■聖人の日もやっぱりおいしい! 2007.11.6 update

東方正教会であるルーマニア。カレンダー上でも驚くほど聖人の日がならび、赤字で記されているその「聖人の日」は公の祝日ではない日でもパーティーだらけです。聖人の名前が由来の人たちの誕生日ともなり、また教会や修道院も聖人の名にちなんで名前がつけられていることが多いためそこでも行事があるからです。

そんな聖人の中でも、特に重要視されている聖人パラスキーヴァ(Sf.Parascheva)がいます。11世紀にトルコで生まれ、幼い頃に天の声でめざめ神聖な道を歩みはじめた彼女。慈善行為などでも評価されていましたが家族はそうした行為に反対、しかし神からの使命として活動を続けるため、彼女は若くして国を飛びだしひとり色々な国をまわります。それゆえ彼女の死後、遺品が各国にわたり最も偉大な聖人のひとりとして東方正教会の中で崇められています。最終的にそれらの遺品は当時のモルドヴァ公国(現ルーマニア北東部、モルドヴァ地方)に寄進され、それ以来、公国の首都であった北の街ヤシ(Iaş i)に残されているのです。そのためヤシでは毎年「聖人パラスキーヴァの日」である10月14日に最大級の祭りがあるのです。

その日には、ヤシ市内のメトロポリタン大聖堂(Catederala Mitropolitana)におさめられている遺品や聖人の棺が公開されるため国中から大勢の人がやってきます。市内のホテルも、ヤシに向かう列車も満席になってしまうほど。特に今年はその14日が日曜日であったため来訪者の数も例年以上だったとか。14日の前週から約10日間、老若男女を問わず皆が大聖堂へ向かい、棺を拝み自身の持ち物や手を棺に触れて“清め”る途切れない人々の列を見て、いつにもましてルーマニア人の信仰の深さを感じたのでした。

このように聖堂の周りを見ていると非常に厳格な祭りのようですが、街はとてもにぎわっています。そう、国民的に知名度があり人気の祭りですもの! 街中にはずらり屋台が並び、こちらの列も途切れることはありません。おなじみ地ビールから、ちょうどワインづくりが盛んになるころで自家製ワインも樽でお出迎え。ホットワインも肌寒くなってくるこの季節、欠かせないアイテムです。

そしてルーマニア名物の棒状肉団子・ミティティと夏の終わりから秋のカラフルな野菜もグリルで。グリルの煙の中でお酒を交わす人たちの光景はまるでビアガーデン! お隣ハンガリーが起源ですが、今ではルーマニアの屋台でも必ずお目見えする長いパン菓子の甘い香りもたまりません。

さらに国内最大級のこの祭りには、各地から民芸品や工芸品も「物産展」なみに集まってきます。モダンにアレンジされた陶器やアクセサリーも若者に人気、そして寒い冬にそなえる必需品も並びます。もこもこ・あったかな羊の皮のコートもルーマニアの伝統。ブーツや帽子もよりどりみどりです。アロマろうそくも灯したくなってくる秋の夕暮れ…、と買物に夢中になり重い荷物をかかえながらワインで一杯休憩をしていると、はて?いったい何のお祭りだったかしら、と。

そうそう、「聖人の日」でした! 食べることや買物がメインではなかったはず…。「あなた(筆者)に信仰心がないからよ」と思うかもしれませんが、この祭りの共催者でもあるヤシの市役所でも毎年開催中に行う集まりでサルマーレ(ルーマニア風ロールキャベツ)が何千個もつくられ振舞われるのが恒例行事なのです。だから現地の多くの人もこの聖人の日の祭りは「美味しい食」とリンクしているのです。さすが食欲の秋!?  最近は宗教離れする若者も多いから、このくらいは当たり前だそう。なるほど、これなら私も「聖人の日」を忘れませんもの(笑)


各地で行われる物産展は開催日程も事前告知がなかったり突然変更が多くて泣かされることもあるのだが、こちら「聖人の日」に併設される物産展並みの出店は毎年確実に10月14日前週から行われる。この時期ルーマニアで買物をしたい人にはありがたいお祭りなのです。

画像上右:「聖人パラスキーヴァの祭り」はルーマニア第二の都市・ヤシのいたるところで祭典がある。右側は聖人の遺品・棺が収められているメトロポリタン大聖堂
画像上左:次から次へと国内外から集まる人たちが棺に触れ身を清めている
画像下右:場所を移せば、美味しいものにも人だかり!! 本当の目当てはこちらだったり!?
画像下左:伝統工芸品からモダンでお洒落なものまで、掘り出し物も多い「パラスキーヴァの祭り」


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