■比較文化 雨具編 2005.7.4 update

ニュージーランド(以下NZ)は一番雨の多い季節になってきました。アウトドアの仕事をやっていますので、なかなかツライ時期です。日本とNZはいろいろ共通点がありますが、世界的にみると降水量が比較的多い地域というのも、その一つでしょう。

ところが両国の雨具事情は大いに違います。「雨の日に一番よく使う雨具は?」と質問すれば、日本人は100人中99人が「傘」と答えるでしょう。ところがキウィ(NZ人)なら、きっと過半数が「レインジャケット」と言うと思います。こちらも大都市部ではやはり傘使用率が高くなりますが、それでも日本ほどではありません。これが僕の住んでるような田舎に行くと、傘は完全に少数派となってしまいます。ほとんどの人がレインジャケット、レインコート(あるいは濡れるにまかせてズブヌレ)。しかも彼らのほとんどは、ジャケットやコートを羽織るだけで、レインパンツは着用しません。

僕のリサーチによると、理由は以下の通りになるようです。
[ 理由その1 ] 英国文化の影響?
NZはいまだに英国文化の影響を色濃く残しています。バリッとお洒落した英国紳士が、細く細くキリリと巻いた傘をアクセサリーとして持ち歩き、雨が降っても決して雨具としては使わずにレインコートでしのいだというのは、有名な話。いまどきこんなアナクロな格好をした紳士もめったにいないのでしょうが、ともかくそんなことが出来たのも、英国の雨が霧雨系だからだとか。日本のような大粒の雨では、どうしても傘をさしたくなります。ところが日本と同じような激しい雨が降るNZには、いまだにこの影響が残っていて、紳士だけではなく、国民全体が傘をささない傾向が高いらしい、という新説が急浮上してきています。

[ 理由その2 ] 親水性が高い?
僕はシーカヤックガイドですから、世界各国からのお客様の「親水性」を日々眺めています。長年の観察によると、世界で一番濡れるの気にしない国籍は、キウィのようです。「アウトドアズマン率が世界最高」、「人口比ヨット所有率世界一」、「雨の中でも働く農林水産業従事者が非常に多い」、「水を見ればすぐ飛び込む水泳好きが多い」などがその理由だと思われます。濡れるのを極端に嫌う日本人とはまったく対照的ですね。

[ 理由その3 ] 単なる不精?
もう一つキウィを見ていて感じるのが、「彼らは傘が面倒なのでは?」ということです。特に、降るかどうか分からないのに傘をブラブラと持ち歩くとか、雨がやんでしまったあとに不要になった濡れた傘を下げて歩くのが、彼らにとってはかなり「うざったい」のではないか、というのが最近支持を集めている仮説です。

以上、僕がその辺にいた友人三名にインタヴューした結果判明した、最新の社会調査結果をお届けいたしました。もちろん僕の説なので、学会では承認されていません、あしからず。

冗談はさておき、かくいう僕自身も、よほどの場面じゃないと傘もレインパンツも使いません。キウィと同じく傘はなんだか面倒だし、普段は「短パン+裸足またはサンダル」なので、下半身は濡れてもふけばオシマイで、レインパンツなんて不要。ちなみに僕がレインパンツをはくのは、長ズボンがいるほど気温が低いときの冬のキャンプ中に、バケツをひっくり返したような土砂降りになった場合ですが、冬にはキャンプ・ツアーの仕事はほとんどやらないので、こんなのは年に一回あるかどうか、といったところです。

そんなわけでNZでは、日本人の好みに合うような、軽くてお洒落な良い傘はなかなか手に入りません。特に非常にコンパクトになる超軽量折りたたみ傘なんて絶望的。こちらにいらっしゃる場合は、お気に入りの傘をお忘れなく。

画像:最寄の町で10分ほど立って調査してみた結果、約100名の通行人のうち、傘を持っていたのは画像に写っているご婦人1名だけ。残りの約99名は傘なしで、フードをかぶっている人さえも少数派でした。

【短信】例年通り、そろそろ雨が増えてきて憂鬱です。でもようやく冬至を過ぎて、これから日が長くなっていくと思うと、少し気が晴れます。(6/22)


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