|
4月はほとんど雨が降らず、今年の夏は旱魃の恐れがあるといわれています。調査結果では今年4月の降雨量は通年と比べるとウィーンでマイナス97%の2mm。ちなみにザルツブルグはマイナス86%で12mm。快晴ばかりだと観光客にとっては有り難いかもしれませんが、農家などにとっては致命的です。オーストリアの酪農産業はヨーロッパで高品質で有名ですので、5月にはたくさんの雨が欲しいことでしょう。
先日、家族でカヌントゥム(Carnuntum)という町に行ってきました。ウィーンからは車で1時間足らず。ウィーン・シュヴェヒャード国際空港を横に通り過ぎ、ドナウ川に沿って車を走らました。スロバキアの首都ブラティスラバからは20km程度ですので、すれ違う自動車のナンバープレートも国際色豊かです。
高速道路を降り、もう少し走るとカヌントゥムが見えてきます。ローマ帝国最初の皇帝アウグストゥスの時代(紀元後6年)に、ティベリウス(その後、三代目皇帝となる)が建設させた越冬用の軍事基地として設置され、その後さらに発展し州都しても栄え、エフェソス(現在ではトルコの町)や現ケルン(ドイツ)などの同じレベルの重要な町にまでなったそうです。人口は最高5万人にまで増えましたが、紀元後400年以降は衰退していったとのことです。去年から塩野七生著の「ローマ人の物語」を読み始め、1年間かけて読破した私にとって、このローマ遺跡はたいへん興味深く見学することができました。
簡単な昼食を終えた後、テーマパークに入り子供のガイドツアーに参加しました。支払いを終えた後、受付の女性が妻に急に話しかけました。いったい何事かなと思ったのですが、何とウィーンでの高校の同期生だったのこと。こんなところで再会するとは思ってもいませんでした。ウィーンからわざわざ車を飛ばしてきたというガイドは、交通渋滞で少々遅れたことを詫びたあと、早速地図を使ってローマ帝国がどこまで大きかったのか説明しました。
ガイドツアーは1時間半という長さにもかかわらず、子供たちは飽きもせず目を輝かせてガイドとの会話を楽しんでいました。我が家の息子たちは漫画「アステリックス」(*)の大ファンで、本がボロボロになるまで読んでいるので「予習」はばっちり。ガイドのいろいろな質問にも元気よく手を挙げて答えていました。
ローマ人の一日、学校で学ぶ科目、食事作法、フロアヒーティング、庭、トイレ、そしてローマ人には欠かすことのできなかった公衆浴場などの説明を聞き入るうちに、目を閉じるとタイムスリップしたような気持ちになりました。テーマパークには織物商の家が再現してあり、台所・中庭・祭壇などもその当時の様子を見学できます。台所には本当の野菜が置いてあったり、祭壇では香が焚いてあったりといたるところでの細かい配慮を感じました。今でも発掘作業は続けられており、公衆浴場などもゆっくりとした手作業で発掘されていました。
ガイドツアーの後、少し離れて場所にあるアンフィテアトルム(円形競技場)に足を運びました。説明書きも何もないのですが、競技場の真ん中に立つと2,000年前に行われたであろう剣闘士の戦いに参加しているような気持ちになりました。夏になるとグラディエーター(剣闘士)ショーがあるので、またカヌントゥムに行くことになりそうです。別の場所には立派な博物館があり、そこでは今までこの近辺で発掘された工具や硬貨などを見学することができます。
日本からの観光客にとってあまり交通の便はよくありませんが、OEBB(ウィーン国鉄)を利用するとウィーン市内から1時間弱でカヌントゥムに到着します。テーマパーク・アンフィテアトルムそして博物館とそれぞれ場所が離れていますので、タクシーを利用すると良いでしょう。ローマ帝国ファンにとっては見逃せない観光地といえるでしょう。
註(*):古代ローマ時代のガリア(現在のフランス/ベルギー/スイスなど)を舞台にしたフランス生まれのコミックス。ガリア人戦士のアステリックスがさまざまな冒険を繰り広げる。数多くの言語に翻訳されおり、特にヨーロッパ圏では世代を問わない大人気のシリーズとなっている。
-画像説明文-
画像右上:ゆっくりとしたペースで行われている発掘作業。トイレだそうです。
画像左上:アンフィテアトルム(円形競技場)
画像中:向こうに見えるのが「織物商一家」の家
画像左下:「織物商一家」の家の台所
画像右下:家の中に置かれた祭壇
|