■信号機の赤は『止まれ』という意味です! 2006.1.16 update

カンボジアの経済が少しずつ発展していくなかで中産階級の人々が増加したため、首都プノムペンを走る自動車やバイクの数は年々増加しています。それと比例するかのように、交通事故の数も増加しています。

カンボジア国内で発行されている生活情報誌「Nyonyum(ニョニュム)」の第14号に掲載されている「2004年1月〜9月プノンペン交通事故状況(資料:プノンペン市警察交通課)」によると、事故件数は前年比プラス57(以下、すべて前年比)、交通事故による死亡者の数はプラス18、重傷者の数はプラス100、軽傷者の数はプラス3、車両破損はプラス25、オートバイ破損はプラス63、自転車破損はプラス14といずれも増加しています。当然ですが、これらの件数は報告されているものだけなので、実際の数値はこの数倍に及ぶのではないでしょうか。

プノムペンで生活していると、日常的に交通事故を目にします。10代から20代前半の若者たちのなかにはバイクの運転が荒い人たちが多いため、特にバイク同士の接触事故を目の当たりにする機会が多く、事故によって重傷者が出なければ警察が呼ばれることはまずありません。車両に大きな破損が生じた場合も、時間がかかったり話がこじれることを恐れて示談で済ませることが多いようです。

交通事故が増えている原因は、車両数の増加だけではなく、交通規則を遵守するという意識が市民の間に根付いていないことも関係しているようです。というより、交通規則とは何なのかを知らないといったほうが適切かもしれません。というのも、首都でさえ信号機が整備され始めたのはここ数年のことで、交通規則もないに等しい状況だったからです。アンコール遺跡群観光の拠点となる観光地シェムリアップのような一部の例外的な都市を除き、ほとんど(すべてかもしれません)の地方都市には信号はまだありません。ですので、信号の意味を理解していない人もまだ多くいるのです。

そんな状況を少しでも改善しようと、交通に規制のあるところでは、必ずといっていいほど交通警官が取り締まりを行っています。プノムペンのなかで最も複雑な規制のある交差点ニアンコンヒン(182番通り、チェコスロバキア通り、モニレット通り、シャルルドゴール通りが交差する交差点)では、交通ラッシュが発生する夕方になると、拡声器と手製のポスターを持ったNGOのスタッフが「赤は『止まれ』という意味です。このとき進行することはできません」といったふうに信号機の意味を説明している姿を見かけます。

先日、彼らの啓蒙活動のようすを観察していたところ、「信号が『赤』のときは進んでは行けません」と言っているスタッフのそのすぐ前で地方から出てきたと思われる老人がとぼとぼと道路を横断しているのを見ました。スタッフは幼い子供に言い聞かせるかのような姿勢でその老人に信号機の意味を再度丁寧に説明していましたが……。

交通違反を取り締まる警察官がいれば、それから逃れようとする市民もいます。このへんは万国共通なのでしょうか。一方通行の逆走や左折禁止の違反者などを発見すると、歩道で待ち構えていた警察官が車道に出てきて車両を停止させるのですが、それを避けて逃走したり、警察官の姿が視界に入った時点でUターンして逃げるのです。逃走してもほとんどの警察官は追跡しません。日本とは大違いです。

もっとも、警察官のなかにはカンボジア在住の外国人や首都の事情に疎い地方出身のカンボジア人を狙って法外な罰金を要求して来る人もいるので、逃げたくなる気持ちもわかります。ちょっとした勘違いから一方通行の道路を逆走してしまったことがあるのですが、そのとき警察官に呼び止められ、20米ドルも要求されました。もちろんきちんと抗議して正当な額に落としてもらいましたが。

「一方通行の逆走」と書きましたが、プノムペンでは「一方通行」の標識がないところで「逆走」をしてもそれは違反にはなりません。こういった不徹底さのなかにも、交通事故の耐えない理由が潜んでいるような気がしてなりません。

画像上:でこぼこだった未舗装の道も整備が進んでいる(プノムペンの113番通り)
画像中:オルセイ市場のそばに建つCapitol Guest House前で交通整理をする警察官
画像下:モニヴォン通りに作られた中央分離帯


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