯蔵するタンクを新たに設置。蒸気を作る際に重油の代わりにバイオガスを利用することで省エネにつなげる。

《工場見学》
ビエンチャン工場は市内から友好橋に向かって12キロ地点にあり、ここから全国に出荷されている。平日9:30〜11:00、13:30〜15:00まで一般に公開されており見学できる。見学者はビールの試飲ができる。申し込み不要で、無料。問合せ先は代表で021−812001、または812045まで。

《沿革》
1973年…フランス人の起業家とラオス人の起業家によって創業された。当時はビール製氷工場として年間にビール160万リットル、ソフトドリンク150万リットル、氷 120トンを製造した。
1980年…製氷部門を分離。
1988年…ソフトドリンク部門を分離。
1993年…ロックスレイ社とイタリアンタイ社と提携。出資比率はロ社とイ社で51%、ラオス政府49%。
1997年…ブランド名「タイガーヘッド」でミネラルウォーターの発売を開始。
2001年…ロ社とイ社との提携を解消。
2002年…カールスバーグ社(デンマーク)とTCCインターナショナル社と提携。出資比率はカ社とT社で50%、ラオス政府50%。
2005年…ビアラオ・ライト、ビアラオ・ダーク、カールスバーグの発売開始。年間でビール9,400万リットル、ミネラルウォーター750万リットルを製造。
2006年…省エネシステムを導入。

《世界が認めるビアラオ》
2003年…ベルギーのブリュッセルで開かれたモンデセレクションで金賞受賞。
2004年…フランスのパリで開かれた食の国際大会で国際賞受賞。
2005年…ロシアの大会で銀賞受賞。
同年…ベルギーのブリュッセルで開かれたワールドセレクションで銀賞受賞。
同年…ニューヨークで開かれた品質に関する国際大会で入賞。


画像上:現在製造されているビアラオ製品
画像左:バイオガスに使う汚水処理施設(前方)と、工場の敷地内に積まれたビールケース

【謝辞】本稿は、ビアラオ工場のエネルギー技術担当のサイサナさんに伺った話を元にまとめました。サイサナさんには忙しい中、工場内の設備を詳しく説明していただきました。また貴重な資料を提供していただきました。ありがとうございました。


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