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夏本番!ということはサルディーニャ(イワシ)の季節が真っ盛り。ポルトガルのイワシは美味い! でもイワシは一年中あるのではなく、6月ごろからメルカド(市場)に並び始め、9月の初めにはほとんど姿を消してしまいます。
6月の走りにはまだ型も小さくて脂もあまりのっていないのですが、7月ごろにはかなり大きくなって味も良くなり、値段もぐんと下がります。8月の声を聞くころにはイワシはぼってりと肥え太り、腹には卵や白子が詰っています。
メルカドで見ていると、ポルトガル人はどういうわけか大きいものより小さなイワシを買う人が多いようです。私はいつもまるまると太ったのを選んで買います。脂がこってりとのって、そのうえ腹わたがまた美味しいのです。まるで鮎のように、青海苔の香りがします。鮎は清流の青海苔を食べて大きくなるそうですが、ポルトガルのイワシも大西洋の青海苔を食べているから、腹わたまで良い香りなのです。1キロ買うと12〜3尾もあるので、その内の特にコリコリと活きの良い数尾を刺身用にさばいて、残りに塩をして焼き魚にします。
以前は近所の人の真似をしてベランダで炭火をおこして焼いていました。パチパチ飛んだ火の粉が危ないので、濡らした布を床に敷き詰めて細心の注意をしながら炭火焼をしたものです。でも、長年住んでいるうちに周りの松の木がどんどん大きくなり、ベランダのすぐ近くまで枝を張るようになりました。夏になると全国で山火事のニュースが毎日の様に流れるし、「こりゃいかん」ということで、涙を飲んでベランダでの炭火焼をやめました。そのかわり上に熱源の付いた電熱器を買って、キッチンで焼き魚をするようにしました。
煙はほとんど出ないので室内で使うには重宝ですが、炭火焼きに比べたら味がぐんと落ちます。しかたがないなと諦めていますが、決して諦めないのが、下の階に住んでいるメルローおじさん。土曜日になると、いそいそとメルカドに出かけて魚を買ってきます。そして二階から炭火焼のコンロや炭などの一式を抱えて下りて、玄関の外の駐車場で火を起こして魚を焼き始めるのです。うらやましい! でも我が家は4階なので、下まで降りて炭火焼をするのは体力的にとても無理です。そのかわり、時々レストランに出かけて炭火焼を味わうことにしています。
セトゥーバルのレストランはほとんどの店が道端に大掛かりな炭火焼のコンロを常設していて、冷蔵ショーケースには様々な魚が飾られています。お客は店の人と自分の財布とに相談しながら魚を選んで注文します。あとはオリーヴ漬けをあてに、ワインやよく冷えたビールを飲みながら、プロが焼いてくれる魚が運ばれてくるのをゆっくり待つだけです。プロの技術と炭火焼の煙が協力してできあがった焼き魚の味は、電気コンロで焼く魚の味とは雲泥の差です。
今日は久しぶりに港に面したレストランに出かけてイワシを注文しました。港の中には小さな漁船がたくさん見えます。午前中の漁を終えた漁師たちはいったん家に帰って家族と一緒に昼ごはんなのです。
レストランの前は広い石畳の舗道になっていて、そのほとんどを占拠するようにテーブルが並べられ、炭火焼の大型コンロと冷蔵ショーケースが常設してあります。私達は店の中よりも外のテラス席の方が好きなので、いつも外に座ります。巨大なパラソルが重なるように広げてあるので、強烈な太陽の熱とそしてカモメの糞の被害にあわなくてすむので安心です。まったくカモメの糞はどこから落ちてくるか判らないから困ったものです。
海からのさわやかな風に吹かれて冷たいビールを飲んで待つうちに、こんがりと焼けたイワシが運ばれてきました。大皿にぎっしり。少し小ぶりだけど二人分で18匹もあります。セトゥーバルっ子の自慢の食べ方に見習って、パンの上にイワシを一匹まるごと乗せて、骨を身からはずします。イワシの脂がパンにしみこんでバターいらず、とても美味しい。イワシが新鮮だから頭から尻尾まで、腹の骨も一本残らずみごとに抜き取れます。これはセトゥーバルの漁師の食べ方で、粋なセトゥーバルっ子はこうやって食べるのです。
隣に座った老夫婦も私たちと同様イワシを注文して、ご主人はパンの上でイワシの身を手づかみでほぐしながら食べています。奥さんはというと、さすがにそこまではしないでナイフとフォークを使ってお皿の上でイワシの骨をはずし、パンは別にちぎりながら食べていました。やはり女性は「手づかみで…」というわけにはいきませんね…。
画像右上:新鮮さを自慢する炭火焼おじさん
画像左上:ほら、焼き上がったよ! 炭火焼の大型コンロ
画像右中:サルディーニャ(イワシ)の煙がもうもうと漂う
画像左下:これで二人前。とても食べきれない!
画像右下:パンに乗せてイワシをむしる
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【短信】セトゥーバルでは、例年ならサンチャゴ祭が始まる7月下旬からは猛烈な暑さがやってくる筈ですが、今年はどうしたわけか、いつまでたっても爽やかなのです。いや、いつまで経ってもというより、1ヶ月も前倒しで秋がやってきた様な気候です。
7月27日には季節外れの雨も降りました。昼間の陽射しはそれ相応に強いのですが、朝晩には風が吹いて冷え込むのです。昨夜10時からセトゥーバルで行われた闘牛でも、せっかくルイ・サルバドールやテレスなど一流の闘牛士が来たのですが、きっと観客は寒くて震えあがったのではないでしょうか? 私たちもがっぽりと夏蒲団をかぶってやすんだほどです。まさかこのまま秋ということもないのでしょうが?
でも、やはりバカンスシーズンです。フランスやドイツあたりからもポルトガル人たちが帰省してきますし、南のリゾート地にもこぞって行きます。日本のお盆とそっくりの民俗大移動です。ここから見えるトロイアのビーチには人出も多く、あちこちから里帰りしてきているのか、家の前の駐車場には見慣れないクルマで満杯です。こんな時期にはみんな仕事は手につきません。水道屋も電気屋もお役所仕事もストップして、秋までオアズケです。(8/1)
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