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東南アジアの料理といえば、日本ではタイ料理やベトナム料理の知名度が高く、カンボジア料理の存在感はかなり薄いのではないでしょうか。いったい、カンボジアの人々は日常的にどんなものを食べているのでしょうか。
カンボジア料理を指して、タイ料理とベトナム料理の中間だと評する人がいますが、両国に挟まれているだけあって、この表現はなかなか的を射てる部分があるような気がします。とはいえ、カンボジア料理の専門家でもない限り、カンボジア料理とは何かを説明するのは難しいことです。言葉でああだこうだ説明するよりは、実際に自分の口で食べてみた方が理解が早いかもしれません。
カンボジア料理を味わうには、やはりその筋のレストランへ足を運ぶのが手っ取り早いでしょう。旅行ガイドブックを開いてみると、いくらかのカンボジア料理レストランが紹介されています。これらのレストランにあるメニューは、レストランであるので当然といえば当然ですが、「外食」の味であって、いわゆる家庭で食べられている料理というものは期待できません。レストランの味も、カンボジア料理の一側面を表してはいますが、それがすべてとは言えませんし、 日本人が寿司や天ぷら、すき焼きばかり食べているわけではないのと同様、カンボジア料理のレストランで出るようなものをカンボジアの人々が毎日食べているわけではありません。
とはいえ、家庭料理なんていうものは、カンボジア人の知り合いでもいない限り、なかなか体験できないんじゃないかと思うかもしれません。それももっともです。ですが、カンボジア人の知り合いがいなくても、確実に家庭の味を試すことができる場所があるのです。それが今回ご紹介する庶民が通う食堂です。
住宅地でよく見かける食堂では、一般家庭でよく食べられている料理が並び、学生や独身社会人、地方から来た一人暮らしの男性などで賑わっています。メ ニューはありませんが、ガラスのショーケースや並べられた鍋のなかにおかずが入っているので、実物を目の前にして注文することができます。味が庶民派なら料金も庶民派で、首都プノンペンの場合、おかずによって若干かわりますが、たいていどこでも1品500リエル〜1,000リエル、ごはんは一皿500リエルです。一人でおかず2品頼んでご飯をお代わりしても100円かかりません。
炒め物はたいていガラスのショーケースに並べられています。鶏肉のショウガ炒め、牛肉とトマトの炒め物、キュウリ炒め、一般的な野菜炒め、ハーブをたくさん使ったピリ辛炒めなどなど。鍋の中に入っているのは、カンボジア語でソムロー、またはスガオと呼ばれるスープです。カンボジアの人たちはこのスープをごはんにかけて食べるため、おかずスープといったほうが適切かもしれません。スープはタマリンド(マメ科。果肉を湯にとかして料理の酸味料として利用)やクローイチュマー(レモンとライムの間のような酸味を持つ柑橘類)、レモングラス(イネ科オガルカヤ属の香草)などで酸味を出したさっぱりしたものが多く、暑いカンボジアでは食欲をそそります。
さて、こういった食堂を利用する際にひとつ注目してもらいたいことがあります。テーブルの上のティッシュの存在です。この手の食堂は住宅の一階を改造して簡易食堂としたものがほとんどで、外と内部を隔てる扉がありません。ですので、特に乾季、埃っぽくなるカンボジアでは、こういった食堂で食事をしようとすると、テーブルの上に用意されたスプーンやフォークにうっすらと砂埃が付着していることがよくあります。カンボジア人はこういった砂埃をさきほどのティッシュでふきふきと拭いてきれいにしてから使うのです。
食堂によっては、コップにアツアツのお湯を入れ、そこにスプーンやフォークを入れて出してくる店もあります。察するに熱湯消毒のようですが、効果のほどは定かではありません。ふきふきした後に残ったティッシュは、みな床にぽいぽい捨てるため、床は白いティッシュでいっぱいです。外から見ると、とても「衛生的」には見えません。家庭の味を試してみたいけれど、衛生面が気になるという場合は、おかずの観察だけでもさせてもらうとおもしろいかもしれません。
画像上右:人気のある食堂がいつも混んでいるのは万国共通?
画像上左:食堂の目印は並んだ鍋とガラスのショーケース
画像下右:ナスと牛すじ肉の炒め物
画像下左:このティッシュでフォークやスプーンをふきふき |