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カンボジアでの観光というと、世界的に有名なアンコールワットをはじめとするアンコール遺跡群がまっさきに思い浮かぶと思います。ですが、カンボジアにはまだまだ眠っている観光地があるのです。そのうちの一つであるカンボジア北東部のラタナキリ州へ行ってきました。
ラタナキリ州はベトナム、ラオスと国境を接する州で、平野部とは異なり、いわゆる「少数民族」と呼ばれる人たちが多く住むところです。彼らは言語を含む独自の文化を持っていますので、ラタナキリを訪れればシェムリアプやプノンペンの観光だけでは知ることのできない、カンボジアの別の表情に触れることができるのです。
カンボジアに住んでいる「少数民族」のひとつに、クルンと呼ばれる人たちがいます。州都バンルンから10キロほど行った先に、彼らが暮らすノンラッ村があり、観光客でも車などをチャーターすれば訪れることができます。この村で注意を引くのが、空高くそびえ立つ小屋のような建物です。案内人のスロッによると、この小屋はクルンの伝統的な習慣と関係があるそうです。
クルンの伝統的な習慣では、女性は14、15歳になったらこの小屋をつくり、そこで一人暮らしをするようになります。結婚相手を探しているクルンの男性は、夜になるとこの小屋を訪れ、中にいる女性と「お見合い」をするのです。女性が訪問者の男性を気に入って受け入れれば、小屋の中でともに一晩明かし、結婚となるそうです。
結婚相手が見つかった女性は、小屋から出て男性とともに新しい家を建て、家族をつくってそこで一緒に新しい生活を始めます。逆に結婚相手が見つからなかった場合は、見つかるまでこの小屋で寝泊まりをしなければならないそうです。
結婚相手を見つけるためとはいえ、女性が小さな小屋のなかで一人暮らしをするなんて危ないと思うかもしれませんが、女性が拒否しているにもかかわらず、小屋から男性が出て行かなかった場合、女性は小屋の中に持ち込んだ「武器」を使い、男性を攻撃してもいいことになっているとのことです。実際に小屋の中をのぞかせてもらいました。広さは畳み4帖ほどであまり広くありません。身長150センチほどの人間がなんとか横になれるくらいの広さでしょうか。
この伝統習慣がすべてのクルンの村で守られているのかどうかは分かりません。ただ、小屋で寝泊まりするのを嫌がる女性はいます。ノンラッ村で生活するある14歳の少女がこう言いました。「狭いので、私はあの家に入りたくありません」と。教育や政治・経済などの影響で、「少数民族」のクメール化が進行していると報告されています。クルンのこの習慣にも、近い将来変化が訪れるかもしれません。
画像上:ノンラッ村
画像中:結婚前の少女が入る小屋
画像下:水牛の生け贄台。結婚の際には水牛を生け贄にする儀式が行なわれる
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