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9月の下旬から12月迄の期間、フィンランドではヘラジカ狩猟が解禁となります。私のパートナーが地域の狩猟グループに所属しているので、今回はそのお話を。
ヘラジカはスカンジナビア半島、北アメリカ、ロシアの寒帯林に生息しているシカ科の動物です。フィンランドでは一番大きい動物なんですよ(熊よりも)。町から離れた道路標識には“ヘラジカ注意”のマークがみられます。万が一車とぶつかったら・・・ヘラジカの勝利です。めったに出会うことはありませんが、衝突だけは避けたいところです。
ヘラジカ狩猟は、国の許可の下、どこの地域で、何頭捕って良いか(雄・雌・子ども)が細かく規制されています。もちろん銃を扱うので、銃所持と使用は警察署から許可と免許が必要です。また、狩猟の前には射撃の練習だってしなければなりません。
パートナーの所属するグループには、30人ぐらいの狩猟者がいます。活動日は狩猟期間の毎週土曜・日曜のまだ薄暗い早朝から始まります。集合場所に集まってまずは、その日のターゲット場所を地図で確認します。狩猟に出かける人は、赤、又はオレンジ色のジャケットと帽子の着用が義務付けられています。これは、森の中でも目立つ色であるのでお互いの場所が確認できます。ヘラジカは音と匂いにはとても敏感ですが、色には鈍感なので、この色を着ていても、ヘラジカに気づかれることはないのです。そして、互いに連絡を取り合う為にトランシーバも必需品です。
ターゲット場所といっても、広大な土地です。ヘラジカ出没情報については、この辺に住んでいるメンバーの発見情報が有力となる為、彼らは週末だけの活動ではなく、平日だって、目をギラギラとさせているのです。また、現在に至っては、狩猟犬が欠かせません。大抵1回の狩猟には2〜3匹の犬が活躍していますが、犬にはGPSとマイクが装着されています。
グループのリーダーから、銃を持つ狩猟者は待機場所を指定されます。待機場所は大抵一人で、隣との間隔は100メートルほど。つまりは、人間の網を張るということになります。そして、丁度その待機場所とは逆の方向から狩猟犬と共に、ヘラジカを追い込んで行くというのが作戦です。
待機チームが待機場所に着いたら、あとはひたすら待つのみ。しかも、音には敏感なヘラジカですから、寒くても黙って静かに待たなければなりません。待つ時間も、その日によって様々です。少なくとも2時間は見張ります。長い時は、お昼ごはんを食べずにそのまま続行する場合だってあります(9月はまだしも12月は非常に寒いんです!)。
狩猟犬チームは犬を頼りにヘラジカを探しに行きます。犬の飼い主はGPSで犬の場所を遠くから追いながら、トランシーバを使って犬の反応を確認します。トランシーバから犬が激しく吠える声が確認できれば、ヘラジカが近くにいるという合図です。犬の声が近くに聞こえてくるようになれば、犬チームも銃を持っていつでも撃てるように構えています。
この日は犬チームが上手く待機チームの方へとヘラジカを誘導した為、母ジカとその子ジカの計2頭を見事に撃ち取りました。母ジカと子ジカが連れだっている場合は、最初に子どもを撃ち、その後に母親を撃つというルールもあります(繁殖保全の為と、子どもだけ残しても生きていくのが難しいからという理由)。
仕留めたヘラジカはその場で血抜きし、内臓を取り除きます。その役目は撃った人の仕事です。他の待機場所からも応援がやってきます。撃った人へ賞賛の言葉を交わしたり、その時の状況を熱く語り合うのです。一通りの作業を終えると、今度はヘラジカを車のカートに載せて、集合場所へと運びます。フィンランドで最大の動物というだけあって、運ぶのも大人5〜6人がかりです。
集合場所の建物の中に着くと、その場で捌かれます。皮は塩で一時保存された後、加工してマットや装飾品等として売られていきます。雄の中でも特に大きい角を持っている場合はその頭の部分が剥製となります。骨は犬に。そして、捌かれた肉は1週間ほど冷蔵個に保存します(これで肉がやわらかくなります)。1週間後に、メンバーの全員に公平に配分されます。
野生の動物ですから、肉は赤みが多くて脂身が少なく、ちょっと野生臭いのが特徴です。みんなの協力の下、そして命を頂戴したヘラジカにも感謝しつつ来年の狩猟シーズンまでの間の食料となるのです。
画像上段右上:狩猟に参加する人はオレンジ、又は赤い帽子と上着の着用が義務。地図にて今日のルートを確認。
画像上段左上:出番を待つ狩猟犬。GPS装着!
画像上段右下:事前に建てられた高台で寒い中、静かにヘラジカの到来を待ちます。
画像中段左:撃ち取った1頭。
画像中段右:ストレッチャーを使って引きずりながら運びます。
画像下段左上:車の後ろに付けられたカートで運ばれていきます。
画像下段右上:剥製にされ、装飾になった頭部と、毛皮の部分。
画像下段左下:冷蔵個で1週間保存した後、全員に配分されます。
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