■「言葉」について 2008.5.13 update

待望していた春はあっ気なく過ぎて去り、一気に夏のような気候になってきたオーストリア・ウィーン。年々春の期間が短くなってきているように感じるのは気のせいでしょうか?

観光客であふれかえっている、1区のケルントナー通りやグラーベンを歩いていると、聞こえてくるのはロシア語とイタリア語。たまにドイツ人のドイツ語が聞こえてきます。ウィーンを訪れる日本の観光客はガクンと減った感じがします。と言うことで今回のテーマは「言葉」です。

先日、街を散歩していると、見知らぬ年配の女性が突然話しかけてきました。年齢はだいたい50歳前後、体重はふくよかな感じでしたので、最低でも80キロ以上はあるでしょう。丁度1ヶ月前に日本へ旅行してきたとのこと。どうしても話を聞き、かつ理解できるわたしと会話したかったのではと思いました(ちなみに日本人と見抜かれたのはさすがです) 。

「10日間ほどの旅行だったが、とても充実したもので、来週もう一度行くことができるならまた行ってみたい」と、興奮さめやらぬ感じでした。「日本は建物、自然がいたってすばらしい(私:ウィーンの各種建築物も歴史があり大変立派。そして、郊外には世界に誇るウィーンの森が存在しますが…)」、「町々はウィーンと比べるといたって清潔(私:ウィーンも、他のヨーロッパの街と比較すると町は大変整備され、美しく保たれていると思うのですが…)」と、いたって感動した話しっぷり。

日本食も彼女に口にあったようで、いろいろな食事を試してすべて美味だったが、特にきれいに盛られた芸術品のような懐石料理が気に入ったとのこと。京都や奈良への小旅行。池袋の「リョカン」に宿泊し、「タタミ」の感触を経験し、日本文化を堪能したことを身振り手振りで話してくれました。

彼女のドイツ語の発音を注意深く聞いていると、どうやら典型的なイギリス人(とはいっても、大変ドイツ語レベルの高いイギリス人の発音)の発音に聞こえたので、彼女が一息ついた時に質問してみました。すると、彼女は「なるほど。わたしの発音から判断してイギリス人と思ったのね。確かにわたしはロンドンでの生活も結構長いのよ。今はウィーンに住んでいますが実はハンガリー人」と言いました。

続けて、「それにしても、日本では英語が通じなくて大変困ったわ。人々は基本的には親切だったけれど、旅行者で道に迷っているわたしに、誰一人として声をかけてくれることもなく、通りすがりの人に道順を聞こうとすると、わたしから逃げていく始末。これじゃあ日本もだめよ。英語ぐらい話すことができないなんて国際基準と比べると時代遅れ。今の時代、英語ぐらいまともに話せなくては、他の国から取り残されてしまうわよ! 教育システムを根本的に変えるなど、今何か行動を起こさなくては隣の大国、中国からとり残されてしまうわ」と、彼女は自分の意見を早口でまくし立てました。そこで黙っていてはいけないと、わたしは彼女に反論意見を展開しました。

「『When in Rome, do as the Romans do(郷にいれば郷に従え)』とはよく言ったものです。スペインではスペイン語。イタリアではイタリア語。オーストリアならドイツ語と、それぞれの地域にそれぞれの言葉が存在していいんですよ。別に英語を話せなくても、自国でのみ生活するなら、それはそれでいいのではないですか? もちろん、英語を話すことができれば、外国人とのコミュニケーションをはかれることはもちろんです。英語を架け橋とし、仮に外国旅行をしても、英語を話せる人を見つけることができれば、道に迷った場合もずいぶん時間のロスを防げるでしょうし、ストレスもたまらないでしょう。しかし、英語ができるからといって一人前の人間という評価は、白人優越意識(特にイギリス人とアメリカ人)の押し付けです。今では世界各地で日本人が生活していますが、なにも英語ができるからといって尊敬されているわけではないでしょう。一般的に礼儀正しい、身ぎれい、親切な国民として好かれているわけで、英語力のおかげでないはずですよ」と少し感情的になりながら、一気に投げてこられたボールを打ち返しました。

日本が褒められるとうれしいものですが、たまたま(一昔前と比較すると話せる人も多くいると思いますし、まわりに人がいたり、スラスラはなせないといけない、とためらうのは日本人の完璧主義、はにかみがあるように思います)英語が通じなかったことで、「日本はダメ」のように言われるとむくむくと大和魂が起こってきたのは面白い体験でした。

そこでお互い時間が来たので、この即席討論会は「引き分け」ということで別れました。彼女は名刺を渡してくれたので、今度は彼女の店に手土産を持ってぶらっと顔出ししてみたいものです。さて第2ラウンドはいつ行われるのでしょうか?

【短信】過日、家族揃ってステファン寺院見学に行ってきました。毎日、横を通っていますが、なかなか中には入りませんので興味深く見学するとこができました。息子は3年生ですので、ウィーンがどのようにして大きな町、そして都市になっていったのか、またウィーンのシンボルであるステファン寺院についても勉強しています。息子の説明を受けながら「観光客気分」を味わうことができました。男だけで寺院のてっぺんまで343段の階段登ったりもし(けっこうしんどいですね)、楽しい日曜日でした。画像はその時の撮影したものです。

画像上右:ステファン寺院の内部
画像上左:側面からの写真
画像中右、中左、下右上:343段の階段を登り詰めた後の景色はすばらしいです
画像下左上:ステファン寺院の向かい側に立つHAAS HAUS。今はDO & COが経営するホテルおよびレストランです
画像下右下:たまたま止まっていたピンク色のMANNER(世界的に有名なウェハースブランド)のミニ


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