■ロスマリヌスとロスマニニョと蜂蜜 2007.12.18 update

我が家からサン・フィリッペ城(1582年築城)の後ろにアラビダ山が見える。「シェーラ・ダ・アラビダ」と言う。サド湾の入り口にそびえる山で、一帯が国立公園になっている。もともと海中のサンゴ礁が隆起してできた山なので、全体が石灰岩で、その上に雑木などが生えている。

頂上に近い所には古い修道院がある。昔は修道僧たちがそこで自給自足をして、瞑想と祈りの毎日を送っていたそうだ。私も一度広大な敷地と建物の内部を見学したことがあるが、敷地のあちらこちらに人一人がすっぽりと入れる瞑想の場所が点在していた。そこからは眼下にサド湾が開け、碧い大西洋が広がっている。


画像右:アラビダ修道院全景
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アラビダ山の岩の上には、海から吹き上げてくる強風に耐えながら低い潅木がしがみついている。そんな中に小さな薄紫の花を枝いっぱいに咲かせる低木が無数に茂っている。ロスマリヌスという。ローズマリーのことだ。

セトゥーバルのメルカド(市場)には蜂蜜だけを売る店が出ている。また近郊のアゼイタオの露店市には数軒の蜂蜜屋が出ているが、どちらも「アラビダ山で採れた蜂蜜」を売り物にしている。「アラビダの蜂蜜」は友人たちも知っていて、「蜂蜜の中でもあれはいいものらしいよ」などと言う。たぶん大昔からあの修道院で作っていたのではないだろうか…。

ところが数年前にアラビダ山の広範囲が山火事に遭い、かなりの打撃を受けた。山への立ち入りもしばらく禁止され、同じ頃にメルカドの蜂蜜屋も時々見かけないことがあった。アラビダの山中に置いてあった養蜂箱もかなり焼けてしまったのかもしれない。その後、時々出ている蜂蜜屋の店先ではアラビダの蜂蜜は数がかなり減って、その代りにサド湾を渡ってトロイアからだいぶ奥に入ったあたりで採れる蜂蜜が多くなってきた。

画像左:アラビダ山で撮影したロスマリヌス=アレクリン=ローズマリー。デジカメで拡大するとまるでランの花のようだ。
画像中:メルカドの蜂蜜屋さん
画像右:トロイア産蜂蜜(左)とアラビダ産蜂蜜(右)
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ある日、スーパーで「メル・デ・モンターニャ(山の蜂蜜)」というのが目に付いた。立派なラベルが下がっていて、花の写真が付いている。野山でたくさん自生している野生のラヴェンダーだ。その下に小さくロスマニニョとある。

おかしいな?と思って辞書を引くと、「ロスマニニョ=ローズマリー」とある。でも蜂蜜のラベルの写真は確かにラヴェンダー? ネットで徹底的に調べた結果、ロスマニニョは野生のラヴェンダーの写真が出てきた。そしてアラビダ山に自生している花はロスマリヌスと言うのだそう。これがローズマリーだ。ややこしい!

メルカドの裏の出口にいつも野生のハーブや薬草を売っているおばさんがいる。その日、前を通ると、山から取ってきたらしい野草の鉢植えがいくつか並んでいた。その中にアラビダのロスマリヌスの鉢がひとつあったので、念のため名前を尋ねると、彼女ははっきりと「アレクリン」と言った。アレクリン? 小さな薄紫の花はロスマリヌスとまったく同じである。

その鉢植えを買って帰り、「アレクリン」を辞書で引くと、「ローズマリー、まんねんろう」と載っている。ロスマリヌスは=アレクリン=ローズマリーで、野生のラヴェンダーはロスマニニョ、ということになる。まったく異なる花なのに何故か名前はそっくり。そしてどちらの花にもミツバチが蜜を集めに来る。

買ってきた「ロスマリヌス=アレクリン」の鉢植えをベランダに置くと、いつの間にか虫が飛んできた。ミツバチが一匹、夢中になって花から花へと飛び回り、蜜を吸っている。どうやってこのベランダのロスマリヌスの存在を知ったのか? いったいどこから飛んで来たのか? 不思議!と思いながら、観察していた。

画像左:ロスマニニョ(野生のラヴェンダー)の大株が辺り一面に自生している(トロイア)。
画像中:トロイアの松林に自生するロスマニニョ(野生のラヴェンダー)。
画像右:我が家のベランダに置いた小さな鉢植えのロスマリヌス(ローズマリー)にもさっそく蜜蜂がやって来た。
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【短信】こちらも年末らしい寒さになり、町を歩くと広場や通りは様々なイルミネーションが輝いています。(12/4)


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