■お金の扱われ方 2008.4.7 update

今年(2008年)3月1日より1フォリント(約0.6円)と2フォリント(約1.2円)硬貨が店先で使えなくなりました。それまで1、2、5、10、20、50、100フォリントの7種類が流通していましたが、二つ減ったことで2の単位を使う欧米諸国の中では硬貨の種類が一番少ない国となりました。

この消滅する1フォリント硬貨と2フォリント硬貨、とても小さいので小銭入れの隙間に隠れてしまうこともあるほどです。それほど小さい硬貨なのですが、造幣局での製造コストが硬貨の価値以上かかってしまい、更に市場であまり使われないとの理由で今回廃止されることになりました。

実際は3月1日から完全に使えなくなるのではなく、銀行や郵便局では9月まで両替に応じ、それ以降はハンガリー中央銀行が2013年3月1日まで両替をしてくれます。しかし5フォリントに満たない端数分の硬貨は切り上げ両替できないので、多くの家で記念硬貨となることでしょう。

1999年頃に消滅したフォリントの補助通貨フィッレールが同様に使えなくなったときは、使用期限の数ヶ月前から店などでは受け取りを拒否され、価格もフィッレールが表示されているにも拘らず全て切り上げられたことが思い出されます(例えば、30.20フォリントでも支払い時には31フォリント)。

今回は端数が1と2の場合は切り捨て、3、4、6、7の場合は5に、8と9の場合は切り上げとなります。政府は便乗値上げをしないように訴えかけているものの、フィッレール全廃時、切り上げの前例があるので多少インフレが加速することは否めません(例:251フォリントの商品を2つ買った場合、502フォリントが支払い時に500フォリントヘ。254フォリントが2つの場合、508フォリントが510フォリントヘ)。

先進諸国から見ると国全体ではまだ豊かでないハンガリーですが、マクロ経済的にはインフレになるのは確実なのにも拘らず、国民の約9割がこの2種類の硬貨廃止に賛成しています。裕福でない人々を含めて多く国民が支持をしていることは何だか不思議な気がしますが、普段、彼らがお金を粗末に扱っていることと関係がありそうです。

ハンガリーに来てからよくお金や物の値段についてよく話すようになったと思えるほど、彼らと接していると色々と普通の会話に入ってきます。歩いている犬を見て「その犬いくらで買ったの?」、初対面の人に「月収はおいくら?」など、最初は耳を疑うような質問が極普通にかわされます。

しかし、値段やお金に関して敏感なのにも関わらず、お札をクシャクシャにして持ち歩いていたり、スーパーやデパートのレジでお釣りの小銭を「いらない!」と受け取らなかったり、「1円を笑う者は1円に泣く」と教わった日本人の感覚からすると、お金を非常に粗末に扱っているように見えます。また1フォリント、2フォリントのお釣りをもらおうとレジで待っていると、怪訝そうな顔をしてケチとでも言いたげな店員にも数多く会ってきました。

そのお金に対する粗末な扱いの最たるものは、カウパレードという牛型のオブジェを街中に展示した時、1フォリント硬貨をオブジェに満遍なく貼りつけていたことです。また先週、ある芸術家がスーツから靴まで1フォリント硬貨と2フォリント硬貨を貼りめぐらせるパフォーマンスをしていました。

こんなにもお金を粗末に扱っていますが、ハンガリーは過去にお金で大変なことに巻き込まれていました。実は第二次世界大戦後、僅か半年で20桁以上のインフレに見舞われました。商店に並ぶ値札は日に何度も変えられ、毎日2倍以上のインフレがあったそうです。発行された高額紙幣は1垓(がい)ペングゥー(10の20乗、ペングゥーはフォリントの前の通貨)。恐らく今後も破られることのないハイパーインフレはハンガリーの汚点としてギネスブックに刻まれ続けるでしょう。このようなことが起こることはないでしょうが、小銭も大金の初めの一歩と思って小銭を扱えばもっとハンガリー人が豊かになるような気がします。

画像上:左から1フォリント硬貨、2フォリント硬貨、日本の1円硬貨
画像中:カウパレードで展示された、1フォリント硬貨を貼り詰めたオブジェ
画像下:カウパレードのオブジェを拡大

【短信】短い春の訪れを感じたのですが、地方を中心に急に0℃を下回る冷え込み見舞われ、果物や野菜の栽培に影響が出そうですが、余り大きな被害にならないといいのですが。(3/19)


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