■死者の日 2007.12.4 update

40℃前後に見舞われる灼熱の短い夏が終わりを告げると冬に向かって急速に気温が下がる大陸性気候。今年は割と緩やかに気温が下がってきましたが、既に小雪がちらつくようになってきました。例年冬が訪れる前、晩秋の柔らかな陽がさす10月下旬までは、栗や梨、葡萄が市場の棚に並びます。その中にハローウィンのお化けカボチャが仲間入りをし始めたのはまだここ数年の出来事です。

日本ではクリスマスのようにハローウィンのイベントが若者を中心に定着していますが、ハンガリーではアメリカを中心とした英語圏での風習だったためか、お祭り騒ぎをする習慣が長い間ありませんでした。それでも体制崩壊後、20年近くも経ち、資本主義しか知らない若い世代が増えてきたせいでしょうか、「西側」のイベント化されたハローウィンを楽しむような人も出てきました。無料のイベント情報誌では10月下旬のパーティーやイベントの告知が盛りだくさんですが、それに反して多くの中高年層が眉をひそめています。

11月1日は「万聖節」と呼ばれ、亡くなった方に祈りをささげる日とされ、多くのキリスト教国では祝日となっています。そして、その翌日が「死者の日」ですが、ハンガリーで11月1日と2日の意味合いが混同していて、この両日のどちらかにお墓参りに行く人がほとんどです。勿論、この両日を含む週末もお墓参りをする人で墓地・霊園は賑わいます。いつもはひっそりとしている大きな霊園もこの時期だけは周辺の道路が交通規制されるほど人にあふれ、花屋も一日中忙しく立ち回っています。

墓参者は亡くなった家族の墓石周辺の掃除をして、お花やロウソクを添えます。日中も多くの人が墓地を訪れるのですが、日が暮れてからのお参りが一般的で、夕暮れ時の添えられたロウソクの炎の揺らめきは幽玄な雰囲気をつくりだしています。

しかし、ゆったりとした時間がすぎる霊園内でも置き引きや強盗まがいの恐喝事件などが毎年起き、警備員などが巡回するような場所も残念ながらあります。また短期間に多くの墓参者が来るために、周辺の不法駐車などが年々問題となっています。それとは別に先祖代々の墓ではなく個々の墓をつくる風習のため、賑わいのある霊園とは対照的に過疎地化した地方の墓地は周辺住人にも忘れ去られ、寂しく風化している墓石も多く点在しています。

それでも、日本の霊園のようなお茶屋があったり、墓地と長年タイアップしていそうな石屋が多く軒を連ねていたりと、“人の終着駅”の墓地は形が違っても似通っているようです。この死者の日もさながら日本のお盆のように感じ、異文化の中にいても不思議と懐かしさがこみ上げてきます。

画像上右:市場で売られる、ハローウィン用飾りカボチャ
画像上左:混雑する霊園の主面入り口
画像中:花やロウソクが供えられたお墓
画像下左:霊園前の花屋
画像下右:過疎化が進み、朽ち果てた地方の墓地

【短信】雪がちらつくようになったブダペストですが、雪景色になるには冷え込みが今ひとつ足りないようです。(11/21)


<<もどる