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赤ちゃんの誕生は大事件です。小さな子のいる生活は張り合いがあって楽しいものですが、赤ん坊が泣き叫んだり、幼児が走り回ったりで落ち着かなくなり、同時にモノがどんどんあふれ始めるのにはいささか閉口させられます。お気に入りの落ち着いたインテリアが、オモチャのせいで現代アートもビックリのケバケバしいアヴァンギャルドに変わり果て、「あぁ、やっと完成した理想の部屋がぁ……」と頭を抱えていらっしゃる方が日本全国で三百万人以上、かどうかはよく知りませんが、ともかく家中で爆発する色彩の嵐を眺めてると、逆に陰鬱な気分になって眉間にもシワの一つも寄ろうというもの。イエス・キリストの誕生を境に西暦はBC(紀元前)とAD(紀元後)に分かれますが、それにならえば赤ちゃん誕生前の落ち着いた生活が「我が家のBC = ビフォア・チルドレン」、誕生後は「我が家のAD = あぁもぅ、どうしてこんなに散らかすの!」といったところでしょうか。
散らかる、けばけばしいの二点を我慢するとしても、オモチャにはもう一つ厄介なところがあります。そうです、すぐ飽きちゃうんですよね。決して安くはないのに、子供はすぐに他のオモチャに目移りしてしまいます。それもまた成長の証しなので喜ばしいことではあるのですが、でも買ったばかりをオモチャが放り出してあると、やっぱり親としてはトサカに来てしまいます。
ニュージーランドには、そんな親御さんたちに強い味方がついています。「トイ・ライブラリー」と呼ばれる公共施設がそれで、文字通りオモチャを貸し出す図書館のようなところ。地方自治体の運営なので、地域によって多少のシステムの違いはあると思いますが、年会費を払って会員になり、一定の期間オモチャを有料で借りられるという仕組みですので、図書館というよりはむしろレンタル・ヴィデオ屋に例えた方が分かりやすいかもしませんね。
我が地元の場合は、通常年会費が18ニュージーランド・ドル、一回の貸し出し期間は2週間で、賃料はオモチャによって50セントから5ドルまで幅があります。ラインナップも豊富で、普通のオモチャは言うに及ばず、乗って遊ぶ三輪車の類や中に入る家型、あるいは家庭用滑り台などの大型のオモチャから、扮装用パーティ衣装、絵本、テープ、音楽CD、CD-ROM、ヴィデオ&DVDなど、オモチャ屋さんにあるようなものは一通り揃っています。ただし、対象年齢が十歳以下なので、プレステなどのヴィデオ・ゲームの類はありません。この辺りも、むしろ親にとっては安心できる点だったりします。ほら、頼もしい味方でしょ?
貸し出し業務は、ヴォランティアの主婦によって運営されています。貸し出し返却などの窓口業務もさることながら、大切なのは戻ってきたオモチャのパーツがきちんと揃っているかどうかのチェック。特に大変なのはピース数の多いジグソーパズルとかレゴのようなブロック類だそうで、聞けば確かにずいぶんと面倒そうです。
我が家の娘は三歳になったばかりなのですが、すでに一定期間借りたあと返さなきゃいけないというルールを理解していて、むしろ二週間ごとのとっかえひっかえに満足しているようです。借り物は大切にしなきゃいけないということも少し分かってきてくれたようで、公共意識をこんな小さな頃から学べるのも、良いことだなと思います。また彼女は、オモチャというものは「親が作る」か「トイ・ライブラリーで借りる」かのどちらか、だと思っているらしく、「買って買って」とやたらにせがまないのも助かってます。というわけで、我が家では今後もしばらくトイ・ライブラリーにお世話になる日々が続きそうです。
画像:親の強い味方、「トイ・ライブラリー」。オモチャをはじめ、さまざまなものを一定期間借りることができる。
【短信】そろそろ初冬だというのに、なぜかシーカヤックの仕事がまだまだやたら忙しい今日この頃です。(5/25)
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