■風邪を引くとウクライナでは… 2007.11.6 update

ウクライナは、10月後半、西部では山間部で雪や雨、中部では曇りの日が続く。キエフでは日中は12℃ぐらいであるが、朝晩は4℃ぐらいである。雨も降るが、空気が非常に乾燥しているので、咽喉や鼻がやられることが多い。

案の定、風邪を引き、寝込むことになった。外国生活でもっとも困るのが病気になったときである。乾燥しているので、夜中に咽喉や鼻腔が乾いて痛くなり目が覚める。マスクなどをして寝る、部屋に桶をおいてお湯を入れて置く、ぬれたタオルを干しておくなど、湿気に気を使ったほうがよい。ホテルの場合は、湯船にお湯を張って、浴室の戸を開けておく。

もちろん、重い病気になった場合は、医者にかからねばならないが、外国人用(ヨーロッパ的な医療)を求めると非常にお金がかかる。友人が体調を崩して、私立の往診医療をたのんだ。ドクターカーに乗ってやってきた医者と看護師は、すぐさま治療をはじめ、点滴を打つなどをしてくれたという。一回の値段は13,000円ぐらい。しかし、適切な治療であっという間によくなったという。

これが公立の医院にいくと、医療用手袋、注射器、ガーゼ等々、医療に必要なものは、ほとんど自前で購入して、医者のところまで持っていかなくてはならない。医者は座っているだけ。これが、ソ連時代の「無償」医療の真の姿である。見立てだけは「無料」だが、それ以外の物品はすべて患者もちである(手術用メスとか医療設備は一応別)。入院すると特別な計らいがないと食事も自前(家族などが家からもってくる)。政府の高官が外国にわざわざ治療にそれも堂々と行くのには苦笑する。

さて、風邪引きの場合であるが、民間療法が効く。まず、蜂蜜を入れたブランデー、あるいは温めたウオッカを一気飲みして寝る。起きると鼻腔をヨード、ソーダ、塩を混ぜたそれぞれの水で定期的に洗う。カリーナ(赤い小さな果実。ウクライナでは少女のシンボル)を紅茶で割って飲む。そしてニンニクである。こうしたことを毎日繰り返す。カリーナ入りの紅茶はビタミン補給だという。これ以外に鼻腔にニンニクの堅く白くなった茎を焼いて、その煙を鼻で吸うなどというのもある。

ウクライナは民間医療が非常に豊富である。薬草、野の果実などがたくさんあることもその理由である。ジャムにしたビタミン豊富なベリーをお湯で溶いて風邪を引いたときには飲んでいる。そのために、各家々にはそうした野の果実のジャムのビンがたくさん保管されている。もちろんそのままお茶の友としても食べる。

ソ連時代の影響だろうか、抗生物質への信奉、あるいは嫌悪感が非常に強い。また民間療法も盛んだが、医薬品に必要以上に頼る傾向がある。医者に行くと、買うべき薬の一覧を教えてくれる。それを書き留めたメモを持って薬局を巡る。いまの日本では「こんなに飲むとかえっておかしくなるのでは」と思うほどである。

今回わたしは、薬に頼らず治したが、それでも鼻腔の炎症を抑えるのに、自然派の医薬品を使った。松などの樹液をもとにしたものと、薬草をもとにしたもので、直接鼻腔に注入する。正直「まずい」が、意外にこれが効くのである。鼻腔の渇きと痛みを抑えてくれてスムーズな呼吸を助けてくれる。

こちらでも体を温めるというのは基本で、先にも書いたウオッカなどを飲むのは、日本人が聞くと卒倒するかもしれない。なにしろ内臓が弱っているのにである。コサック時代からの荒治療の伝統なのであろう。しかし、蜂蜜ブランデーは意外に効くというのが私の経験である。

画像上:ウクライナでは、カリーナは少女のシンボルである。その可憐な赤い実は美しさの象徴。ただ眺めるだけでなく、薬用として重宝される。
画像下:鼻腔への治療薬二種。右は松脂や樹液を元にしたもので、かなり揮発性のあるオイルのようなもの。左は薬草をもとにしたもの。ひどく苦く、鼻に入れると咽喉まで直行してむせる。どちらも200円前後。


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