|
1年ぶりに会ったインドネシア人の友人と会い、お互いに近況報告。友人はジーパンの上にバティック(*)でできたブラウスを着こなしている。最近バティックを身につけることが流行りなのかと聞いてみると、今年に入ってから若者の間では特に流行っているのだと。
そういえば休日にショッピングモールを歩いていても、バティックをお洒落に着こなす若者を目にする事が多い。民芸品売り場で良く目にしていたが、最近では洋服売り場に陳列されている事が多い。バティックの用途と言えば、サロン(腰巻き)として、結婚式等のフォーマルなイベントで利用するイメージであったが、最近は気軽に利用できるようにブラウスやTシャツの模様にも使われている。その他スカーフ、ハンカチ、ポーチ等小物にも利用されている。
流行りだした理由を聞いてみると、主に2つあって、(1)ただ流行り出したから、(2)自分たちの国の伝統を尊重し、大切にしていきたいという意識が若者の間で強くなったから。特に隣国マレーシアがバティックは自分たちの国に伝わるものだと主張したことから始まった。
このような問題はバティック以外にもあって、伝統的な舞踊、唄い継がれてきた童謡等、インドネシアの伝統文化だ、マレーシアの伝統文化だとそれぞれの国が主張している。半年前にはマレーシア政府がREOG ADANCEはマレーシアの芸能であると宣言した事に対し、ジャカルタのマレーシア大使館に東部ジャワに伝わる伝統舞踊のREOG DANCEのダンサーが抗議。マレーシアは宣言を撤回して謝罪し、インドネシア政府はマレーシアと国交を断絶するよう要請した。
有名な民謡「ラサ・サヤン」に関しても著作権をめぐってインドネシアとマレーシアが対立。インドネシアの議員が「ラサ・サヤン」がマレーシアの観光キャンペーンで利用されている事に対し抗議。一方、マレーシアの観光相は「この歌はマレー諸島で生まれたものであり、国内で代々歌い継がれてきた。インドネシアが自分たちだけの物と主張するのはおかしい」と反論。
現在の活動として、「この問題は国同士、地域同士の利害が対立するので、容易に解決できないが、少なくとも今やるべきことは、祖先から伝わる知的財産権の対象をしっかり把握し、誰が知的財産権を持つに相応しいか、解明すべき。自分たちの国の文化が他国で登録されたと怒るよりも、まめに著作権を登録して権利を守るほうが大事」と大統領が演説するほどまだまだ国民の知的財産に対する意識が低い。
先に出た有名な歌を初め、バティック、ワヤン・クリット(影絵芝居の人形)、クロンチョン(伝統音楽)など、インドネシアの文化や芸能で、マレーシアにより著作権登録されるものが最近、相次いでいる。
若者が積極的に立ち上がり、祖先から受け継がれている伝統文化を大切にして行くのを見て頼もしく感じた。
(*):バティック:インドネシアで昔から伝わるろうけつ染めの特産品。インド、タイ、スリランカでも多くみられるが、インドネシア・マレーシアの物が多い。特にインドネシア・ジャワ島のものが非常に有名で「ジャワ更紗」と呼ばれるほど。バティックははじめ、ジャワ宮廷の高貴な女性のたしなみとして行われていたが、宮廷の女官に伝わり、一般庶民に普及した。
-文中の画像-
画像上右:定期的にバティックのファッションショーが開催される。
画像上左、中:最近はバティックの布を利用して現代風にアレンジ(婦人服売り場にて)。
画像下左、下右:数えきれないくらいの種類の柄がある。伝統的な着用方法は腰に布を巻く。
----------------------------------
 
画像:バティック作りの実演。チャンティンを器用に使いこなし、模様を描いている。染めようとする色以外のところを蝋で覆い(着蝋)、染色。布に色がついたら布をお湯につけて蝋を溶かす(脱蝋)。複雑な模様、多くの色を用いるほど、着蝋、染色、脱蝋の工程が多くなる。
----------------------------------
 
画像:バティックの材料となるロウと模様を描く道具(チャンティン)。昔は手描きがメインだったが、大量生産のために類型的な模様は銅のスタンプにロウをつけて、布にロウ置きをし、細かい部分は手描きをする事も多い。
----------------------------------
 
画像:服以外にもぬいぐるみ、クッションカバー、テーブルクラス等生活用品にもバティックは使われている。
----------------------------------
|