大事なクリスマス、賑やか大晦日、元旦のみのお正月 2007.1.16 update

ハンガリー人にとって一年で最も大切な祝日クリスマス。中央広場ヴォロシュマルティのクリスマス市など、市内の装いは時代と共に華やかさを増してきたように見受けられます。以前は炭火焼のソーセージやハンガリー・シチューを提供する屋台は長蛇の列、特設の食事用テーブルは席の取り合いでした。近年では興行側の手順とブダペストっ子の両者が「お祭りパターン」に慣れてきたのか、屋台やお土産屋前の人の流れはスムーズになってきました。数年前に登場した釜で焼かれるピザ生地ベースの「ポンパーシュ」、牛乳と小麦粉を練り木の筒に巻いて香ばしく焼くハンガリー人にとって懐かしい「クルトシュ・カラーチ」など、食べ歩きを楽しめる暖かいおつまみ系も増えました。

一昨年の12月のクリスマス市が開かれた直後、広場に面する工事中の建物の足場が崩れおち、いくつかのブースが警察の指示により数日間閉鎖させられました。「オフィスビル建設予定」の発表後に長い間放置されたヴィガドー劇場裏側の建物。アスベストが発見されて解体がなかなか進まず、やっとのことで着手された解体工事途中の出来事でした。ソーセージを粉塵の中で食するお客さん達からは大クレームもあり、来年こそはきれいな建物の横で安心して買い物や食事を楽しみたいと多くの市民が期待しました。しかし、昨年も見事に裏切られてしまいました。一年も経つのに結局工事終了予定は大幅に遅れ、クリスマスの賑わいとは全く無関係に作業が続けられています。

お土産屋や屋台だけでなく、毎年市民が心待ちにしているのが国会議事堂前に張られるスケートリンク。昨年10月に起きたデモのため警察からストップがかかり、設置場所がドナウ川沿いに位置する科学アカデミー前駐車場に変更となりました。国会議事堂と科学アカデミーはさほど距離は離れていないので、利用者にとってそれほど不便はなかったはず。17年もの歳月をかけて建築された荘厳なゴシック・スタイルの国会議事堂や、ドナウ川を見渡しながらのスケート。冬が厳しい国ならではの、贅沢なひとときといえるでしょう。

簡単ではありますが、クリスマス特別料理をご紹介しましょう。代表料理としては、ケシの実やナッツがぎっしりとつまったロールケーキ「ベイグリ」、魚スープ、七面鳥のオーブン焼きなど。普段は魚料理にあまり馴染みのないハンガリー人ですが、このときばかりは中央市場の地下魚売り場は多くの人々で賑わいます。海がないので魚の種類は鯉や鯰。真っ赤なパプリカ粉をふんだんに使ったスープは男の中の男料理。お父さんが腕をまくって魚の鱗を丁寧に剥ぐところから料理が始まります。

肉売り場は家禽類と牛・豚の販売の取り扱いが分かれているのですが、クリスマス前は家禽専門店の圧勝です。数ある鶏屋さんのガラスケースの前では家族連れが品定め。必要な材料を書き付けたメモを上から順に「首のついた鶏一羽、七面鳥2羽は首なしでね。」と読み上げるお父さん。きっとオーブンは満員電車のごとくでしょう。

海外資本が中心の郊外型ハイパーマーケットのレジは、特別料理の材料購入で長蛇の列。乳製品の棚が空っぽだ、必要な種類の粉がない、と血眼になってマーケットのハシゴをしていたのは数年前。24時間営業の店も増え、在庫管理も上手になりました。

そんな折、12月初旬にブダペスト近郊の倉庫で賞味期限切れの商品が大量に見つかるという事件が報道されました。卵や乳製品、加工肉などの賞味期限が倉庫や印刷施設で改竄され再包装されていたとのこと。近頃極端に安価な食品がスーパーの棚に並んでいるのが目に付きますが、いくつかの商品の搬入はこれら違法のルートからなのかもしれません。クリスマスに食中毒を起こした人がいなかったことを願うばかりです。

さて、クリスマス当日の24、25日。家族大集合で一日中飲んだり食べたりという形式もにわかに変化してきました。殆どの店が閉店、閑散とした街中を木枯らしに吹かれコートの襟を立てた観光客がホテルのラウンジでコーヒー一杯にほっとしていた時代は過去のこととなりました。24日午前中まで営業する店でシフトにあたったために客に当り散らすような従業員は減り、カップルや友達同士で催されるミニコンサートなどを楽しむ人々が増えてきました。それだけ娯楽が増えてきたということでしょう。

クリスマスが終わると年末に向けて一直線ですが、趣きは日本の大晦日やお正月とは全く異なります。翌年に向けての祈願や初日の出への想い入れはありません。シャンパンの泡を派手に飛ばして、威勢良くカウントダウンします。

大晦日にはソーセージを食べ、元旦には縁起を担いで平豆のスープを飲みます。クリスマス後の一週間、大繁盛していた家禽店に対する牛・豚専門店の復讐が始まります。ガラスケースにはピラミッド状につまれたソーセージの山が。2キロ、3キロ単位で購入するハンガリー人。あとはシャンパンを用意して新年を迎える準備をするのみ。

今年は1月2日が火曜日にあたり新年早々仕事始めとなって、オフィスや街中はあっという間に日常に戻ってしまいました。少なくとも3日間はお正月気分に浸りたい日本人としては、日本から送ってもらったよくのびるお餅と同様、緩んだ筋肉に早速鞭をうたなければなりませんでした。

画像右上:大晦日の賑わい、ヴァーツィ通り
画像左上:聖イシュトバーン大聖堂前のクリスマス・ツリー
画像右下:現代アーティストのデザイン、ライトアップ
画像左下:科学アカデミー駐車場前の特設スケートリンク

【短信】昨年はホワイトクリスマスとはなりませんでしたが、元日は夕方から少々雨が降りました。ブダペストは既に通常の様子に戻り、まだお正月を楽しむ日本の報道を見ると戻り寂しい限りです。(1//4)


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