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前回に続いて、ファーストエイド(救命救急、以下FA)のお話です。前篇ではニュージーランド(以下NZ)のFA講習内容が、日本のより広範で実戦的だという点をご紹介しました。今回のトピックは、この国のFA教育の浸透度です。
手頃な比較データが見つからなかったので、とりあえずGoogleで調べてみました。日本語ページ内検索だと「ファーストエイド」が約150,000件、「救命救急」だと約1,460,000件で、合計約1,610,000件がヒット。一方Google NZでは「first aid」が約804,000件。日本の方が多いじゃないかと安心しないで下さい。日本の人口はNZの30倍以上、でもヒット件数はたったの2倍。「講習」だともっと顕著で、日本の「救命救急講習」の約457,000件に対し、NZの「first aid course」は約404,000件と、一割ほどしか差がありません。これはもちろん目安にすぎませんが、普及率に開きがあるらしいことは、じゅうぶん感じとることができます。
NZにはFA講習を開催する組織そのものも多いです。ためしにNZイエローページのサイトで「first aid training」のページをざっと数えても、両手ではまるで足りません。それぞれの組織が「一般FA」、「子供向けFA」、「職場FA」、「上級FA」、「電気関係FA」など、多彩なコースを用意しているのも注目点。
なぜこれだけFA教育のニーズがあるかというと、様々な自主規制や法令でFA資格を要求する職種、職場が多いからではないかと思います。先月ご紹介したように、アウトドア・ガイドは全員がFA資格をもっています。妻はマッサージ・セラピストですが、彼らも最低二年に一度の資格更新を義務づけられています。こうした顧客の安全、健康を直接左右する職種だと、一人一人がFA資格をもつのは世界の常識ですね。でもじつはこの国は、ほとんどの職種(職場)に関して、一定数のファーストエイダー(以下FAer)をおくことを、国が要求しているんです。
たとえば意外なところだと農場。フルーツ農家なんかは特定の時期に大量のアルバイトを雇いますから、FA資格者がいります。幼稚園や学校の先生なんかも、壁にFA資格証明書を張り出しています。FA受講経験のない先生に我が子をあずけるのは、正直おそろしいです。宿だってFAerを置く義務があるので、旅行者も安心。大きなお店、図書館なんかも、一定数のFAerを置いています。それこそ、犬も歩けばFAerに当たるという感じ。
そんな国なので自主的に受講する人も非常に多いんです。たとえば小さな子をもつ主婦(お母さん)も、よく自発的に受講しているようです。そういえば長女が産まれたとき、退院時に「両親そろって赤ん坊向けFAのビデオを見てから帰ってね」といわれました。小さな子をお持ちのお父さん、お母さん、お子様がノドに何か詰まらせて呼吸が止まったときの処置法、ご存じですか? NZではほとんどの親が「一応やり方は知ってる」はずです。
ちなみにNZの場合、一度FA講習を受けてもう安心、というわけにはいきません。FA資格の有効期間が二年で、それをすぎると再受講しないとFA資格者を名乗れません。これも受講率を押し上げている要因だと思いますが、良いシステムですね。
僕はシーカヤックガイドという仕事柄、毎年FA講習を受けてますが、毎回痛感するのが忘却力の素晴らしさ。あとFA技術ってつねに進化しているので、昨年までの常識が今年からは非常識なんてことも別に珍しくありません。ですから受講を重ねるほどに「来年も受講しなくちゃ」という気になります。ちなみに毎年受講し続けてきた自分自身の成果は、決して慌てなくなったこと。職業柄お客様を手当する機会は少なくないので、これはものすごく大きいですね。もちろん今年も受講しますよ。
画像上:少々古いもので恐縮だが、セント・ジョンのFA認定書。実用的なつくりになっているのが面白いところ。
画像中:アウトドアFA講習中のセント・ジョンの講師の先生たち。女性講師は珍しくないどころか、僕の受講経験ではむしろ女性講師の方が多い。
画像下:今年11月からは、大工にもFA資格義務化が適用になるとか。
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□以下は、「FA認定書」(右上段の画像)の各部分を拡大したもの
  
画像左:上半分が本来の認定書で、切り離せるようになっている。
画像中:下半分の左側の丸い部分はステッカー。「FAerがここにいますよ」と知らせるために、建物入り口や車に貼っておくためのもの。
画像右:下半分の右側はカードサイズで、裏にCPR(心肺蘇生法)の簡単な解説がついている。もちろんサイフなどに入れて携帯するためのカード。
【短信】短信に自宅建築のことを書くのも三度目になりました。そろそろ内壁を打ちつけて、内装工事に入る頃合いになりました。連日の作業でヘトヘトです。これをずっとやってるプロの大工さんって、やっぱりタフですねぇ。(7/22)
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