■郵便局の正念場 2007.6.5 update

対応が非常に親切なので頻繁に利用している近所の郵便局。営業時間が3時間短縮になるとのお知らせが入口に張り出されたのはつい最近のことでした。

ハンガリーでは公共料金の支払いに銀行引き落としを殆ど利用しないため、市民は振り込みのために郵便局をよく利用します。また小さな会社や一般家庭では切手の買いだめをする習慣がないので、郵便物を出す度に局の窓口に足を運びます。そのため日本と比べると全体的に営業時間は長く、24時間営業している郵便局もあります。その近所の局は朝8時から夜7時まで窓口が開いていました。

制度の変更によって病院が統廃合されたり、4月からは今まで無料で受けることができた診察が有料になったりと、医療サービスに対して市民に負担がかかるようになったことは前回ご紹介しましたが、郵便局でも市民に対する不便という「黒い影」が着々と忍び寄ってきました。

郵政省の台所事情が苦しいのは今に始まったことではありません。汗をかきながらバスや地下鉄に乗り込んでくる郵便配達人。そう、彼らは公共交通機関を利用します。布地が擦り切れたショッピングカーに葉書や封筒をこぼれ落ちそうになるほど詰め込んで。ボロボロなのはショッピングカーだけでなく、郵便マークの入った制服も。

どの公共機関も事情は似たり寄ったりですが、社会主義崩壊後に正さなければならなかった社会システムが放置されたままであったつけが、一挙に吹き出てきました。前述の郵便局の営業短縮はリストラの一環。今までの従業員2シフト体制が、1シフトに変更してしまったからなのです。

現在、国内の郵便料金は30グラム62フォリント(約42円)、50グラム90フォリント(約61円)になります。料金は毎年上昇する一方です。特別郵便、小包配達の料金なども、物価を絡めて日本の郵便料金と比較すると、決して安いとはいえません。

さて、局によって窓口の対応は大きく異なります。利用者に対応する教育が従業員全員に徹底的になされている局があれば、作業全てにため息をつく係員しかいないところもあり。「ここは親切だから、少々遠いけれどいつも足を運ぶんだよ」と、窓口に声をかける利用者。冒頭に述べた近所の局は、皆丁寧なのに面倒くさがりなのが玉に瑕。簡単な処理に対しては列を成す客を無視して延々と説明してくれますが、込み入った要求には「手続きが大変なので勧めない」、「多額の経費がかかるからやめた方がよい」などと、不適切なアドバイスで面倒な作業を避けようとします。

先日、書留で送付した品物が到着しないとの知らせを先方から受けたので、追跡調査を依頼しました。コンピュータには配達した記録があるとの一点張り。調査を引き受けてくれたのは三度目の申請の後でした。手書きの調査依頼申請書を携えて窓口に提出。ところが局側にはその申請用紙の雛形がありました。書留の不達によるクレームは非常に少ないと笑いながら書類を作成してくれましたが、聞くところによると「100件に1件ほどの割合」とのこと。非常に多いと感じるのは私だけではないと思います。

ハンガリーの郵便事情はキリスト教を国教に取り入れた11世紀から18世紀頃まで、特権階級の王侯貴族が使者に手紙や書簡を運ばせていた程度でした。その時代、一般人は旅行者や行商人、貿易商に長距離の手紙や小包の配達を個人的に依頼していました。

18世紀初期にセペシ・ヤーノシュによって郵便ネットワークが漸く構築され、1722年7月に郵便サービスが国営化されました。その後、ハプスブルク王室より支局の設立が指示され、それぞれの事務所のある建物には王家の紋章が掲げられました。郵便料金は統一され、配達ルートも設定されました。また1752年にはウィーンとブダペストの間に郵便のための定期便が運行し始めました。

現代社会では、より速く、間違いなく物が運搬されるのは当然のこと。ブダペストでは民営の配達サービス会社が登場し始め、競争社会に入りました。一方でブダペスト中央郵便局の建物は海外企業から出資によって修復が始められるほどの財政難。安く、速く、安全に、確実に。利用者の尽きることのない要求にどこまで対応できるかがこれからの正念場です。

画像上右:8-19時から10-18時への営業時間変更のお知らせ
画像上左:郵便ポスト
画像下右:郵便局の入口
画像下左:郵便収集車

【短信】此方は5月初旬にも拘らず地方では記録的な寒さとなり、農作物が氷結してしまい大被害が出ております。しかし、ここ最近の暑さはその寒さをすっかりと忘れさせられてしまうほどの初夏の陽気。正午近くなると30℃を越える猛暑となってます。(5/24)


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