■夢を架けるダンス 2008.2.19 update

かつて『幸せ家族計画』(TBS系列、1997年4月-2000年9月)というテレビ番組が大変人気があったのを覚えていらっしゃいますでしょうか。お父さんに宿題が与えられ、一定の期間内にそれをマスターし、ステージでミスなく発表できれば豪華な賞品がその家族に贈られるというものでした。

テレビ番組『夢を架けるダンス』はそのコスタリカ版のような感じです(地元7チャンネル、「テレティカ」にて毎週土曜7時からライブ放送)。しかし、内容の圧倒的な違いは、モノが裕福な日本では『家庭ではスポットライトの当たらないお父さんを家族の主役に引き戻そう』というのが視聴者の共感を呼びヒットの引き金となったわけですが、コスタリカ版は『出場者の家族が物質面でなんらかの極地に陥っている』という、一歩外へ出れば現実にその社会があるという貧富の差というリアリティーが共感を呼んだようです。

もともとコスタリカではアメリカのケーブルテレビが主流なため、自国の番組に殆ど脚光が浴びていないのが現状でした。そこで登場したこの番組『夢を架けるダンス』(スペイン語名:バイランド・ポル・ウン・スエニョ)は年齢層を問わずコスタリカ人の話題を独占しました。具体的な内容は、数週間かけて数組のペアがそれぞれの夢のためにダンスを披露するというものです。

ダンスというのがラテンらしさを象徴しています。それぞれのダンスの前に、その家族のVTRが大モニターで流されます。日本のように『新しいゲームが欲しい』、『冷蔵庫を買い換えたい』などの悩みとは程遠い、『事故で足を失った娘の渡米・手術費用が必要』など、本当に切羽詰ったものばかりで、スタートのVTRの時点で多くの人が涙こらえてモニターを見つめています。この番組を初めて目にしたとき、『見られる夢』というのが国によってこんなにも違うものだということに気付かされました。

メインのダンサーは本人が踊る場合もあれば、その家族を支えたい別の人、有名芸能人が彼らの為に踊ったり、と様々です。番組で話題を呼んだダンサーのひとりとして、元コスタリカ代表の正ゴールキーパー、エリック・ロニスさんなどが挙げられます。一流スター選手が何の接点もない貧困な家族の為に立ち上がる姿は多くの国民に支持されました。

番組を見ている途中、ふと『有名人ならば実費で助けてあげられるのでは?』という『情熱のラテン』に反するコメントしたため、筆者は周囲から反感を買ってしまいました。

激闘の末、悲願の優勝を果たしたのは、口の上顎部分が麻痺して会話に障害のある娘のために踊り続けたその母、ヘイゼルさんと、地元TV局のプロデューサー、マウリシオ・ホフマンさんのペアでした。番組から少女に手術代など全ての費用が贈られた際、多くの人が感涙しました。

番組はその初回のみの予定だったのでしょうが、あまりにも反響が大きく、突然大きな方向転換をしてしまいました。ここからはまさにラテンのノリと勢いだけです。どうやらこの番組、オリジナル発祥地はルーマニアらしく、コスタリカはじめ中南米諸国でも似通ったバージョンで放送されていたようで、それらの国のチャンピオン(?)を集め世界大会にしてしまおうとなってしまったのです。

ここから先は何の感動もないただのダンス大会なのですが、その余熱から更に番組を支持する声が寄せられています。『あの感動は何処へ?』とまたしても冷視してしまう筆者ですが、クリエイティブでレベルの高いダンスにただただ見入り、純粋に番組を楽しんでいます。

テレビ番組を一つとってもその国の文化や現在の状況などが垣間見られるものです。

画像上右:番組『夢を架けるダンス』と共にコメントの良さで人気を得た司会者のふたり。男性の方は、心なしか久米宏さんに似ています。
画像上左:元サッカーA代表の正ゴールキーパー、エリック・ロニスさん。
画像下右:最終審査の様子。
画像下左:みごと優勝を果たしたヘイゼルさん(右)とマウリシオさん(左)。


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