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ハンガリーに住んでから幸いにも私自身、まだ入院も通院もお世話になったことがありませんが、ここのところ身の回りに病院に絡む話が多かったのでハンガリーの病院事情を総括。
まずはハンガリーの119番、救急について。救急の電話番号に掛けると症状や状況によって適切と思われる病院の電話番号を「教えて」くれます。必要な医療施設などへ直接電話を繋いでくれないところがハンガリー救急クオリティです。ある知り合いは救急車で他の患者と乗り合いを経験したとのこと。一刻を争うような怪我ではなかったためか、他の患者を乗せるために救急車が遠回りをして痛みに耐えなければならなかった時間が大幅に伸び、その知り合いは激怒していました。
さて救急で病院に運ばれた後、もし入院することになったら何が必要でしょうか? パジャマやタオル、スリッパは日本と同じでしょうが、トイレットペーパーや石鹸、スプーンも持参しなければなりません。なぜならばトイレにトイレットペーパーは備え付けられてませんし、洗面所に石鹸はありません。そしてトレイの病院食にはスプーンもフォークもナイフもありません。
更に一番頭を痛めるのが、食事と飲み物の調達です。現在ハンガリー国内の病院の殆どが経営難で、病院食はコスト削減対象の筆頭に挙げられます。朝晩はチーズやバターを塗った食パンが2枚。昼食は塩・糖分が非常に高いハンガリー伝統料理。食事内容によっては病気・怪我を少しでも早く治す一助となりますが、ハンガリーの病院食を見る限りではそれがあてはまらないようです。また「ビタミンを充分とって、たくさん飲んで、栄養をつけて」という看護婦からの指示は、家族からの食事や飲み物の差し入れがあることが前提となっています。そうでなければ寝ているだけの患者にとって、カロリーさえも足りない病院食からどのように栄養を摂るのか疑問です。
今まで採算性が伴わないのにも拘らず、共産主義時代の名残で医療機関は全て無料だったのですが、漸く医療現場に大きなメスが入りました。この4月から制度が大幅に変わり、病院の統廃合、政府からの薬代補助の減額、検診料支払いなど、患者の負担が一挙に増え、国民はその負担にあえいでいます。例えば今まで無料で受けられた診察が300フォリントの有料に。年金生活者の老人などは、支払い窓口で係員にごねたり愚痴をこぼしたりしますが、日本円で約200円。スウェーデン人の友人は、「スウェーデンでは初診料は数千円。ハンガリー人は500フォリント(約330円)のお昼の定食には迷いもなく払うのに、300フォリントの診察料に何を文句を言ってるのか」と笑っていました。
採算度外視経営を続けてきた病院の台所にとって診察料300フォリントを一律徴収したところで焼け石に水です。ですから患者とのやり取りを直接行う現場では、病院の会計が借金取りのように振舞っています。麻酔が切れたばかりで朦朧としている患者に、健康保険適用外分の差額の請求書を叩きつけたり、患者の家族にいつまでに支払えるのか詰め寄ったりと殺伐とした光景に出会うこともあります。
医療問題は日本にもたくさんあるでしょうけれど、ハンガリーも今が一番の正念場です。医療機関に係わる人々の失職、医療を利用する国民の負担。命を守るのにお金が掛かるとは全く思っていなかった国民にとって、4月からの制度変更は大きなショック療法です。時間をかけてすこしずつ慣れていってほしいと思います。
画像上:病院内部
画像中:朝晩は、チーズやバターを塗った食パン
画像下:昼食は、塩と糖分が非常に高いハンガリー伝統料理
【短信】一昨日はメーデーで、各地で様々な催し物が行われました。共産主義時代は労働者が花形で労働者のためにメーデーも意義のある特別な日でしたが、最近は単なるイベントのひとつとして家族連れで賑わっています。(5/3) |