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前号で、“世界”に誇るローカルトピックをお届けしました。今回は少しスケールダウンして、“全国”に誇る話題です。二回続けてお国自慢ネタで失礼。内容はタイトルのとおり、ニュージーランドで一番美味しい水です。
先ごろ、とあるテレビ番組でニュージーランド銘水コンテストが開催され、圧倒的な強さでみごと優勝したのが、我がタズマン郡のゴールデン・ベイ地方タカカの水でした・・・と書くと、わき水を思い浮かべる方が多いでしょうね。ニュージーランドに詳しい方なら、「あぁ、世界一の透明度を誇るププ・スプリングズの泉の水のことだな」と思うかも知れません。
惜しい。違うんです。優勝したのは、なんとタカカの町の水道水でした。おいしさの秘密は南にそびえ立つタカカ峠。地下水がこの山の大理石と石灰の層を通り抜けるあいだに、磨きぬかれて絶妙の味になるんだとか。要は世界一の泉ププ・スプリングズと同じ出所なんですから、そりゃ美味いに決まってます。
僕にとっては、タカカは峠をはさんで隣町ですから、よく遊びに行きます。2007年の三月号でとりあげた船上カフェも、タカカの町外れです。でも、水道水の味までは気にしたことがありませんでした。しかも僕の町だってタカカ峠からの地下水が流れているはず。ライヴァル心を刺激されるではありませんか。さっそく水を汲みに行ってきました。
国一番の栄誉を勝ち取って以来、タカカの町の入り口にあるゴールデン・ベイ・サイト・ヴィジター・センター(自然情報の提供や公園の利用案内を行う)で水を汲んで行く人が激増したそうですが、僕はいままで汲んだことありません。トイレに水道があるのは知ってますが、ほかにもっと汲みやすいのがあるかもしれないので、旅行情報を求めるツーリストの列に並んでしばしの辛抱。やっと順番が回ってきましたが、たずねる内容が水道だけってのもなんか気が引けてモジモジ。でも変なことをきくツーリストは珍しくありませんから、旅行者のふりをしてたずねてみると、「建物裏手に国一番の銘水の出る水道があるよ」と教えてくれました。ほぉ?ら、さっそくご当地自慢だ(笑)
同センターのスーパーヴァイザー、エリザベス・ドランズフィールドさんによると、「一番美味しい飲み方はレモンを少し絞るか、そのままストレート」だそうです。
さぁ、家に持ち帰って比較テストです。先ほども書きましたが、タカカはタカカ峠の北のふもとの町、我が町は反対側の南のふもとの町です。ならば、そう水質に違いがあるとも思えません。いえ、こっちが勝ってるなんてことも、なきにしもあらず。さっそくグラスに注いでみました。いざ南北対決。見た目には、まったく同じ、見分けがつきません。ならば味はどうかなと、慎重に試飲。……。えっと、同じ味?
両方とも美味いんですけど……。もう一口……。う〜ん、似てるなぁ。さらにもう一口……。三口目でやっと少しだけ違いが感じられました。タカカの銘水の方が、わずかに舌にザラつき、我が町の水は舌の上でスッと広がってのどに吸い込まれる感じ。微差ですけどね、強いていえばそんな感じ。どっちがどっちか知らないままに飲んでみた妻も、「右がタカカの水でしょ? 左は少し舌に刺激があったから、きっとウチの水道水だ」と。反対だってば。まろやかなのがウチの水道水だよ。
あれれぇ、予定では「悔しいが、やっぱりタカカの水の方が美味かった、クッソーッ!」と書くはずだったんですが、こりゃとんだ番狂わせです。まぁ素直に喜んでおくことにします。こっちの人は硬水(カルシウムとマグネシウムをたくさん含む)の方が好きなのかもしれませんねぇ。
皆さんには、「ニュージーランドにいらしたら、タズマン郡の水をお忘れなく」と申しあげておくことにしましょう。ちなみにニュージーランド航空機内で出てくる水は、タカカの泉の水だそうですので、ネルソン地方に立ち寄れない方は機内でご堪能ください。
画像上右:タカカ峠からタカカの町に向かって流れるアナトキ川。地下で磨かれていない川の水でさえ、この清冽さ。
画像上左・タカカの町のヴィジター・センター。水目的に立ち寄る人も増えたとか。
画像下右:これが最近大人気の水道。ヴィジター・センター裏手のなんでもない地味なシロモノなんだけど。
画像下左:家に持ち帰って、タカカ峠の南北対決。北のタカカの銘水(左)と南の我が家の水道水(右)を飲み比べ。結果は意外にも……。
【短信】2月末にようやく夏休み(一週間)をとり、職場の元後輩カップルの結婚式に出席するため北島へ。その直後にひどい風邪にやられてしまい、さらにしばらく病欠する羽目に。いささか気まずい今日この頃。(3/9)
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