■本当の意味で「家を建てる」とは 2007.6.5 update

先日、旦那の友人、P氏夫婦の引越し祝いのパーティへ行ってきました。厳密に言うと、引越しというよりも新築祝いのパーティといった方が正しいのかもしれません。

さて、このP夫婦、実は自分達(当時奥さんは妊娠している上に、小さい子供一人抱えていたので、殆どP氏一人が!)で家を建てたのです。しかも、ゼロから・・・。フィンランドでは、自分達で家を建てることは特に珍しいことではありませんが、P氏のようにゼロからのスタートは非常に珍しいケースです。

ゼロからのスタート・・・つまり、材料である木材確保からです。木を自分で伐採し、加工するなんて、さすがのフィンランド人もビックリですし、日本人の私にしたら、写真を見せてもらって、話を聞いてもなお信じられないお話です。でも事実なんです。

話は今から2年と半年前の冬にさかのぼります。土地を購入し、家を設計、そして建築許可を得ると、雪深い季節の中、材料収集です。P氏夫妻の両親が森を所有しており、木はそこから伐採、そして木材へと加工。加工した木材を乾燥させ、雪が解けた春に基礎をつくりはじめました。

基礎造りには、大事な儀式の一つとして、P氏の親類から友人等が呼ばれ、1日手伝います。これは無給の作業ですが、みんな喜んで手伝っていました(自分自身の家じゃなくても、自分達の手で何かを造り始めるってだけで、ワクワクしますから、もちろんのことでしょう)。

基礎が出来ると、実際に家(骨組み)を建てていきます。P氏は特に学校で建築の勉強をしたわけではありません。聞くところによると、自分の家を造りたいと思っていて、1年ぐらい実際に建築作業の仕事に入っていたそうです。とはいえ、やっぱり普通のフィンランド人が考えても、大胆(?)なP氏です。

先に述べましたが、フィンランドでは実際に自分の手で家を建てることは特別なことではありません(P氏のケースはとても特別)。一般的なケースとして、家のパッケージ(壁・屋根・ドア・窓)を購入し、基礎や骨組みぐらいまで業者に頼んだら、あとの外装や内装は自分達でやってしまう、というのが普通だそうです。そこには、自分の家を造りたいという気持ちはもちろんのこと、コスト削減にも大きく関わってきます。その為、100%業者に頼んで、鍵を渡されるまで見守ってるだけ、というのはごく稀なことなのです。

翌年の冬に、家の形が完成(内装はまだ)したところで、ちょっとしたパーティに呼ばれました。まだ水も電気も通ってなければ、配線だってむき出し状態。そして、その日の気温は確かマイナス10℃ぐらいだったかな? それでも、P氏はだだっ広い家の中を、嬉しそうに、「ここには台所がきて、こっちにはサウナが・・・」と、嬉しそうに話しているのが印象的でした。

二度目の春には、内装に取り掛かります。出来るところは全て自分でやる、というP氏の精神のもと、春から夏にかけての暖かい時期には家の敷地内の小屋で一人寝泊りし、朝から晩まで出来るところまで励んだそうです。ただ、やはりプロに頼まねばならない仕事(家の中の暖炉やオーブン)については、友達である煉瓦職人の手を借りながら造ったとのこと。

そして、フィンランド人にとって大切なサウナには特にこだわっています。写真ではちょっとしか映っていませんが、サウナの壁(左側部分)は、形や大きさの違う石がパズルのようにはめ込まれているのですが、とっても綺麗に仕上がっています。これには3週間もかけたそうです(ただ、ただ、スゴイ)!

内装ができあがり、住める状態になったところで奥さんと子供達が移ってきました。造りはじめて約1年半。ここまでくると、あとの作業は特に急ぐ必要はないので、ゆっくりと外装に取り掛かって、現在に至るわけです。

家族全員が住み始めて約1年。新しい家に慣れ、家の建築作業も落ち着いたところで、友達を呼んでの新築祝いパーティでした。木を伐採し始めてから丁度2年半。まだ、家の外装が残っているのと、次は車の車庫作り、そして、庭の整備だって残っています。けれども、間違いなくP氏は立派に自分の家を自分の手で造りあげることでしょう。これこそ、「自分で家を建てた!」ということなんでしょうね。アッパレ、フィン魂!

画像上段右上:新築祝いパーティ。外装は未完成。
画像上段左上:木を伐採するP氏。
画像上段右下:木を加工するP氏とP氏の父親。
画像上段左下:加工した木を乾燥させるため、積み上げたところ。
画像下段右上:基礎工事は親戚や友達が手伝う。
画像下段左上:骨組みを建てるP氏。
画像下段右下:台所だって自分でやります。
画像下段左下:サウナは、特にこだわります。左側の壁には3週間かけました。


【謝辞】今回、この話を記事にするにあたって、P氏ご家族からたくさんの写真を提供していただきました。この場を借りてお礼申し上げます。
Kiitollinen tupaantuliaisista ja kuvista. Tarina kertoo P:n taidoista ja sinnikyydesta:.


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