■コスタリカと落語 2006.11.21 update

「マンガ」「カラオケ」「ツナミ」は、コスタリカでもかなり定着した日本語です。また、コスタリカ人相手の日本食レストランも近年急に増えて、既にサンホセ市内だけでも40軒以上あり、お箸を使えるコスタリカ人も増えてきました。街では米国車や韓国車もありますが、日本車が半数近くを占めており、野外に適した日本の4WDが人気車となっています。

スポーツにおいても、日・韓ワールドカップへのコスタリカの出場、2005年末に日本で行われた、トヨタカップへのコスタリカクラブチーム・サプリサの参加、そして、2006年10月31日から始まったバレーボール世界選手権へのコスタリカ女子ナショナルチームの出場など、日本との接点も増えてきました。文化面でもサンホセ市内に日本語学校はもとより、剣道場、柔道場、囲碁クラブ、盆栽クラブやアニメクラブなどがあり、日本に詳しいコスタリカ人も徐々に増えてきました。

11月4日から10日まで、日本大使館、コスタリカの文化省、コスタリカ大学、その他多くのコスタリカの文化・スポーツ団体が一緒になって第4回目の「日本週間」が開催されました。邦楽コンサート、空手・柔道・剣道・合気道デモンストレーション、囲碁教室、生け花展、盆栽展、日本語弁論大会等様々なイベントが行われました。

その中でもここ3年間、人気を博しているイベントは、「スペイン語落語」です。コスタリカ人にはなじみのない「正座」をした噺家のセリフと、袖に隠れたお囃子の効果音で、観衆一人一人に想像の世界を創ってもらい、それが愉快だと感じさせる、300年以上の歴史を持つ古典芸能をどうコスタリカ人に伝えるか、いつも頭を悩ませるところです。

今年は、日本語を学習するコスタリカ人の青年「珈琲亭まめ吉」と、日本人学校の英語の先生「アグア亭クリス太郎」が挑戦しました。題材作りには私も協力しました。日本の古典落語をコスタリカ人に親しみがある内容にアレンジして、初めて落語に接するコスタリカ人に少しでも関心と興味を持ってもらえるよう工夫を凝らしました。

珈琲亭の落語は、「平林」(お店の名前)を題材に、漢字遊びをしながらお店を探す古典落語を、コスタリカ人の好きな「フライドチキン」屋にアレンジ。そして、アグア亭は、「酒粕」で酔っぱらいになる青年のお話を、コスタリカの伝統的なお菓子「ラム酒入りケーキ」に置き換えて、まさにコスタリカ風落語を作りました。ふたつの文化と習慣が見事にマッチし、観衆からはしきりなしに大きな笑い声が沸き上がりました。

スペイン語落語を通じ、一方向ではなく、相手の文化や習慣を尊重した上で日本文化を紹介することで、お互いの理解や親近感が深まることが実感できました。

□落語「平林」: 下男が「平林(ひらばやし)」に手紙を届けに行くのだが、誰のところかを忘れ、そのうえ宛名も読めない。仕方なく通行人に見てもらうが、「たいらばやし」、「ひらりん」、「いちはちじゅう(一八十)ぼくぼく(林)」などと勝手な読み方を教えられる始末…。

□落語「酒粕」: 「どうしたい、赤い顔して」
「酒粕食べたら、こんなに顔が赤くなっちゃった」
「酒を飲んだって言った方が、聞こえがいいじゃねぇか」

「おい、どうしたい。赤い顔して」
「お酒飲んじゃった」
「あまり飲みすぎるんじゃないよ」
「小さなかたまり一個だけ」
「酒粕食ったね。そんな時は、ほんの一杯だけって言うんだよ」

「赤い顔して、酒でも飲んだのかい?」
「うん、ほんの一杯だけ」
「冷やは体に悪いよ。燗したのかい?」
「ああ、焼いて食った」

画像右上:「第4回日本週間」のデモンストレーション風景。
画像左上:左から、司会を務めたジセルさん、アグア亭クリス太郎、珈琲亭まめ吉
画像右下:アグア亭クリス太郎の高座
画像左下:囲碁教室の風景。


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