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ビタミン欠乏症の季節がやってきました。ハンガリーではサラミやハム、肉の豊富さに比べて少ない野菜が悩みの種ですが、更に品揃えが貧相になる冬場はその悩みに拍車がかかります。昨年日本を旅行したハンガリー人の友人は、日本のスーパーマーケットでの豊富な野菜の種類に仰天したとのこと。
ハンガリーでは、健康維持のために栄養をどのように摂取するかという話題に余り関心が払われていません。ビタミンは果物から摂るかビタミン剤で補給すれば十分であると多くの人は考えています。医者もビタミン不足を補うために「フルーツジュースを飲むように」と指示しますし、患者が依頼すればビタミン剤の処方箋を即座に用意してくれます。
つい先日、ハンガリーの子供達は日常で野菜や果物を殆ど口にしないというニュースが報じられました。そのために学校でオレンジを配り始めるとのことですが、果物からのビタミン補給は必要以上の果糖が気になるところ。冬の市場や八百屋でキャベツや人参の山積みを眺め、肩を落としては一体皆何を食べているのだろうと首を傾げてしまいます。
夏と冬では出回る野菜の価格や種類に大きな開きがあります。ハンガリー人は値段が手頃な夏の時期に野菜を大量に買い込み、保存食づくりに勤しみます。行列を成してキュウリやパプリカを10キロ単位で購入し、数日かけてピクルスの準備。郊外の週末菜園や別荘のトマト畑では100キロ以上のトマトを収穫し、トマト・ピューレにするために大鍋でゆっくりと煮詰めながらバカンスを満喫。春から秋の収穫の恵みを保存食にすることで冬場にも引き継ぐ長年の知恵なのですが、日本人としては旬の冬野菜を楽しみたい、または火を加えられていない新鮮な野菜を口にしたいというもどかしさがあります。
それでも近年ではハンガリー人には馴染みのなかった比較的新しい野菜が、急速に人々の知るところになりました。「ブロッコリーという野菜の料理の仕方を教えて」と、数年前までその存在を知らなかった60歳の友人。ブダペスト市内のアジア人の増加に伴い、市場や八百屋でいつも見かけるようになった白菜や大根。健康食として注目されるようになったもやしなど、日本人の消費者としてこれからが楽しみになってきました。
その反面、思わぬ弊害もでてきました。外国産の安価な野菜や果物が季節を問わず輸入され、自国産のパプリカやトマトへのこだわりが薄れ、値段だけで外国産を躊躇なく選択するようになってきました。冬場になると夏の価格よりも4倍にもなる自国産の野菜から足が遠のき、ハンガリーの農業事情に悪影響を及ぼしました。頑なにハンガリー産の食材のみの購入を貫こうとするのは食が細いお年寄り達ばかり。値段が安い外国産野菜や季節はずれの珍しい果物に若い世代や大家族が惹きつけられないわけがありません。
その逆に「ハンガリー産トマト」などと値札に国産であることを強調し、地場物を愛するお客さんを逃さないよう健闘している八百屋もあります。「どいつもこいつも外国産ばかり買って、ハンガリーの農業が廃れることは我慢ならない」と店員に愚痴るお客さん。「うちはハンガリー産しか仕入れないよ」となだめる店員もいましたが、現実には安さの魅力にはなかなかかないません。実際、以前ではお目にかかれなかった季節はずれの安い外国産イチゴの山に、老若男女、先を争って列に並んでいました。
人として、手頃においしくお腹が満足することが一番重要。農業事情云々と政治談義に花を咲かせてもお腹はいっぱいになりません。しかし、一外国人としては食卓が豊かになるよう、更に外国産の食材が輸入されてもらいたいと願っております。
画像上:輸入された果物
画像中:ハンガリー産トマト
画像下:季節外れのイチゴに行列
【短信】クリスマス時期は暖かく雪にならずに雨が降り続いておりましたが、ブダペストにも数日前から寒波が襲い、夜間はマイナス10℃以下、日中でもマイナス5℃前後となりました。市内の道路は凍結防止に塩がまかれています。(1/26)
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