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カンボジアの観光地といえば、アンコールワットを代表とするアンコール遺跡群が有名だと思いますが、自然に恵まれた美しい観光地もあります。そのうちのひとつが、南部に位置するシハヌークビル市のビーチです。
シハヌークビルには、いくつかのビーチがあるのですが、なかでもオーチュティアルビーチの白い鳴き砂と透き通った水が多くの観光客を引きつけています。このオーチュティアルビーチを開発する事業が、最近始まろうとしています。
カンボジアで発行されているフリーペーパーの「はうとぅ@かんぼじあ」No.004(*)によると、シアヌークビル市内の下水道整備は不十分で、下水が垂れ流しに近いため、最近、外国人旅行者にも人気が高いオーチュティアルビーチの水質悪化が心配され始めています。そこで、これ以上の水質汚染を防ぎ、元のきれいな海に戻すため、下水道の整備、ビーチに公衆トイレやシャワー室を設置する、景観を改善するための海の家の区画整理や駐車場の整備といった内容の開発が行われようとしているのです。
この開発計画、ビーチで商売をしている人たちはどのように捉えているのでしょうか。実際に数人の方に意見を伺ってみました。
ビーチでシュノーケルセットや食料雑貨、軽食などを売るRさん(22歳)は開発計画に賛成です。「計画のことはずいぶん前から聞いていますが、まだ開発が始まっているのを見たことはありません。この地域が開発されて、ソカーホテルの周辺のように美しくなれば、(今よりも)多くのカンボジア人が遊びに来て、私の商売ももっとうまくいくようになると思います」
ただし、過去カンボジアでは多くの人々が開発によって土地や住居を奪われてきました。Rさんもそういった住民の強制移転や立ち退き問題を耳にしたことがあるため、一抹の不安を隠せないようです。Rさんが言います。「たとえ開発が始まったとしても、政府がずっと商売を続けさせてくれることを願っています。私はずっとこの商売をしてきたので、企業などに土地を買収されて商売ができなくなってしまっては困ります」
ビーチで観光客を相手に記念撮影をする仕事をしているカメラマンのソクパウさん(28歳)は、あまり頓着していないようです。「開発されてこの周辺が整備されれば、人もたくさん遊びにくるようになると思う、そうしたら、美しい写真をたくさんとって、今よりもたくさん稼ぐことができるようになります」
レストランを営むサオピアさん(27歳)は、強制移転などの問題が起こるとは考えていません。「シアヌークビルにもすでに開発計画によって住民が立ち退かされた場所がありますが、オーチュティアルビーチは違います。ここでは私たちは許可をとって商売をしているからです。土地は国のものですが、涼み小屋などの施設は自分たちでお金を出して建てました。店の規模に応じて、税金もきちんと支払っています」
一方、開発計画に反対する声もあります。サオピアさんと同じくビーチでレストランを経営するMさんは、開発計画は自分たちの商売に不利益をもたらすと言います。「開発されたら、有料駐車場が整備され、企業に管理させると聞いています。今現在、私たちの店ではお客さんに無料で駐車スペースを提供しているのに、駐車場が有料となり、かつそこをほかの企業に管理させるとなると、客足が遠のくかもしれません。お客さんは海から(店に)入ってくるのではなく、裏の道路から入って来るのです。その入り口を他の企業に管理させるなんて、これはひとの商売を盗む行為です」
Mさんがやや興奮した口調で話します。「それに、開発するとなると、現在の建物を一度壊し、自分たちでお金を工面して建て直さなければなりません。加えて、現在は土地代を支払う必要はないのですが、区画整理後はお金を払って土地を借り、商売をするという形になると聞いています」と。開発計画についての説明会が開かれたことがあるそうですが、Mさんは忙しくて参加できず、計画のことはひとから聞いたそうです。
シアヌークビル市では、シアヌークビル港の周辺地域に経済特区を建設する計画も進んでいます。また、開発計画とあわせてシハヌークビル空港の整備が進み、将来的には国際線の発着が可能な空港へと整備される予定です。下水道の整備や景観の改善は大切なことだと思います。ですが、土地バブルと結びついた開発計画を疑問視する声も少なくありません。
複数の開発計画により、数年後にはこの町は大きく姿を変えていることでしょう。環境を壊さないような手法で自然資源をうまく活用し、この町を活気づかせて地元の人々に豊かな恵みをもたらすような計画であって欲しいと願っています。
註(*):「はうとぅ独占インタビュー 指導者たちが語るカンボジアという国 第4回サイ・ハック シアヌークビル市長」『はうとぅ@かんぼじあ』No.004(アドフューズコミュニケーションズ)所収
画像右上:白い砂浜が続くオーチュティアルビーチと、ビーチ沿いの「海の家」
画像左上:「海の家」の裏手にある有料駐車場建設予定地
画像右中:現状はそれぞれの「海の家」が簡易な作りのトイレを設置している
画像左下:ビーチで果物を売る少女と外国人観光客。開発後、彼ら物売りは商売を続けることができるのだろうか
画像右下:建設中のホテル |