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毎年2月から3月の間にポルトガルではカルナヴァル(カーニバル)が行われる。年によって開催日が変化するが、今年(2008年)は2月3日から始まって、5日か6日まで数日間続いた。
ポルトガルのカルナヴァルで最も有名なのがトーレス・ヴェドラス(Torres Vedras)。リスボンから北に車で1時間ほど走った所にある町だ。周りを果樹園に囲まれた静かな町だが、カルナヴァルの季節になるとがぜん勢いづいて、準備の段階からテレビのニュースに取りあげられる。
私たちは毎年地元セトゥーバルのカルナヴァルを楽しんでいるが、今年はトーレス・ヴェドラスのカルナヴァルを見ることにした。あいにく初日、翌日とも天気が荒れ模様で、気温が低く、出かける気にならなかったが、思い切って最終日の5日にトーレス・ヴェドラスに出かけた。
カルナヴァルのパレードが行われる旧市街に通じる道はどこも柵でふさがれて、係員が立っている。そこで入場料5ユーロを払って中に入った。パレードは2時半から夕方5時半まで。しかし始まったのは3時を過ぎていた。道の両側はいつの間にかびっしりと大勢の観客が立ち並び、まだぞくぞくと詰めかけている。観客も思い思いに仮装をしているが、小さな子供たちが特別可愛らしい。
パレードの主役は巨大なオブジェ。トーレス・ヴェドラスの特徴は政治的な風刺を表現したオブジェで、いつも話題の中心になっている。毎年ニュースで放映されるが、今年は私たちの目の前を巨大な実物が次々と通って行く。
そのオブジェとオブジェの間に地区別にテーマにそって仮装したグループが踊りながら行進する。そのまた合間に女装した男たちが大騒ぎしながら踊って行く。この女装集団もトーレス・ヴェドラスのカルナヴァルの特徴だ。
みんなこの日は無礼講とばかりに、踊り狂い、仮装の人物や物になりきって思い切りエネルギーを発散している。ここには半裸体の女性は一組しか見当たらない。
半裸体の女装をしている男性たちはいるが、そのほとんどが裸体に見せた肌色の肉襦袢(じゅばん)を着ている。なにしろ寒い! 見物客はみんながっぽりと厚手のコートを着込んでいる。ブラジルのリオ・デ・ジャネイロは南半球だから夏だが、北半球に位置するポルトガルは寒い冬の真っ只中。去年は2月末に開催だったからまだ良かったが、今年は2月初めなので出演する人々は大変だ。
カルナヴァルといえばブラジルのリオ・デ・ジャネイロがあまりにも有名だが、もともとはヨーロッパから始まったもの。キリスト教の宗教行事のひとつらしい。それがポルトガル統治下のブラジルで形を変えて、今ではブラジル式カルナヴァルが世界で有名になっている。そして逆輸入されて、ポルトガルのカルナヴァルも年々派手になっている。トーレス・ヴェドラスのカルナヴァルはまだ伝統的な感じも残っているが、パレードの音楽はブラジルのサンバが大音響でひっきりなしに流れている。
パレードは旧市街の特設ルートをぐるぐると何度も回る。一周はかなりの距離だ。それを踊りながら回るので、出演者は大変だが、みんないきいきと楽しそう。でも時間が経つにつれ、小さな子供たちはさすがにしんどそう。そして大太鼓を抱えて叩きながら行進していた若者集団もグッタリと、今にも倒れそうな様子だった。
夕方6時過ぎに“公式のパレードは終わり”のアナウンスがあったのだが、そのあとも観客も入り乱れてパレードは延々と9時すぎまで続いた。パレードがすっかり終わっても人びとは友人や知り合いと立ち話。カフェやレストランはどこも満員。
ようやく人びとが引き上げて、町が閑散となったころ、箒を持った掃除人たちと散水車がどこからともなく現れて、紙テープなどが散乱している道路や公園の大掃除を始めた。そして翌朝、町はすっかり清潔になって、前夜の大騒ぎは跡形もなくなっているのに、私は驚いた。
画像上右:巨大なオブジェが次々とやって来る。これは、サッカーチームのスキャンダルを風刺。
画像上左:政治家のオブジェ。
画像中右:仮装した男たち。
画像中左:女装した男たち。
画像下右上:前後は人形で、真ん中が人。一人で踊いるのだが、まるで三人が踊っているように見える。
画像下左上:“犬”馬車も登場。
画像下右下:若い女性たちがフォルカドス(農民)に扮して、張り子の牛を相手に闘牛。
画像下左下:もうかなりバテぎみの太鼓部隊。
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