誕生日、それは世界中の誰もが平等に持っている日。そのお祝いの仕方は各国ユニークです。さてここコスタリカでは一体どういった誕生日のお祝いをするのでしょうか?誕生日プレゼントに誕生日ケーキ、実は子供たちにはそれ以外にもピニャ−タという楽しみがあるのです。
右の写真を見てお気付きになった方もいるかも知れません。ちょうど中央部から紐でつるされている物体がピニャ−タです。ピニャ−タとは直径30センチ、幅20センチくらいのダンボールより少し薄い型紙を貼り合わせて作られた中が空洞の箱です。その箱の表裏に好きなデザインを施します。その中にお菓子やプラスチックの玩具等をぎっしり詰め込みます。そしてスイカ割りのように棒で箱を壊してお菓子を落とします。
大型スーパーなどでは既にデザインが施され、後は中にお菓子を詰めるだけのピニャ−タがパーティーコーナーにところ狭しと並んでいます。ミッキーマウス、ポケットモンスター、ドラゴンボールなど日本でもお馴染みのキャラクターたちが人気を集めているようです。価格はデザインが全て施されたもので5,000コロン(1,000円)程度です。中にぎっしりお菓子を詰めて2,500円程度になります。
スイカ割りは目隠しをしますが、ピニャ−タでは目隠しの必要がありません。天井から斜めに伸びた紐の先を一人の人が握り上下左右とタイミングに合わせて挑戦者の動きを見ながらコントロールするのです。棒を振り下ろすタイミングにあわせピニャ−タが動きます。一見簡単に聞こえますがこれが本当に難しいのです。挑戦者が空振りすると『オーレ、オーレ』という闘牛のときにかけられる歓声が飛び交います。ラテンの陽気さが伝わってきます。
実はこのピニャ−タ、そう簡単には割れる物ではないのです。10回はおろか、20回、30回とたたく必要がある場合もあります。主役の誕生日の人が初めと最後をつとめ、中間は子供を中心にいろいろな人がたたきます。箱が割れるには10〜20分ほどかかります(殆どの場合、小さな穴があいた時点で箱を引き裂きます)。
さあ、いよいよ主役が最後の一振りを翳そうとしています。ここからがピニャ−タの凄いところです。ピニャ−タが始まる前に全員に拾ったお菓子を詰めるための小さな袋が配られます。最後の一振りが近づくと、皆一斉に場所取り合戦です。箱が割れたと同時に皆ハイエナの如く散らばったお菓子を拾います。大人も子供もハンデはなし、とにかく拾った者勝ちというのが非常にラテンらしく笑えます。主役は当然箱を割るのに必死であまり拾うことができません。悲しきかな、主役はケーキの火を消した時点でその座を失いつつあるのです。
ピニャ−タの由来はイタリアで、キリスト教の感謝祭の際、農家の使用人に土鍋にフルーツなどを入れてプレゼントされたのが始まりとされています。その後スペインへ渡り、スペイン植民地の各地へ広がり、それぞれの文化がミックスされ今日のピニャ−タへと至ります。
ピニャ−タが終わると誕生日ケーキを食べ、サルサ、メレンゲなどダンス、カラオケなどが始まります。この時点で既に誕生日パーティーの雰囲気は全くありません。日本と大きく異なるのは、誕生日を迎えた当事者の年齢に関わらず大人も子供も楽しむという習慣があることです。
誕生日パーティーをはじめ、通常の個人が催すパーティーには決まった時間の設定がありません。流石に開始の時間は形式として報告はされますが、それぞれが思い思いの時間に現れます。10時からの開始で最初に来た人が11時なんてことも決して珍しくありません。コスタリカにはパーティーには30分の遅刻が礼儀と言われます。一見ラフで気楽に見えますが、小さいころから時間について厳しいしつけを受けてきた日本人にとって、きめられた時間から意図的に遅刻するというのは意外に難しく、場合によってはストレスになってしまうものです。日本人とコスタリカ人が混合するパーティーでは、日本人ばかりが最初に集まってしまうという滑稽なシーンもしばしば見受けられます。
パーティーの終わりの時間はなく、それぞれ好きな時間に帰ります。人がまばらになり始めた適当なところで誕生日パーティーは幕を下ろします。帰路を急ぐ皆の手にはピニャ−タで勝ち取ったお菓子が大切そうに握られています。子供から大人まで楽しむピニャ−タ、日本の誕生日パーティーで登場すれば人気が出るかも知れません。今日は日曜日、ピニャ−タ売り場には大勢の人が思い思いのピニャ−タを探しに来ているでしょう。
□『ハッピーバースデー』スペイン語版の歌詞
Cumpleanos feliz
Te deceamos a ti
Cumpleanos ○○○(人の名前)
Cumpleanos feliz
画像上:主役の女の子。プレゼントをたくさん貰いました
画像中:ピニャータに挑戦!後ろで紐を握っているおじさん(右から二人目)が操作します
画像下:流石ラテンですね。こんな小さい子もダンスを踊ります
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