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この夏、隣町にユニークなカフェが登場してちょっとした話題となりました。「各国いまどき報告」のレポータ陣の中でも、田舎暮らし度ではきっと一、二を争う僕ですから、ネタ不足度もたぶんトップクラス。こういう特ダネを見逃すわけには参らん!っと、さっそく行ってきました。
  
映画『The Lord Of The Rings』にもちらりと登場したタカカ峠を越え、ニュージーランドのヒッピー文化の中心地タカカの町をかすめ、ポハラの村まで車で約一時間(これでも隣町です)。件のカフェはポハラのはずれのタラコヘ波止場に浮かんでました。でも、すれっからしのシーカヤック・ガイドはこれくらいじゃ驚きません。職場(エイベル・タズマン国立公園)には海上宿もあります。同じ公園の北側に水上カフェが現れたくらいでは「あっそぉ」ってなもんでして。
そのすれっからしがわざわざ足を運んだ秘密は何かと申しますと、ファイサリー号というこの船、かつてはなんとかの海洋探検家ジャック・クストー博士が所有し、数々の探険調査の足に使われていたというのです。こりゃ是が非でも行かねばならん、乗らねばならん!となりますよ、僕ら世代のナチュラリストなら。よく思い出してみれば、TVに登場してたクストーの船って確かカリプソ号っていったはずですが、そんな細かいことはどーでもいいんです、この際。
ってなわけで、「うぉぉ、こ、これかぁ!!」と興奮しつつ乗船(というか入店)。四歳の長女は桟橋を歩いたり船に乗りこむのを怖がりましたが、乗ってしまえばベタ凪の埠頭、船はピクリともゆれず彼女も一安心。僕にはちょっと物足りないくらい。乗船したら、まずカウンタでお金を払ってコーヒーを注文。メニューはエスプレッソ、フラットホワイト(ミルクコーヒー)、ラテ、モカチーノなどの数種類のコーヒー以外は、アイスクリームと美味しい地元製マフィンだけ。食べものの持ち込みは自由なので、我が家も手作りバーガーとかスナック類、チョコレート類をしこたま持ち込み、せっかくなのでアイスとマフィンも注文。
画像説明文
画像左:埠頭に停泊中のファイサリー号。「Coffee」の文字がなければ、他の漁船と区別がつかないほど地味なたたずまい。
画像中:船室の横の窓が、注文カウンタ。
画像右:注文してお金を払ったら、デッキ上のテーブルでコーヒーが届くのを待つ。テーブルも椅子も潮と陽にさらされて良い具合にボロボロ。そしてグラグラ(笑)
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1957年フランス建造といいますから御歳ちょうど五十歳、はっきりいってボロボロです。外洋で何週間も調査航行するなんてことはもうムリかもしれません。でもこの風化の具合、なんとも和みます。現オーナーのオリヴァー・ミッチェル君はこのあたりによくいる若いヒッピーで、ファイサリー号にもチベット仏教のデコレーションがちらほら。日当たりの良い側には家庭菜園もあってヒッピーの基本に忠実です。
オルガンもありますし楽器持ちこみも自由。ジャム・セッション・ナイトは飛び入り大歓迎と、何からなにまであけっぴろげ。ひなびた小さな波止場の水上という空間的開放感とあいまって、心がほどけて広がっていくようなくつろぎを感じさせてくれる小汚いカフェです(褒めてるんですよ!)。でも、クストーが酸素ボンベの出し入れに使ったとおぼしき低い小さな扉から、ハイハイする次女が海に落ちそうになるのには参りました。開かないようにしておいてよ>オリヴァー!
さて肝心のコーヒーは、最近日本でも浸透してきたフェアトレード物のオーガニック豆。さすがヒッピー。深紅に輝くドイツ製の「V8エスプレッソ・マシーン」はカフェ自慢の逸品。船よりもこのコーヒー・メーカーの方が値が張るんじゃないかという気もしましたが、さすがにそんな失礼な質問はできませんでした。弱気な取材ですみません。でも、大変美味しいコーヒーでした。
もうちょっと近かったらもっと通うんだけどなぁ。ゴールデン・ベイにお越しの際は、話のネタにぜひともお立ちよりください。でもきっと冬場はやってないと思いますけど。なんせオーナーがヒッピーですからねぇ、商売っ気なさそうだし……。来年の夏もちゃんと営業してくれるのかなぁ。
画像説明文
画像左:オーナーの胃袋におさまる野菜類。なかなかよく育ってます。きっとオーガニックなんだろうな。
画像中:オルガンも。ここゴールデン・ベイはNZのヒッピーのメッカ。きっとジャム・セッションの夜には、腕自慢のヒッピーが集まってきて、さぞかし楽しいんだろうな。僕も一度飛び入りしてみたいものだが。
画像右:オーナー自慢の「V8」。この船で唯一の新品ピカピカの艤装は、大変に美しいマシーンだ。
【追記】二月になって天候がやっと安定しました。二年ぶりに暑い毎日を楽しんでいます。(2/16)
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