■ヨーロッパ最大の地中湖、ゼーグロッテ(SEEGROTTE) 2007.8.7 update

先週は35℃から40℃近い気温が続いたため家族全員がグロッキー気味でした。どこか近場で涼しいところはないものかと「ウィーン郊外ガイドブック」やインターネットで検索しました。プールはおそらく大勢の人でにぎわっているだろうし、オーストリアの観光地でエアコンを設置してある場所などまずないですし、いったいどこに行けば涼しくなるのかと思案していると、妻が「SEEGROTTE(ゼーグロッテ)はどう?」と提案しました。

ゼーグロッテはウィーン郊外に位置するヨーロッパ最大の地中湖。ウィーンの地下鉄構内の広告で見たことはありますが、まだ行ったことはありませんでした。ウィーン市内から17キロと宣伝していますが、私たちの家からは9キロ弱。行き先決定! 約20分で到着しました。

車を止めて入り口に歩き出すと、顔見知りのガイドのYさんが日本人グループと一緒に観光を終えて出てきたところでした。切符を買い求め、10分も待たないうちに「それでは今からツアーが始まります」との案内。グループは韓国人カップル、日本の若者3人、そしてイタリア人らしき家族3人と我が家の6人のこぢんまりとしたものでした。

私たちのガイドは、1.80メートル以上はあるがっちりとした体型のアジア系の男性。ジャッキー・チェン似の愛嬌のある笑顔で、もう少し背が低ければそっくりさんとして通用しそうでした。まずは「坑内は常時9℃ですので上着が必要です」との案内。妻に言わせると彼の語彙から判断して教育レベルの高い男性だということ。いったいこのガイドはどちらの国からオーストリアに来たのかと興味が全く違う彼のほうに向いていきました。

ある程度坑道を進んでいくと、イタリア人の女性が閉所恐怖症のためにツアーを断念し、入り口の方へと戻っていきました。ゼーグロッテはもともと石膏鉱山だったそうですが、1912年に突然起こった浸水のために鉱山は閉鎖されました。その後、1932年に観光地として再開されました。

450メートルの長く狭い坑道を通り抜けると、鉱夫のための休憩所が見えてきます。ここは鉱山の中でも一番気温が高く常時12℃だそうです。その後に見えているのは馬小屋。平均して20年前後坑内で酷使されたため、時間とともに視力をなくす馬もいましたが、恐怖心を取り除くために意図的に目を傷つけられた馬もいたとか。今なら動物愛護協会が黙っていませんね。

またこの鉱山ではディズニー映画「三銃士」の一部が撮影されました。撮影されたのは確か牢屋のシーンと思うのですが、「ここで三銃士が撮影されました」と自慢げに各国の言葉で書いてありました。また年二回、オーストリア国営テレビORFの子供番組「Tom Turbo」の撮影にも使用されているとか(子供たちはもちろん知っていました・・・・・)。

鉱山では、ドイツのハインケル社が第二次大戦末期に投入したジェット戦闘機「Heinkel He162」の一部が製造され、最終的には現在のウィーン・シュヴェッヒャード空港で仕上げられたそうです。2,000人あまりの強制労働者が動員されたそうですが、その大半はマウトハウゼン強制収用所から送られてきたそうです。

ジャッキー・チェン似の男性ガイド、映画「三銃士」、そして強制労働に従事させられた人たちのことを考えている間にツアーは大詰めを迎えました。スロープを降りると、ヨーロッパ最大の幻想的な地中湖が現れました。透明度は申し分なし。ボートでの約10分の遊覧でしたが、十分涼むことができました。残念ながら暗かったので写真が少ないのですが、その一部をお見せします。ツアー終了後に、ジャッキー・チェン似の男性ガイドに「出身はどちらですか?」と聞いたところ、なんと「ブータンからです」との答え。こちらがびっくりしました。

ゼーグロッテはウィーン郊外ですが、市内からの便もよくS-Bahn(国鉄)メードリンク駅まで1本、そしてメードリンク駅からゼーグロッテまではバスで7分程度。時間がもったいなければタクシーを利用しても良いでしょう。ウィーン市内の観光に飽きたというリピーターには良い観光スポットかもしれません。

□参考URL
ゼーグロッテ(SEEGROTTE)-ドイツ語/英語-:http://www.seegrotte.at/
オーストリア国鉄(OeBB)-ドイツ語-:http://www.oebb.at/vip8/oebb/de/

画像上段右上:長い坑道。先頭は男性ガイド
画像上段左上:“ここで三銃士が撮影されました”との案内
画像上段右中:第二次大戦末期にドイツ空軍が実戦投入したジェット戦闘機「Heinkel He162」の模型
画像上段左下:このような遊覧船での観光
画像上段右下:水中からの光が醸し出す想的な世界
画像下段左上:地中湖の透明度は抜群


<<もどる