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旅の目的の一つに、「驚き」があります。最近は「癒し」もがんばってますが、やっぱり「驚き」人気は根強いです。西洋人ばかりか日本人にとっても、アジア諸国では到着直後から驚きの連続ってこともあるでしょう。でも西洋文化圏の高福祉国家ニュージーランド(以下NZ)では、いきなり目が点になるような事態に遭遇するなんて、きっと誰も期待してないはず。ところが国際空港を出たとたん、街中を「裸足」で闊歩する人が……!
「国際空港を出たとたん」と書きましたが、ホントはオークランド、ウェリントン、クライストチャーチの三大都市市街地では、さすがに裸足遭遇率はあまり高くありません。ところが田舎は裸足だらけ。アウトドアズマンやヒッピー系の人たちはもともと裸足を好む傾向が強いのですが、僕の住む地方は三つの国立公園に囲まれている上に、晴天率が高い温暖な気候なので、彼らが集まってくる条件が揃っており、したがって裸足率はことさら高いようです。もちろん子供たちだって裸足で元気に走り回ります。しかし、洒落たワンピース着てきちんとお化粧までしたキレイなお嬢さんがペタペタと裸足で歩いているのを目にすると、今でもちょっとドキッとします。
外出時は靴を履くけど自宅の庭なら裸足でも平気という人はさらに多く、おそらくほとんどのキウィ(NZ人)がそうなのではないかと思います。例えば洗濯物を干してる主婦の足元が裸足なんてのは、わりと当たり前の光景です。
NZが裸足大国になったのには、歴史的経緯があります。20世紀初頭、英国系移民に対する先住民マオリの不満が高まり、社会不安となりました。そこで時の総理大臣は、マオリにならって「裸足政策」を実行し、両者の融和親睦を実現しました。つまりキウィの裸足は、今も国家統一の誇りなのです。というのは今思いついたホラです、ゴメンナサイ。ホントの背景は知りませんが、きっと大した理由なんてないと思います。
実は僕も裸足愛好者です。シーカヤックガイドという仕事柄、勤務中は安全装備として日本の誇るワークブーツ(地下足袋)をはきますが、通勤時も町に出かけるときもたいてい裸足。最初は痛いですが、慣れるとこれが素晴らしく気持ちがいいのです。芝生、土、砂、砂利、岩場、アスファルト、コンクリート、腐葉土、そして枯葉の絨毯。乾いた路面、濡れた路面、日向の路面、日陰の路面、夏の路面、そして凍てつく冬の路面。刻々と変化する微妙な感触を、足裏で味わい分ける楽しみを一度覚えると、靴底で大地とのふれあいを断たれてしまうことに、大きなフラストレーションさえ覚えます。
昔の自分が、足元をごついトレッキングブーツで固めながら「自然とのふれあい」を標榜していたことを思い出すと、我ながら面映かったりして。そうそう、健康法としても特筆モノです。寒くて裸足外出率の減る冬場は、どうも身体がだるくなりますが、春になって裸足が増えるととたんに元気になるのは、僕だけでしょうか?
「米国のある州じゃ、裸足外出を法律で禁止してるらしいぜ」
「マジかよ? どこが『自由の国』だよ」
「まったくだ、野蛮な国だよな」
ある日の同僚同士の会話ですが、横で聞いてて思わず吹き出しました。裸足の野人のごときアウトドアガイドに、野蛮だの文化程度が低いのと揶揄されていると知ると、米国人はどんな顔をするのでしょう? とはいえ、米国のことは笑えない我が祖国に考えがいたって、僕の頬は半分笑ったまま引きつってしまいましたが。
ちなみにこんなことが出来るのも、もちろんNZの路面が綺麗だからです。何が落ちてるか分からないような場所では、さすがのキウィも裸足では歩けません。これからもNZが裸足大国であり続けられますように。とはいえ、そろそろ裸足の季節も終わりですが。
【短信】晴れた午後はまだなんとか短パン、Tシャツ&裸足でも大丈夫ですが、曇るとセーターが欲しくなる今日この頃。冬はすぐそこまで来てます。(5/2)
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