■プノムペンのおもな市場 2005.5.16 update

第二回目の今回は、豆知識を織り交ぜながらプノムペンのおもな市場を紹介したいと思います。まずは、プノムペンのほぼ中心に位置するセントラルマーケット。地元では一般にプサートゥメイ(「新しい市場」の意)と呼ばれますが、この市場の正面入り口や道路標識にも記されているとおり、正式名称はプサートムトゥメイ(「新しくて大きい市場」の意)といいます。「新しい市場」といっても、この市場が開かれたのはシハヌーク政権時代(1953〜1970)のことです。

セントラルマーケットはプノムペンの中で最も規模の大きい市場のひとつだけあって、品揃えが豊富です。衣料品、テレビやオーディオ等の電気製品、音楽CD、化粧品、宝飾品、おもちゃ、造花、台所用品、野菜、果物、魚、肉、カバン、靴、サンダル、時計、眼鏡、仏具、花、植木、銀製品、文房具、書籍など、さまざまなものが売られています。

僕がこの市場のなかで注目したのは魚売り場です。セントラルマーケットの魚売り場では、日本では見慣れない豊かな種類の淡水魚のほかに、サワラやサバなど僕たち日本人に馴染みのある魚の姿も見られるからです。ですが、これら海の魚は、メコン川やトンレーサープ湖などで採れる魚、つまり一般のカンボジア人が日常的に食べている魚と比べると高価です。以前、僕は「カンボジア人は海の魚より川の魚を好んで食べる」と思っていたのですが、そうではありません。彼らも海の魚を好みますが値段が高いため、中産階級くらいの人たちにはあまり手が出ないのです。

先日、知り合いの日本人が共通の友人のカンボジア人Nを連れて日本料理を食べに行くというので同席しました。Nはその日本料理店で初めて刺身を食べたのですが、なかなかおいしいと言っていました。ただし、その刺身はやたら筋っぽく、身もだらっとしていて締まりがなかったため、日本人の僕にはあまりおいしく感じられませんでしたが……。

また、ここの市場には古着売り場があります。プノムペンで新品のジーンズを買うと安くても5、6ドル、高い物になると10ドル近くしますが、古着だと3ドルです。新品と古着との間の価格差は日本ほどではありませんが、安いので多くの人が利用しています。シャツはだいたいどの店も8000R(1ドル=約4000R)。チェック、無地、柄もの、ストライプ等、ひととおりそろっています。多くは韓国製ですが、インド製やアメリカ製のものなどもあります。次に紹介するオリンピックマーケットで新品のシャツを買うと、安い物でも1着5ドルはします。僕もここで何度か買い物をしたことがありますが、外国人の姿を見かけたことはあまりありません。

次に、オリンピックスタジアムのそばに建つオリンピックマーケット(プサーオーランペッ)。この市場の目玉商品のひとつは衣料品です。ある程度お金のあるカンボジア人(なかでも特に女性)は、ここで布を買って仕立て屋に持って行き、結婚式のときなどに着る服をオーダーメイドします。シルクで1メートルあたり5〜8ドル(質により前後する)程度です。僕がホームステイさせてもらっている家庭では、近所の親戚に服を仕立てられる人がいるため、妹がオリンピックマーケットで布地を買い、親戚のおばさんにスカートを作ってもらっていたのを何度か見たことがあります。

布のほかにボタンやビーズなども売られており、同じフロアに女性服売り場もある関係上、布地売り場のフロアは多くの女性客でにぎわっています。付け加えておきますと、この市場は宝飾品やたばこ、お菓子などが多く売られていることでも知られています。

続いてロシアンマーケット(プサートゥオルトンプーン)。マオツェトン(毛沢東)通りの南に位置するプサートゥオルトンプーンは、外国人観光客の間ではロシアンマーケットとして知られる市場です。『カンボジア語辞典』(坂本恭章/大学書林)を使ってこの市場のクメール語名の意味を調べてみました。トゥオルとは「少し高くなっていて、洪水になっても冠水しない土地」を意味し、トンプーンとは植物の名前です。なのに、なぜ英語ではロシアンマーケットと呼ばれるのでしょうか。ガイドブックの"Lonely Planet Cambodia(4th edition)"には、「1980年代、ロシア人がここで買い物をしていた」と書かれています。1980年代のカンボジアは、ロシアや東欧をはじめとする「東側」の国々との結びつきが強かったため、当時ロシアンマーケット周辺にはロシア人が多く住んでいたのかもしれません。そのため、いつからか英語ではロシアンマーケットと呼ばれるようになったのでしょうか。

スペースの都合上、以上三つの市場だけになってしまいましたが、プノムペンにはまだまだ多くの市場があるので、また別の機会に紹介できればと思います。

画像上:セントラルマーケットの魚売り場
画像中:女性客でにぎわうオリンピックマーケットの布地売り場
画像下:シクロやバイクタクシーで混雑するオリンピックマーケット前


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