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我が地元はホップの名産地。そう、ご存知ビールの原料です。日本人にはあまり馴染みのない作物で、一見してすぐにそれと分かる方はほとんどいらっしゃいませんが、でも実はニュージーランド(以下NZ)でも事情は似たようなもので、ほとんどのキウィ(NZ人)もホップのことはよく知りません。なぜって、ここ以外ではホップは作られていないからです。
この地方のホップ産業は大規模。品質は優良で、ドイツからもブローカーが毎年買い付けに来ているようですし、日本にも輸出されています。輸出した残りでNZ国内産のビールも全部まかなってしまうと聞いていますから、量だって大したものです。そういえば一昨年日本に一時帰国していたとき、「NZホップ使用」を大きくうたった発泡酒がありました。ここのホップに違いありません。思わぬ「再会」に、感激しました。
ちょっと余談ですが、この地方はかつてタバコの一大産地でした。税制が変わってタバコへの課税が急に重くなったのがきっかけでタバコ産業が一気に廃れたのですが、その後はビールの原料を作るようになったというのが面白いところ。このあたりの農家は、よほど「嗜好品」が好きなのでしょうか?
さて、この原稿を書いている3月は収穫期の真っ最中で、道路は運搬トラクターで渋滞気味。ちょっと収穫現場をのぞいてみましょうか。ホップは多年生つる植物、地面から3mほどの高さまでひもを張っておけば、勝手に芽を出してどんどん育ってしまう、いたって手のかからない作物です。除草だって、羊が勝手にやってくれます。ただし、収穫には二種類の特殊なトラクターが必要になります。まず小形専用トラクターが、地面すれすれにホップの茎とひもを切りながら、畑の中をくまなく走り回ります。
その後登場するのが、ひもの上端を切り取る大型トラクター。右横画像の右側の背の高いのがそれです。切られたホップは左側に待機している運搬トラクターの荷台にそのまま落ちる仕組み。ちなみにホップのアロマは婦人科系の病気によく効くそうです。ホップ農家の女性に生理不順や生理痛などが極端に少ないことがキッカケで発見されたのだとか。またホップは、母乳の出をよくする働きもあるということです。
ところで、ちょっと意外かもしれませんが、NZはドイツと肩を並べるほどのビール消費大国。ちょっと古い資料ですが、手元にある1999年出版のビール・ガイドブックをみると、ブルーアリーが60以上、ビールが230種類以上載ってます。1社平均4種類弱という商品数は、日本のビール会社と比べるとちょいと貧弱ですが、その反面、ブルーアリーが60以上っていうのはスゴイでしょ?
え、ピンと来ませんか? NZの人口は380万人ですから、静岡県民と同じくらいです。静岡県に60軒を超えるブルーアリーがひしめき、230種類以上のビールが作られてると思ってください。ほら、キウィの飲みっぷりが想像できませんか?
しかも、日本のようにラガー一辺倒ではなく、スタウトやエール、ピルスナーなどもたくさん作られてますから、まさにビール天国です。これら市販ビール全部を飲み比べてガイドブックを出す人が何人もいるのだから、まったく呆れちゃいますね。
ちなみにNZでは家庭でのビール作りも人気が高いです。最近はだんだんと廃れてきているようですが、以前はどこの家でもたいていビールやサイダーを醸造していたとか。自家製も含めると、NZ全体ではいったいどれだけのビールが作られ胃袋に消えていることやら、想像しただけで呆然と開いた口がふさがらなくなっちゃいます。さて、ふさがらなくなった口には、ビールを流し込むことにしましょう。Cheers(乾杯)!
画像右上:これがホップ。ソラマメより一回り大きいくらいです。
画像左上:畑と集積所の間を、たくさんの運搬用トラクターがノロノロ……。
画像右中:ひもを這わせて栽培されているので、収穫にはひもを切る特殊装置のついたトラクターが使われます。
画像左下:切られたひもごと、ホップは運搬用トラクターの上にそのままドスン。
画像右下:収穫期以外は、こうしてNZ名物が、「自動除草機」として働いています。
【短信】3月20日にサマータイムが終わり、秋が本格的に深まってきました。
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