|
今年の夏は灼熱地獄。観測史上では4年前の2003年にヨーロッパ全土を襲った猛暑が最も厳しく、35,000人の命が奪われました。まだ初夏である6月中旬の現在、今年はその記録を追い越しそうな勢いです。例年の平均気温を10℃近くも上回り、5月下旬では34℃を記録しました。農作物へのダメージが既に伝えられています。
野いちごやカシスが自宅の庭に咲き乱れる友人宅では、毎朝1時間以上の水撒きが必要だとのこと。5月中旬、乾燥した大陸性気候のブダペストでは珍しく連日朝晩に雨が降っていたのですが、そんな幸運の恵みの雨はもう望めなくなってしまいました。
熱波で命をおとすのは、主に子供、お年寄りや病気持ちの人々。用事がない限り日中の外出は極力避けるようにと、医者は警告しています。
日本の湿度を伴う暑さとは違い、空気が乾燥しているので汗をかかなくても身体の水分は知らない間にどんどん蒸発していきます。気がついた時には体内の水分タンクはからからに。脱水症状を避けるために、一日3リットルの水分補給を政府は呼びかけています。そのためか、郊外型ハイパーマーケットの広告はミネラル・ウォーターやビールの宣伝で満載。各メーカーがしのぎを削っています。ブダペストのスクランブル交差点デアーク広場では、水道局から無料の飲料水配布サービスが連日提供されています。
数年前に国際線バス発着所から市民の憩いの場に変ったエルジェーベト広場の水場では、Tシャツやジーンズ姿のままで飛び込む外国人旅行者の若者達が。直射日光が強いので、びっしょり濡れた服もすぐに乾いてしまいます。火照った身体を冷やすのは、人間だけではありません。噴水の水を飼い主に思う存分、掛けられている犬。まさに命の泉です。
政府はクーラーの効いた建物内で涼むようにも勧めていますが、クーラーが一般市民に浸透し始めたのはつい最近のこと。10年前にはクーラーの取り付けに50万円の費用がかかっていました。レストランや喫茶店での「エアコン完備」の表示は、当時、ご自慢の宣伝文句でした。そのため現在でも30代前半より上の世代は、長時間クーラーがかかっている環境に慣れていません。腰や背中、喉を痛め、頭痛がすると言っては顔を歪ませます。
今でこそクーラー本体の値段も取り付け価格もお手頃になり、銀行や保険会社などのオフィスで涼むことができますが、なるべくなら窓を開け放してほんの少しだけそよぐ風に煽られた方がいいと年配層のハンガリー人は思っています。
ジュルチャーニ首相は最高気温37℃が予報された週の始めに、職場でのネクタイやストッキングの着用規則をゆるめるよう雇用者に働きかけました。但し、日本の職場状況とは違って元々スーツやタイトスカートで勤務する人口が低いので、首相の声明に感謝した人はそれほどいないのではないでしょうか。
今年の農作物の出来に既に影響がでていることは前述しましたが、ブドウ栽培に関すると話は別になります。最新の機械が導入されて年々パワーアップしているワイン製造の品質管理。毎年変る天候と闘うワイン製造者に、「今年は降雨量が多かったから」、「日照り続きだったから」という言い訳はもはや通用しません。2003年の猛暑に勝利したのは、お天道様ではなくワイン生産者でした。2003年ワイン国際大会で、ハンガリーワインは9つの金賞と9つの銀賞を獲得しました。
あまりにも厳しい暑さにへこたれているハンガリー人。大ジョッキのビールでこの猛暑を乗り越え、秋には素晴らしいボジョレーを楽しんでもらいたいものです。
画像上右:36℃を指す温度計
画像上左:エルジェーベト広場の水場で、飼い主に水を掛けてもらう犬
画像中右:街中の飲料水サービス
画像中左:水浴び少女
画像下右:水に浸る市民
画像下左:市内で配られている飲料水パック
|