■ブダペストのCow Parade 2006.8.1 update

早朝からメイン通りヴァーツィが観光客でごったがえす旅行ピーク・シーズンの7月、ブダペスト市内でひとつの企画が実行されました。それは「Cow Parade」。ニューヨークやロンドン、チェコのプラハやポーランドのワルシャワで既に開催されたこの一種のお祭りが、今年の夏ブダペストにも上陸したのです。

芸術家達によってペイントされたグラスファイバー製の牛が54体、ブダペスト市内に飾られました。旅行者が訪れる有名観光場所、多くの若者が集まる繁華街、市民が待ち合わせをする広場など、人目を引くスポットに置かれています。芸術家たちが自分達の腕を奮ってデザインした牛、それぞれの美的センスが問われます。

「Cow Parade」は1998年にスイスのチューリッヒで始まりました。日本でも2003年に東京・丸の内でこのイベントが行われました。2006年にも開催を予定しています。2002年にブダペストへの誘致がありましたが、当時は「芸術的行為として不真面目である」という芸術家たちの抵抗にあいました。不真面目かどうかは今年の夏に、人々が判断を下しました。行き交う地元民や旅行客が遭遇する様々なデザインの牛を鑑賞し、写真を喜んで撮っています。

それでは、芸術家達が自慢の芸術的センスを奮って仕上げた作品、いくつかご紹介しましょう。

市内の中央広場であるヴォロシュマルティ広場に展示されている牛は、1フォリント硬貨が体中にはめ込まれた黄金牛。硬貨が何枚使用されているか数えた人が必ずいるはずです。はめ込まれた硬貨が100フォリント(約54円)であったなら、設置されたその日の夜中にすぐに持ち去られていたことでしょう(画像左)

中央市場前の喫茶店アンナ・カフェの横には、有名サラミメーカー「Pick」をもじった「Pack」のロゴが印刷された牛。お尻部分がスライスされているのは、そのままサラミとしてパックされるからなのでしょうか(画像中)

地下鉄3番線駅のフェレンツィエク広場に佇む空色の牛の腹部には、「障害者の方には席をお譲り下さい」マークが入っています(画像右)

若者の集まる繁華街リスト・フェレンツ広場の牛は、留め金と南京錠をまとったヘビメタ風(画像左)

集客力のある設置場所と閑散とした所では、芸術的おもしろさには明らかに差があるように見受けられます。鳴り物入りでオープンしたのに既に閉鎖してしまったムーランルージュ劇場前の牛は、何の変哲もなくオレンジ色に塗られているだけでした(画像中/最上段)

そんな中、最も人々が行き交う場所のひとつである聖イシュトバーン大聖堂の前の大広場に設置された青光りする牛が物議をかもし出しました。「溶けるアイス」と名づけられた牛の臀部にはアイスクリームのバーが突き刺さり、顔は地面に溶けています(画像右/下)

この牛、デザインとしては最も良い出来栄えの一つだと思うのですが、設置された場所に問題があったようです。お尻が大聖堂の正面に向いていて、大聖堂関係者はカンカン。「Cow Parade実行委員会からは何の案内もなかった。芸術品に抗議しているのではないが、神を冒涜するようなデザインをわざわざ教会の前で曝さなくても。他の場所でもよかったのではないか」。

最初にこの牛が大聖堂の目の前に設置されているのを目にした関係者は警察に通報しようとしましたが、何とか思いとどまったとのこと。その日は土曜日で、6組の結婚式が予定されていました。「式を終えたばかりの可哀想なカップル達は、教会で式を挙げた後、人生の門出に目にしたものがアイスの棒が突き刺さっている牛の尻ですよ。不愉快だったでしょうに」。

牛のお尻が聖堂の正面と向き合ってしまったのは、多くの旅行者が大聖堂にやって来る方向に頭部を設置したため。Cow Paradeの責任者であるチコーシュ・ゲルゲイ氏は、政治的・宗教的意図は何もない、とコメントしています。「神への冒涜」とまで非難された「溶けるアイス」は、既に別の場所に移動されました。

他の都市で開催されたCow Paradeでも、盗難や破壊などの問題があったようです。展示は9月10日まで。その後芸術作品は一つずつ競売にかけられ、売上金はチャリティーに寄付されます。ある程度のスキャンダラスな事項は、更なる行事盛り上がりのためのエッセンスとなったかもしれません。

画像左:黄金牛にはめ込まれた1フォリント(約0.54円)硬貨(ヴォロシュマルティ広場)。
画像中:有名サラミメーカー「Pick」をもじった「Pack」のロゴが印刷された牛(中央市場前の喫茶店アンナ・カフェの横)。
画像右:留め金と南京錠をまとったヘビメタ風牛の後ろ姿(リスト・フェレンツ広場)。


【短信】本格的な夏が到来し、ハンガリーの海と謳われるバラトン湖が賑わっています。また、8月初旬には恒例のブダペストF1が開催される予定です。 (7/20)


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