■ホワイトベイト漁 2006.11.7 update

春の風物詩といえば、日本では桜の花見がやはり横綱でしょうか。と、いきなり季節はずれな話題でスミマセン。なんせここニュージーランド(以下NZ)は今が春真っ盛りでして。NZでも桜の人気は高く、いろんな品種が入ってきてます。

日本ではソメイヨシノが圧倒的シェアをほこり、いっせいに咲いてパッと散るというイメージが染みついてますが、NZの場合は山桜や八重桜も多くてヴァリエーション豊か。八重桜はいちど咲くとかなりの期間花をつけてますし、種類によって咲く時期もさまざまなので、NZでは春中どこかで桜が咲いてるといった風情。所変われば品変わると申しますな。

しかしNZも桜が春の風物詩かというと、そうじゃありません。数ある春の花の一つにすぎませんし、花見なんて習慣もありません。じゃ花見に相当するNZの春のピクニックは何かといいますと、ホワイトベイト漁です。ホワイトベイト(whitebait)というのはシラス。

もっと具体的にいいますと、イナンガ、ココプ、コアロの三種のNZ原産種の稚魚のことです。これらは淡水魚なのですが、秋に孵化した稚魚は海にくだって最初の冬を越し、春に川に戻ってきます。8月15日から11月30日(南島西海岸は9月1日から11月14日)の期間だけ、この稚魚漁が解禁されるのです。


昔は文字通り捨てるほどとれ、実際に売れ残り食べ残しは畑にうめてコンポスト(堆肥)にしたそうですし、解禁期の漁だけで一年分稼いで他の季節は遊び暮らす優雅な漁師も相当いたとか。しかし乱獲で数が激減し、ホワイトベイト漁だけで暮らせる漁師はほとんどいなくなり、今ではむしろピクニックがてらのレジャーです。

キウィ(NZ人)は家族、カップル、または友人同士で、海への流れ込みの近くの川に出かけます。大きな川にはたくさん人が集まりますが、泥の干潟の中の一またぎの小さな流れにも人がいたりして、キウィが、いかにホワイトベイトが好きかを物語っています。

ホワイトベイトは上げ潮にのって川をさかのぼり、下げ潮にのって海に戻るので、上げ潮時は海に、下げ潮時は上流に向けて網を設置して、あとはひたすらくつろぐだけ。イスに座って川を眺めつつ、お茶を飲む、本を読む、昼寝をする。お腹が空いたら弁当を食べる、あるいはBBQをする。そして語らう。釣りと違ってポイント選びもシヴィアじゃありませんから、たまたま隣り合った人同士もなかよく談笑。これがキウィ流春の風物詩。

日本の花見の喧噪と比べると、ずいぶんと静かでゆったりと楽しんでいる感じがします。個人的には、桜の木の下で酔っぱらって大声で騒いだり歌ったりっていう日本流風物詩よりも、キウィ流にシンパシーを感じます。そういえば日本の桜の花、もう八年も見てないんだっけ。

さて日本人が気になるのは、「とれたホワイトベイトはどうするのか?」ですね。もちろんキウィも食べます。でも残念ながらしょう油をつけてそのままツルリ、日本酒をチビリ、ではありません。キウィ流はオムレツ。それぞれの家に秘伝の食べ方があるそうで、卵に混ぜ込んで焼く「関西お好み焼き風」を主張する人がいるかと思えば、フライパンに流した卵の上にホワイトベイトをのせる「広島お好み焼き風」をおす人もいます。

あるいは卵に小麦粉をまぜてパンケーキ風にしないとホワイトベイトの味が引き立たないという人がいるかと思えば、何をいうか普通のパンにはさんだサンドイッチの方が美味いに決まってると人もいたりと、いやはや侃々諤々喧々囂々鼎の沸くが如しとはまさにこのこと。こうなると日本人のお雑煮談義とか、正しい卵焼き(目玉焼き)の食べ方論争とかと同じですね。

ってなわけで、これから我が家も子連れで家のそばの川までちょっくら出かけてまいります!


画像右上:八重桜のゴージャスさがキウィのお気に入りのようです。
画像左上:ホワイトベイト。
画像右中:川岸にくりだす人々。
画像左中:紅茶を片手に川をながめるご婦人。
画像右下:さぁ捕れたかな?
画像左下:サンデーフリーマーケットの屋台にも、ホワイトベイトのサンドイッチが。
画像右下:僕の娘(四歳)が挑戦中。

【短信】春も深まり、天候不順な季節も本番。先々週は南西の強風が吹き荒れ、先週は強風警報が出まくり、今は雨が降っています。シーカヤック・ガイドにとっては、試練の季節です。(10/22)


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