■ポルトガルの物価は… 2006.12.19 update

物価が安い、安い!と思っていたポルトガルですが、EUに加盟してからは、目に見えて物価が上がっています。2002年の1月1日から通貨がエスクードからユーロになりましたが、その前年から国中で大騒ぎでした。田舎の老人たちはエスクードとユーロの換算が解らないので、地元の教会の牧師さんが換算表を作って、即席のユーロ教室を開いているニュースが毎日のように流れました。

私はユーロになると便乗値上げで物価が上がるのではないかと心配していましたが、そんな様子もなく、単にエスクードをユーロに換算しただけなので、「商売人も良心的だわ」と感心したり、安心したりしていました。

ところがそれは一時のことで、ハッと気が付くと、1年後には物価はものすごく値上がりしていたのです。それも巧妙に! たとえばレストランでイワシの炭火焼一人前が800エスクードだったのが、8ユーロになりました。800が8だからなんとなくそんなものかな〜と、心理的に幻惑されてあまり気になりません。でも落ち着いて考えると1ユーロ=200.482エスクードなので、800エスクードは4ユーロのはずなのですがなぜか8ユーロ。8ユーロはエスクードに換算すると約1,600エスクードで、いっきょに2倍の値上げなのです。なんだかキツネに化かされたようなものです。

日曜日に露店市に行くと、以前はTシャツ一枚が「キニエント?(500エスクード)」と叫んでいたのが、今は「シンコエウロ?(5ユーロ)」とお客を呼び込んでいます。5ユーロは1,000エスクードなので、露店市さえ2倍の値上げです。メルカドではジャガイモが1キロ50エスクードだったのが50センチモ(100エスクード)と、あらゆる物が2倍です。いちいちエスクードに換算したら腹が立って何も買えないので考えない事にしましたが、人間の慣れとは恐ろしいもので、今では私の意識もすっかりユーロ基準になってしまいました。

ところで物価が2倍になったら人々の所得も2倍にならないと生活していけませんよね。でもこのごろは地元に根づいた外資系企業やポルトガルの企業でさえ、より賃金の安い東欧などへ移転していますし、中国からの安い衣料や雑貨が大量に輸入されるせいで、ポルトガルの製造業が大きなダメージを受けて各地で工場閉鎖があいつぎ、所得倍増どころか失業者が大量に出ています。同じ工場に30年以上勤めていた夫婦が一度に職を失って、途方に暮れているというニュースもありました。

工場労働者だけでなく、今年の9月は学校の先生たちがストライキをして、そのために9月からの新学期がなかなか開始されず、子供たちや親が鍵のかかった校門の外で騒いでいました。その他にも、病院の医者やスタッフがストライキをしたり、消防士や警察官のデモ、学生たちが授業料値上げ反対のデモ、漁師たちの海上デモなど、「収入が少ないから上げてくれ!」と訴えるデモが毎日のように報じられています。漁師たちの場合、EU内で漁獲高の制限をされた上に船を動かす燃料の高騰で、大変らしいです。

私たちの生活も当然影響が出ています。それも物価が2倍になったのと、ユーロ高、円安とのダブルパンチをくらっています。1ユーロは最初100円そこそこだったのが、どんどん上がって今では154円以上で、これだけでも1.5倍の実質値上げと同じです。我が家の家計簿を元に、現在の物価表を別表にまとめてみました。米や野菜は日本に比べてぐっと安いですが、洗剤やガソリンは高いですね。光熱費は同じ程度でしょうか。光熱費は民営化されて吸収合併を繰り返した結果、ぐ〜んと値上がりしました。

住居については、たとえば3部屋と居間、台所、風呂という間取りの場合、購入すると13万ユーロ(1,950万円)ほどで、借りると家賃は500ユーロ(75,000円)ほどです。これは家具、冷蔵庫、洗濯機、TVなどほとんど付いていますから、借りたその日から生活できるので便利です。

住宅はユーロになって2倍ほど高くなっていますが、家賃は以前に比べてむしろ下がっています。これはユーロになって銀行が庶民に借りやすいローンを作り、ゆとりのある人がローンを組んで利殖のためにもう一件マンションを買って貸家にしている結果、供給がだぶついてきたのではないかと思います。これはポルトガルに一年以上住んでみたい方にはとても良い状況です。なにしろ私たちが初めてポルトガルに来て貸し部屋を探した時は、リゾート客用の貸しマンション家賃30万円などと紹介されてビックリ仰天だったのです。その後、必死に探しても貸し部屋その物が少なくて、安い所でも7〜10万円の家賃が普通でしたから。

【□物価表】

黒豚ロース肉(1kg)10euro=1,500円 小アジ(1kg)2.50euro=375円 金目鯛(1kg) 8euro=1,200円
ニンジン(1kg) 0.60euro=90円 キャベツ(1kg) 0.80euro=120円 玉ネギ(1kg)0.60euro=90円
ジャガイモ(1kg)0.50euro=75円 米(1kg)0.60euro=90円 ミカン(1kg)0.64euro=96円
リンゴ(1kg)1.20euro=180円 卵(12個)1.45euro=218円 特農牛乳(1L)0.65euro=98円
珈琲豆(250g)1.93euro=290円 洗濯洗剤(60回分)12.48euro=1,872円 ガソリン(1L)1.15euro=173円
電気料金(月平均)24.16euro=3,624円 ガス料金(月平均)26.70euro=4,009円 水道料金(月平均)11.64euro=1,764円

画像右上:ユーロ紙幣とコイン
画像左上:街中の小さな店には何でも売っている
画像右中:新鮮な野菜がどっさり並んでいるメルカドは、いつも大にぎわい
画像左中:6足組で5ユーロの靴下は、以前は500エスクード(2.5ユーロ)で売られていた
画像右下:供給がだぶついてきたせいか、マンションの上の階も下の階も売りに出されている
画像左下:下の階には“貸しマンション”の張り紙、上の階ではパイナタール(サンタクロース)がベランダから訪問中

【短信】日本はだいぶ寒くなってきたようですね。こちらはこのところずっと天気が悪く、天気予報を見ながらの洗濯です。それでも空を見ながら洗濯物を出したり入れたりと忙しいです。つい先日もひどい暴風雨が吹き荒れ、セトゥーバルの港に繋留してあった漁船が一隻ひっくり返って沈んだそうで、ポルトガルテレビのトップニュースになりました。前代未聞のできごとで、驚きました。(12/7)


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