■ローン社会の到来 2005.10.3 update

住宅や自家用車を購入する時など、高額商品の支払いは分割・ローンが一般的ですが、ハンガリーではつい最近まで住宅を買う時にですら現金一括支払いがごく普通に行われていました。現金社会に大きな変化が目立つようになったのはここ数年。外資系の電化製品店でローンを組んだ時の月々支払いのシミュレーションが、大型テレビやPC、デジカメの写真と共に広告の紙面を飾りました。またトラバント、シコーダなどの旧共産圏の乗用車が街中で見かけることが少なくなるのと反比例するかのように、西側の新車が増えたのも、低利息のローンが組めるようになったからです。クレジットカードも徐々にですが浸透し始め、個人経営の店舗以外ではほぼ使えるようになってきました。

特に住宅関連の売買でローンが組めるようになったことは画期的です。勿論それ以前でも銀行が個人にお金を貸してはくれましたが、住宅などの不動産の担保が必要で財産のない人にとって銀行が頼りになる存在にはなり得ませんでした。2、3年ほど前に「初めての住宅ローン」という会社が登場しました。その名の通り、この国で初めての住宅専門ローン会社で、共産時代に格安で簡単に住宅を手に入れた世代とは違う若い世代に受け入れられているようです。このようなローン会社ができる前は買い替えをする場合、「当方、**番地区**通り50平米のマンション所有、**番地区で70平米のマンションと***万フォリントで交換してくれる人求む」などの日本の不動産売買の概念を覆すような広告を日刊のクラシファイド(個人広告)でよく見かけました。

乗用車の分割払いも、経済が順調に伸び自動車会社の販売実績をつくりやすいハンガリーで、各社熾烈なローン利息割引合戦が行われ始めました。既にいくつかの会社では銀行の定期預金の利息よりも低い金利のローンが登場しています。更に120ヶ月ローンもあるほど販売熱心です。月々の支払いの安さに引かれてローンで購入する人が急激に増えましたが、ガソリンの価格が日本よりも高いハンガリー、その後が大変になると思うのですが。

さてローンの時代に突入したハンガリーですが、綺麗事を言ってもローンは所詮借金。分割をするなり利息をつけていつかは返さなければいけません。しかし、まとまったお金がなかったら車や家を買えなかった時代に育った人達には、月々の支払い可能な額で今まで手に入れられなかった物が買えるようになった事に喜び、その月々の支払いが借金であるという認識は薄いようです。

実際に広告でローンのシミュレーションが詳しく書いてあることは稀で、「月々僅か***フォリントであなたもこの車のオーナーに!」などの派手な文字が躍っています。また現金を貸す業者もかなり設立されてきており、「ローン=借金」の認識のない人が担保を失ったり、自己破産するようなことが徐々に出てきています。この間、地下鉄の刷り広告で見かけた「現金すぐ貸します!」の利息には驚いてしまいました。227パーセントから437パーセントの年利ですから、日本の悪徳金融もびっくりです。

経済が円熟しきっていない内から借金をしながら消費を謳歌する行為は、物が不足がちな共産時代に「商品があったらすぐに買え」の考えが根強く残っているのでしょうか。国の経済状態の上向き度以上に過熱気味のハンガリー人の消費、ちょっとこの先不安になってしまいます。

画像上:現金貸しますの広告。金利は227から437パーセント!!
画像下:120ヶ月ローンの乗用車の広告

【短信】日本も徐々に秋のニュースが増えてきているようですが、此方は寒冷前線の通過により、半袖で日中歩けた気温が薄手のセーターが必要なほどに気温が下がり、秋の深まりを感じるようになりました。また、9月から10月にかけて各地ではワインフェスティバルが開かれ、ブダペストでも数百の蔵元が集まるような大規模な催し物も9月は2つありました。これからはワインが美味しく感じられる季節ですね。(9/23)


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