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春になるとランプライヤの話題がTVのニュースでたびたび流れる。ランプライヤとは八目うなぎのこと。この時期、海から川に産卵のためにさかのぼってくるところを河口付近で待ち構えて捕るという。ポルトガルでも北部の名物料理で、みんながランプライヤを食べにレストランに押しかける。この料理は期間限定で4月までしか出さないそうだ。
先日友人から、リスボンでもランプライヤを出しているレストランがあるので、ぜひ一緒に行こうという強力な誘いがあった。前々からいったいどんな味がするのか興味があったので誘いに乗って出かけた。そのレストランは北部ミーニョ地方の郷土料理を専門にしている店。といっても高級レストランではなく、どこにでもある安食堂といった感じの店構え。中に入るとまだ時間が早いのに、テーブル席は半分ほどお客が座っている。
ランプライヤ料理は米と一緒に炊いたリゾットで、値段が一人前25ユーロとかなり高い。先月一度食べた友人は、「ランプライヤ鍋は一人前にして、他の料理を取ってみんなで分けた方がいい」という。味がきついので3人前も取ったらとても食べきれないのだそう。そこでランプライヤ鍋を一人前とバカリャウのフリット(タラのフライ)と豚肉のステーキにした。
北部ミーニョ地方はヴィニョヴェルデという発泡性のワインが特産で、ランプライヤ料理も赤のヴィニョヴェルデと一緒に食べるという。注文が終わるとさっそく自家製の赤ヴィニョヴェルデが出てきた。しかもグラスではなく、湯呑のような茶碗に注いで飲むのがミーニョ風。白い陶器の茶碗は縁が赤く染まった。かなり渋くて酸っぱい。
お昼を過ぎると店は急に立て込んできて、満席になった。会社員や役人風、それに警官も4人いて、一人は女性警官。どのテーブルもランプライヤ鍋と赤のヴィニョヴェルデが並んだ。私たちの席にも運ばれてきた。鍋の蓋を取ると、紫色に染まったリゾットのなかに薄黒い切り身が入っている。小さい切り身がふた切れだけ。しかたがないので3人で少しずつ分けた。
紫色に染まったリゾットはかなり酸っぱい。赤のヴィニョヴェルデとランプライヤの血と一緒に炊き込んであるそうだ。ランプライヤそのものはふっくらと柔らかく、味はこってりと脂が乗っているが、臭みはなく思ったよりあっさりしていて意外だった。煮魚にした鯖の腹身に似ている。しかし骨の部分はとても骨とはいえない、軟骨よりももっと柔らかく、たとえばよく煮込んだ筋を食べるようなプチプチとした感じ。ランプライヤはうなぎといっても原始的なうなぎだからな〜と思っていた。以前、うなぎのぶつ切りと米を一緒に煮込んだリゾット「アローシュ・デ・エンギイア」を食べたが、うなぎの骨はかなり硬かった。ここがランプライヤとは大きく違う。
他の席では食べ終わって、ヴィニョヴェルデも一本飲み干して、コーヒーの後でアルコール度の強いアグアデンテを飲んでいる。葡萄の絞り粕から作った蒸留酒で、沖縄の泡盛や熊本の球磨焼酎などとそっくりな味で、アルコール度も50パーセントほど。店主がビンを持って常連客たちにお代わりをサービス。私たちにも勧めたが、あわてて断った。警官たちはくいくいと飲んでいる。あんなに飲んで、まさかパトカーの運転はしないだろうな〜と心配になる。たぶん歩いてパトロール勤務だと思うけど…。
帰宅してからさっそく「八目うなぎ(ランプライヤ)」について調べてみた。それによると日本にもいて、新潟や青森など東北地方に生息、干物などにして食べるそうだ。フランスのボルドーでも米と一緒に赤ワインで煮込んだ料理があるらしい。ポルトガルのミーニョ地方とほとんど同じ調理法だ。そして「八目うなぎはヤツメウナギ科に属し、魚ではない」と書いてある。魚ではない?どういうこと? たしかに原始的な生き物だというけれど…。
読み進めていくと驚くべきことが〜。「八目うなぎは歯がない。強力な吸盤が口にあり、それで大型の魚、たとえば鮭などに取り付いて身体に傷をつけ、その魚の体液や養分を吸い取って生きている。その様子は大型のヒルが吸い付いていると思えばよい」。「ぎゃ〜ぁ!」。知らずにとはいえ、食べてしまった〜。そういえば友人が美味しそうに食べる私たちを見ながら、「いや〜、平気で食べてる!すご〜い」と騒いでいたのを思い出した。う! でもランプライヤは栄養価が非常に高く、特に目の病気には良いとかで、「ランプライヤの季節」を待っている人も多いようだ。
画像右上:ミーニョ料理の専門店
画像左上:茶碗で飲む赤ヴィニョヴェルデ(発泡性のワイン)
画像右下:ランプライヤ鍋。一人前がこんな鍋で出てきた。かなりの量がある。
画像左下:アローシュ・デ・ランプライヤ(ランプライヤのリゾット)
【短信】ポルトガルも良い季節になり、郊外に出かけると野の花が咲き乱れ、目を奪われるようです。(4/8) |