|
ルーマニアの学生は優秀だ、とよく聞きます。特にチャウセスク時代はスパルタ教育で、ルーマニア人学生がヨーロッパ内の数学コンテストなどで優勝したことは多く、今でも教科の指導要領は数学や物理など日本のものと比較にならないと、日本人学校に勤める先生に聞いたことがあります。
今回はそんなルーマニアの学校事情についてご紹介します。まずはルーマニアの教育制度から。ルーマニアでも大学は学部によって年数が異なるとして、小中高は4年・4年・4年。日本の6年・3年・3年で合計12年は同じですが、小学生は1年生〜4年生、中学生は5年生〜8年生、そして高校は9年生〜12年生と続けて数えます。義務教育は小学校・中学校にあたる8年間、進学率はヨーロッパでは高い方です。
さて一般校の場合、多くの学校は二部制をとっています。これもチャウセスクの時代にルーマニアの子ども達の数は多く学校(校舎)と教師の数が足りなかったための対応だったのですが、一人っ子家庭が増えたとはいえ今も事情は変わっていません。低学年ほど午前の部に割り当てられ8時には授業が始まり、午後の部は早ければお昼時か13時半頃から開始です。よって給食システムはありません。授業がない時間帯には、田舎の学生は畑仕事を手伝ったり、また各地にある教育省管轄の無料教育機関で課外活動としてダンスや写真など芸術部門、外国語など学ぶ学生も多いようです。
学校の授業を覗いてみましょう。
□6年生(ルーマニアでは中学生、日本では小学6年生)の時間割
月曜日:ルーマニア語、数学、英語、物理、宗教
火曜日:ルーマニア語、フランス語、道徳、英語、数学、生物
水曜日:美術、数学、体育、フランス語、英語、ルーマニア語
木曜日:情報処理、テクノロジー、物理、生物
金曜日:地理、体育、音楽、英語、ルーマニア語
いかがでしょうか。ラテンの国は、自国の言語(*)授業が多くあり、動詞の活用から複雑な時制法など時間をかけて学びます。そして外国語教育は盛んで、小学生から英語と、フランス語かドイツ語を学ぶようです。
興味深い授業として「宗教」。週に1回、高校生まで必修の授業、多くの生徒の「大好きな授業」だそうです。堅い授業なのに珍しいと思いきや、聖歌を習ったり、イコンを製作したり、また野外授業として市内の修道院・教会へ出向いたり、実際に教会で聖歌を歌ってくることもあるそうです。これで納得! 時々、ルーマニアの修道院では、結婚式などのイベントも含め、学生のコーラス隊が聖歌を歌っていることがあるのです。通常の時間割で芸術系の授業が少ないと思ったのですが、この宗教の授業の一部で兼ねられているのですね。また司祭や修道院に仕えるためには歌が上手でないといけないという背景もあり、宗教の授業はルーマニアで欠かせないもの! 宗教が彼らの生活に深く根付いている理由でもあるかもしれません。
そして「テクノロジー」の授業。IT関連か、と思いきや、“ 科学”。どうやって“色”ができるか、地球や宇宙についてなど、研究テーマを持ち寄って、討論することもあるそうです。普段からものを考える力はこうして培われているのでしょう。
しっかり、しかしのびのび学んでいるようで、高校・大学進学のためには厳しい試験があります。また小学生でも「奨学金をとって外国へ行きたいんだ!」と夢(多分親の夢でもある)を語ることが多く、無邪気な笑顔を見せる一方で将来に関係する教育の現実の厳しさを知っているようです。日本の受験戦争まではいきませんが、多くの学生が必死になる一斉試験、そして問題多々あり(?)の大学事情、教育事情(2)でご紹介したいと思います。
註(*):日本で言えば”日本語”の授業。”国語”も含むが言語を中心に学ぶ。
画像上右:校内・地域でコンテストが多くあり、校内にはDiploma(賞状)が並ぶ。
画像上左:教室風景。小学校低学年は制服指定やジャケットのみ制服着用の学校もあるが、基本的に自由が多い。
画像下右:小・中・高併設校だと縦割り特別クラスを設けることもある。
画像下左:今年(2007年)からEUに加盟し、関連資料・各国紹介も盛ん。
|