■大通り公園の蚤の市 2006.1.16 update

今日は土曜日。少し気温は低いけれど天気は良いし、ちょっと町をぶらぶらしてみよう…と出かけました。町の中心にあるルイサ・トディ大通りの真ん中は細長い公園になっていて、椰子の大木やマグノリアが枝を広げています。木の下のベンチにはいつも老人たちが集まり、仲間とのお喋りを楽しんでいる姿を見かけます。彼らは幼なじみだったり、かつての仕事仲間だったりで、思い思いに公園に集まり、フットボール(サッカー)の賭けやトトロット(宝くじ)の話に花を咲かせているのです。

公園にはカフェテラスが二軒ありますが、どちらの店も次々とお客がやって来ていったん座ったらかなりの間ゆっくりしているので、なかなか空席がありません。たまたま空いた席が目に付いた時は私たちも座ってコーヒーやビールを飲んでひと時を過ごします。青い空の下、緑に囲まれた場所で飲んだり食べたりするのは気分の良いものです。

土曜日になると、二軒のカフェの間に蚤の市が出ます。この頃は店の数がどんどん増えて規模が大きくなってきたので、見て歩くのもけっこう時間がかかるようになりましたが、そのぶん楽しみが増えました。出ている物はほとんどゴミかと思えるガラクタや使い古した食器や家具、古本やレースなどですが、その中に混じって、高価そうなカットグラスやフルセットそろったお皿なども並び、ロココ調のアンティック家具を並べた店もあります。

今日はその店のアンティック戸棚の中にガラスの器が一個だけ大事そうに飾ってあるのが目につきました。アールヌーヴォーの有名なガラス作家「ガレ」の作品です。ちゃんとサインもありますが、まさか本物のはずはありません。でもちょっと気になったので値段を尋ねると、450ユーロ(約6万円)。イミテーションにしてもけっこうな値段です。

出店を見て歩く人の数はだんだん増えてきて、どの店も何人かが立ち止まって商品をさわったりしています。財布を取り出して買っている人はあまり見たことがないのですが、こうして出店の数がだんだん増えているのは商売が成り立っているのでしょうね。

そういえば店の人の顔は同じでも、並べている物はどんどん入れ替わっています。ちょっと前にはいくつも並んでいた木彫飾りの鏡、これはひとつ買いたいなぁと密かに思っていたのですが、それでなくても物がごたごたとひしめいている我が家のことを思い出して財布の蓋をパチンと閉めなおしたことでした。どちらかというと我が家にあふれたガラクタをここに持って来て並べることが先なのですね。そんなことで迷っている内にアンティックな鏡はいつの間にか姿を消してしまいました。

今日新しく目に付いたのは牧場関係の品です。大きなミルク缶とそれを運ぶ手押し車、そしてカウベルと羊の鈴などです。カウベルなどはたいてい板の上に無雑作に山積みにしてあるのですが、この店は横棒にずらりと吊るして飾ってありました。鈴の大きさは色々ですが、よく見るとほとんどの鈴には同じ村の地名が刻まれています。たぶんひとつの牧場が閉鎖して、まとまった物が出てきたのではないでしょうか。

蚤の市の出店の中にはセンスを感じる展示の店が時々あります。以前に見て面白かったのは、古いトランクの展示でした。皮製の大型トランクはどれもカビだらけですが、カビのおかげでひとつひとつが微妙な色合いに変化して、それを積み木のように重ねて展示してあり、色の重なり具合が面白いのです。それを展示した店主は普通の感じの親父さんなので、たぶん無雑作に置いたのでしょうが、隠れた才能が出てくるのですね、きっと。でもこのトランクはさすがに手で触れる気にはなりませんでした。

ところで毎回欠かさず出ているのが切手や古銭をあつかう店です。いつも二軒の店が出ていて、収集家らしき馴染みのお客さん達が群れています。今日はもう一軒別の店が出ていました。古切手がダンボール箱の中にどっさりと入っているのに興味を引かれてのぞいたのですが、その横に置いてあるお札のスクラップブックをひょいと見て驚きました。見覚えのある日本のお札。伊藤博文の千円札、岩倉具視の五百円札、そして板垣退助の百円札。ここまでは良く知っていますが、そのあとに並んでいるのを見てあっと驚きました。一瞬、中国あたりのお札だろうと思いましたが目をこらして見ると、それはまぎれもなく日本のお札です。「軍用手票五圓」「軍用手票拾圓」「日本銀行充換銀券」と印刷されたものです。「これはいったい何だろう?」と首を傾げてしまいました。

今まであちこちの蚤の市に行きましたが、日本のお札が売られているのは初めてです。しかも見たこともない戦時中の日本のお札にポルトガルで、このセトゥーバルで遭遇するとは…。日本で発行されてからいったい何人の手から手へ渡ってどういうルートを経てこのポルトガルまでたどり着いたのか…そう考えるとちょっと感動しました。ポルトガルはマカオやティモールをかつては統治していましたから、旧日本軍が使ったお札がそのあたりから流れてポルトガルまで来たのかもしれませんね。蚤の市を探検すると、時にはこんな発見があるから面白くて止められません。

画像右上:ミルク缶と手押しの種蒔き機
画像左上:木製一輪車
画像右中:カウベルと羊の鈴。手前は何?、畑を耕すもの?、脱穀機の羽?
画像左下:軍用手票。こんなお札は見たことない! 軍用手票(軍票)=軍用手形、軍事切手とも。戦地もしくは占領地で軍費支弁のため軍隊または政府が発行する特別の紙幣(百科事典マイペディア)。
画像右下:ついこの間まで使っていたけれど、今では懐かしい千円、百円、五百円札。

【短信】大晦日は例年どおり花火や各家が旧年の厄払いをする鍋たたきの音などで賑やかでした。一夜明けた元旦は物音ひとつしない静かな一日です。


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