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猛暑と山火事の多発した夏の暑さもどうにか和らいできたこの頃、各地で葡萄の収穫とビーニョ(ワイン)の仕込みが始まっています。今年は夏の最中に突然雨が降ったり、強風が吹いたりと、天候異変で葡萄の生育にも影響がでたかも…と気掛かりです。そんな中、セトゥーバルの郊外、パルメラでは恒例の葡萄収穫祭ヴィンディマシュが始まりました。9月初旬の6日間、様々な行事が行なわれます。町の高台にある広場を中心に周囲の道路は意匠を凝らしたイルミネーションが飾られ、路上には屋台がずらりと並び、移動遊園地もできています。
セトゥーバルの近郊にはワインの酒蔵所が大小取り混ぜると10数軒以上あり、フランスやドイツのワイン品評会で受賞した高級ワインメーカーや、1本1ユーロほどの大衆向けワインを出荷する会社など様々です。そうした酒蔵所が高台の公園に模擬店を構えて自慢のワインを並べているので、あちこちの店を渡り歩いて試飲ができます。
普通のワインの他に、セトゥーバルには「モシュカテル」というのがあって、食前酒やデザートワインとして愛飲されています。モシュカテルは元々、ローマ人によってもたらされたそうです。紀元前2〜1世紀ごろイベリア半島はローマ人に統治されていて、セトゥーバルに住み着いたローマ人達は塩田を開き、イワシの塩漬けなどを遠方の町に運んでいました。その頃にマスカットの苗木を持ち込んで、セトゥーバルのアラビダ山麓で栽培したのが「モシュカテル」の起源だそうです。甘くて香り高いモシュカテルは、夏の熱い太陽の下、冷やして飲むと格別の美味しさです。
画像説明文:
画像右:左の3本はモシュカテル・セトゥーバル。右端は、2005年パリのワイン品評会で銀賞を受賞したパルメラワイン。
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パルメラの葡萄収穫祭のハイライトは何といっても日曜日の朝に行なわれる「ピザ」(葡萄踏み)でしょう。サン・ペドロ教会の入口の階段に2メーター四方の浅い枡が作られ、そこに摘み立ての葡萄を次々に運び入れ、数人の男たちが素足で踏み潰していきます。葡萄の房は小さな粒がびっしりと付き、まるまると太っています。緑の葉っぱが付いたままの葡萄を男たちがグシャグシャと潰すたびに豊富な果汁が桶の中に溜まっていきます。
民族衣装を着た小さな子供たちが葡萄の入った網かごを手に教会の階段の下に座り、その様子を見あげています。あどけない子供たちはまるで天使のよう。その間に、広場では民族服を着たグループが地区ごとに出て、フォルクロア(フォークダンス)が始まりました。葡萄摘みの農民の服装で、アコーデオンなどの演奏と甲高い歌声に合わせてクルクルと激しく軽快に踊ります。広場の周りには観客が大勢集まり、葡萄踏みの進行を見ながら、フォルクロアを楽しんでいます。
画像説明文:
画像左:2メーター四方の枡に運び入れた葡萄を踏み潰す男たち
画像中:教会の前で葡萄の収穫祭ヴィンディマシュ
画像右:農民の服装でフォルクロア(フォークダンス)
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教会の階段の横には特設台があり、そこには数人の奇妙な服装の人たちが並んでいて、全員が黒い帽子を深々と被り、海老茶色の長いマントで身をつつんで神妙に何かを待っています。やがて葡萄踏みが完了して、枡の栓を抜くと、絞り汁がドバドバと勢いよくほとばしり、それを大きなジョウゴで受けて壺に入れました。今年の葡萄の初絞りです。その壺をマントの集団が待ち受ける台に運び、ガラスの試験管のような容器に移し替えました。
マントの集団、彼らは葡萄の出来具合を調べる検定官なのです。団長が容器に入った一番絞りをおごそかに調べ、なにやらメモを書き付けました。そして今年の葡萄の出来具合が発表されました。「糖度3.1」とアナウンスされたとたん、関係者や観客から歓声と拍手が起こりました。その様子から、今年のワインは天候不順にも関わらず、上出来のようです。
評価の終わった一番絞りの液は小さな樽に移されて、それを持った女性が教会の階段を登って、入口のドアの前で待ちかまえていた神父に奉納しました。受け取った神父は広場の人々に向かって短い説教をしたあと、教会の中に入って行き、それに続いてマントの集団や関係者や信者たちがぞろぞろと後ろに従いました。近郊から数台のバスを仕立てて信者たちが詰め掛けているので、かなりの人数です。これから特別なミサが始まり、ミサの様子はTVで実況中継されるとのことです。私たちは信者ではないので遠慮して、模擬店や露店の立ち並ぶ公園に向いました。
画像説明文:
画像左:葡萄の一番絞り汁を甕に入れる
画像中:葡萄の出来具合を真剣に計る検定官たち
画像右:各ワインメーカーが出展している模擬店で一杯
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イルミネーションで飾り付けられた通りから楽隊の演奏が聞こえてきますが、どこにいるのだろうと見回すと、ずっと前を行く4人のおじさん達がそれらしき感じです。それにしても怪しい音色、怪しき音程です。駆け足で追いついてみると、4人はかなりの年のお爺さんたちです。バグパイプ、大太鼓、小太鼓にクラリネットを持って、歩きながら真剣な顔で演奏しています。音程は怪しいけれど、なんとも素朴でほのぼのとした感じです。
高台の公園ではワインの模擬店が3軒だけ開いていますが、他の店は夜の8時ごろにならないと開店しません。それでも公園の木蔭ではのんびりとベンチに腰掛けたり、ぶらぶらと散歩する人たちもけっこういます。そんな中を4人の楽隊は「ピーヒャラ、ドンドコドン?」と演奏しながら行進していました。祭の最終日は、夜中の1時にパルメラのお城から百連発の花火が打ち上げられます。今年も美味しいワインができそうで、良かった、良かった!
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画像左:4人の楽隊
画像中:夜9時過ぎから祭りは賑う
画像右:ミス葡萄収穫祭に選ばれた女性たち
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【短信】こちらは日中の陽射しは強く、ビーチはまだまだ賑っていますが、夜は急に温度が下がり、窓を閉めないと肌寒いほどです。(9/7)
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