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ウクライナでの東洋文化への関心は非常に高い。その理由は、日本、中国、インドそしてイランなどアジアについての情報が少ないということもある。しかし、それにもまして、ウクライナ人自身が、その文化の源にアジアの一部をもっていると信じていることにある。
ウクライナではインド文化とのつながりを強調する人が多い。文様やまじない、言語などの起源がそこにあるという。学問的にはなかなか証明しにくいのであるが、ウクライナという地域がアジアとヨーロッパにはさまれた歴史地理的環境からなるほど思わせることも多いのも事実である。
さて、こうしたウクライナ人へのアジア文化に対する関心の一つに武術がある。先日日本の空手家が訪れた。これは知り合いのウクライナ人が、自分の属している空手協会のために毎年招いて、稽古と試験を行ってもらっている。
空手家を招待した友人は、アフガン従軍者で戦闘術をたたきこまれた人である。彼がなぜ日本の空手に非常に関心をもって接しているのか、聞いたことがある。その理由として彼は、軍で習っていた単に殴り殺すための戦闘術にうんざりしたからであるといっていた。
組み手(練習試合)を見てもわかるが、ウクライナ人の体の強さはすばらしい。とくに足腰の強さは、日本から来た空手家も認めるとおり相当なものである。もともとウクライナ人は農民であり、広大な国土を耕してきた民族である。彼らの太い腕、がっしりした身体、そして頑丈な足など、基本的な身体のつくりが日本人とだいぶ異なる。
コザックを生み、いまでも徴兵制がのこるウクライナでは、戦う男の伝統が精神文化の中に強く残る。実は、戦う女の達の伝統もあるのだが。現在、本屋ではコザックについての歴史、その戦術、精神文化の本が多数出版されている。これは、中世ヨーロッパに名をとどろかせた最強の武装集団であり、先進的な政治集団の文化的精神を取り戻して、民族アイデンティティを強固にしようとするものである。
こうした背景のもと日本武術に対する関心は非常に高い。現在キエフでは、合気道、空手、剣道、柔道、居合道などが学べる。まだ、ビジネスとして成功するまでには成長していないが、次第に稽古の内容も充実してきている。しかし、単に身体的な動きへの関心でだけでなく、武道精神への関心も高い。宮本武蔵の五輪の書を始め、近代の武道家たちの歴史的な関心は高い。わたしも、いろいろな人からこうした書物や人物達について質問されるが、はずかしながらうまく説明することが出来ない。しっかりした訳本や紹介ビデオがあればといつも悔やむ。
武術の精神論に対する関心が外国で高いのは、よく知られたことである。しかし、ウクライナでは先に書いたとおり、コザックという戦闘集団があった。彼らには、精神論もあり、統率体制も確立していた。ウクライナ人はこの自文化の「武士」と日本の「武士」の文化を比較したいのである。
コザック文化にいては、後日書くつもりであるが、いまのウクライナではこうした歴史的な背景の下、空手を初めおおくの日本武道が行われている。日本の空手家も話していたが、現在組織としてだんだん強くなってきているのは、西ヨーロッパではなく、東ヨーロッパである。尚且つ、強い選手も輩出しだしている。いずれウクライナからも世界チャンピオンが出ることを、わたしは切に願っているが、そのときは身体的な強靭さと武道の精神は身につけた者であると確信している。
画像上:指導する伊師さんと熱心聞き入るウクライナ人。会場はウクライナ・オリンピック選手強化施設。
画像中:私の友人であるセルヒイ氏と日本の空手家伊師さん。練習の合間に、レストランでの一コマ。レストランの名前は「森のビール反乱軍」。後ろの戦車の砲塔には「ビール」と書かれている。
画像下:セルヒイ氏とその家族と伊師さん。セルヒイ氏の家に招待されて。
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