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規模の差こそあれ、他のヨーロッパ諸国と相違ないハンガリーのクリスマスと年明けの位置付け。クリスマスは家族で過ごす一年で一番重要な日となります。さて、この祝日のためにボーナスをはたいて大事な人にプレゼントを揃えますが、年々人々の購買力を掻き立てる各店舗の商品攻勢が強力になってきました。今年から付加価値税が25パーセントから20パーセントへ引き下げられたため、クリスマスの販売合戦に合わせて11月から引き下げ適用を前倒しにした大型電化店もありました。数年前からハンガリーに乱立し始めた外資系の郊外型ハイパーマーケットのおもちゃや電化製品の広告は、クリスマス時期になると派手やかさが際立ってきます。
また、社会主義が崩壊したばかりで在庫管理という概念があまり根付いていなかった90年代、クリスマスのケーキ作りに欠かせないバターや生クリームなどの基本材料が品薄になったりしましたが、客の動向や売れ筋を分析する販売戦略を外国企業から学ぶようになって、品切れを回避できるようになってきました。「物が少ない」代名詞であった社会主義から、「物に溢れる」資本主義に脱皮して、ブダペスト市民は品揃えが豊富になった店舗で予算オーバーの誘惑に駆られています。
中心広場ヴォロシュマルティにて開催される恒例のクリスマス市も、開催日をくり上げて開店し始めました。一ヶ月以上、市民や観光客の心を浮き浮きさせてくれる市も24日は午前中早々に店を閉め、外国人旅行者を落胆させていたものですが、今回は夜まで暖かい食事を提供する店がひとつふたつとでてきました。街中の商店も同様で、少しでも早く家族の元に帰りたい従業員が買い物客に不機嫌を振りまいていたものでしたが、昨年は24日午後でも開いている店が目に付きました。本場のクリスマスを垣間見ようとブダペストを訪れた日本からの旅行客が、閉店してしまったレストランや喫茶店の前で呆然と立ち尽くす光景もあと数年で完全に過去の話となるかもしれません。
当然のことながら、消費者は購買の甘い誘惑や良くなったサービスに慣れるのにさほど時間は要しませんが、販売者側が考え方を変えるには長い年月が必要となります。家族と過ごす大事な日にシフトがあたってしまった従業員は以前と変らず悠長に不幸を嘆きますし、閉店間際の買い物客にイライラを当り散らします。
祝日やお祭りの楽しみ方が物質的に贅沢になれば、提供する側は自分の楽しみを後回しにしなければなりません。販売戦略が更に突き詰められれば、家族の集いなどは一番最後になってしまいます。商品の選択肢が極端に少なかった時代を過ごした人の「社会主義時代の方がいつも家族と一緒にいてよかった」という愚痴を耳にすることもあります。商品が増え、サービスが良くなった代償として、皆の時間が削れていく考えが身に付くにはまだ時間がかかりそうです。
さて、クリスマス後に間を空けずにやってくる年明けは、ハンガリー人にとって歴史・文化的に然程重要な日ではありません。多くの会社、商店は1月2日から通常の仕事に戻ります。勿論、従業員はお祭り気分が抜けていませんので、仕事が始まっても集中力は低下、ミスが多発する時期でもあります。
年々商売合戦が派手になってきたクリスマスとは裏腹に、大晦日を外で楽しもうとする人々の活気が例年に比べてあまりなかったように見受けられました。目抜き通りヴァーツィなどの賑やかな界隈はハンガリー人よりも年明けを海外で過ごす外国人旅行客で占められていました。そのためか、ブダペストならではの羽目のはずし方が余り見受けられなくなってしまったのはちょっと寂しいことです。
カラフルな厚紙を巻いてできた1メートルほどのメガホン型の笛をブーブー鳴らしながら、道行く人の頭を遠慮なしに軽く叩くことが大晦日の風物詩です。しかし年毎にこの無礼講が下火になってきています。カウントダウンと同時に人ごみの中でシェイクしたシャンパン栓を開ける行為も流行らなくなったのか、新年が明けて大人しく栓を開けてお行儀良く乾杯する若者ばかりでした。興奮した若者が見境なく爆竹に火をつけ、多くの救急車が出動する騒ぎとなった一昨年の件を避けるため、行政側が爆竹の使用を禁止したことが静かな年明けをつくりだしたのかもしれません。
画像上:ホットワインの屋台に並ぶ人々
画像下:目抜き通りヴァーツィで大晦日を祝う人々
【短信】日本では寒波が襲っているヨーロッパのニュースが流れているようですが、ハンガリーでは雪が降ってもすぐに解けてしまったり、また雨が降ったりと例年に比べて冷え込みが緩やかです。(1/6)
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