■カンボジアの「少数民族」 2005.8.15 update

カンボジア北東部、ベトナムと国境を接するモンドルキリ州(首都プノムペンから約521キロメートル)に行ってきました。プノムペンからはバスとピックアップトラックを利用(直通バスもあり)して、9〜12時間(利用する交通機関や道路の状態による)かかります。

モンドルキリの「モンドル」とは、カンボジア語(クメール語)で「中央、真ん中」を、キリとは「山、丘」を意味します。その地名のとおりモンドルキリ州には多くの山があり、平均標高は約800メートルです。そのため、平野部にあるカンボジアの州とは違い、1年を通して気温は涼しく、夜、半袖半ズボンで寝ていると寒くて目が覚めてしまいます。旅行ガイドブックのLonely Planetは、モンドルキリの中心都市センモノロムを指して「カンボジアのスイス」と表現しています。

モンドルキリのひとつの特徴は、カンボジアの全国民の約90パーセントを占めるクマエ(クメール人)とは異なる文化を持つ人々が多く住んでいるところです。カンボジア語(クメール語)でプノン、クオイ、スティエン、ロダエンなどと呼ばれる人々で、彼らは古くからインドシナ半島で生活してきたインドシナ先住民だと考えられています。センモノロムにはそのうちのひとつであるプノンの村が複数あり、彼らの生活をのぞくことができます。

プノンの母語はカンボジア語ではなく、独自の言語であるプノン語を話しますが、カンボジア語ができる人もいます。僕にはプノン語の知識はまったくありませんが、耳に届く響きはベトナム語のそれと少々似ているような印象を受けます。

また、一般にクマエは都市部をのぞき木造の高床式住居で生活を営んでいますが、プノンの住居は竹で骨組みを組み、葉で屋根を葺いた平屋が多いようです。あるプノンの住宅をひとつのぞかせてもらいました。そこのお宅の家には床はなく、家の中央には簡単な煮炊きの場所が設けられ、地面に直接寝床が置かれていました。

プノンの村のひとつであるプータンは、象トレッキングの出発地として外国人旅行者にも知られているため、そこへ行けば実際に彼らの特徴的な住居を見ることができます。センモノロムにあるゲストハウスのなかには、旅行者のために町の簡単な地図を用意しているところもあるので、プノンの生活を見てみたい場合は宿泊先で聞いてみるといいかもしれません。もし村を訪れる場合は公共交通機関がない(2005年8月現在)ので、モトドップ(バイクタクシー)を利用するか、ゲストハウスなどで車を手配してもらう必要があります。

センモノロムの周辺で暮らすプノンの人々は、農業で生計を立てている人たちが多いようです。彼らは山のなかで陸稲やトウモロコシ、イモの一種、バナナなどを栽培しています。こういった農作物や彼らが日常的に使う竹製の籠をセンモノロムの市場へ売りに行って現金収入を得ています。

プノンの用いる竹製の籠には竹で作ったひもが付いているので、リュックのように背負うことができます。センモノロムで籠を背負っている人を見かけたら、ほぼ間違いなくプノンだと思っていいでしょう。現在、日常的に伝統的な衣装を身にまとっているプノンはほとんど認められず、大多数の人々は洋服を着用していますので、籠を背負っていないとプノンかどうか見分けることは困難です。

彼らの籠や伝統的な刺繍を施したカバンなどは、センモノロムの市場で売られています。プノムペンやシェムリアップでは入手できませんので、お土産にすると喜ばれるかもしれません。

画像右上:プータン村にあるプノンの家
画像左上:センモノロムの市場で売られているプノンの衣装
画像右下:プノンが使う竹製の籠


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