■春の兆しがきた中央市場 2004.5.3 update

活力が一挙に沸き起こる春を待ち焦がれるハンガリー人にとって、今年の本格的な春の到来は少々遅れ気味。三月半ばに初夏の日差しが数日続いたものの再び寒さがぶり返し、4月も終盤に入ろうというのに未だにコートが手放せないブダペスト。乾いた草花に潤いを与えるしとしと雨にもうんざりし始め、一体誰が春を隠しているのかと噂しています。それでも暦通りにチューリップやアーモンドの蕾が開き始め、人々の心を和ませています。春の代名詞である猫柳や青紫色が鮮やかな小さなスミレの花束を、ブダペスト近郊からやって来た農夫達が例年通り路上で売り始めました。

いつまでも留まり続ける意地悪な冬に負けない生命力を見せてくれるのは、花々だけではありません。冬の間には姿を見せない野菜や果物が、続々と市場の店頭に登場してきました。

ブダペスト市内には5つの市場がありますが、ドナウ川に架かる自由橋のたもとの中央市場は、特にその美しい外観と歴史を誇っています。ハンガリー南部に位置する街ペーチ産のジョルナイ陶器を屋根に使用したアール・ヌーヴォー様式の建物内で、ブダペスト市民の胃袋を満たす食材が豊富に取り揃えられているとは、一体誰が想像できるでしょう。1897年に建てられた当時、商品は列車とドナウ川を下る船によって運搬されていました。現在では世界各国から旅行者が訪れ、店頭に山と積まれるハンガリー名物パプリカを背景に記念撮影をしています。そのため品揃えや価格が観光客御用達と思われがちですが、一般市民の立派な台所として、連日賑っています。

寒い冬の時期には、ハンガリー名物料理にかかせないパプリカやトマトですら品薄になり、価格が夏の数倍に跳ね上がります。春の日差しを一杯に浴びた元気な野菜の値段が下がり始めるのも今頃の季節。地元の人々はビタミン不足の冬に備えるため、夏になると保存食用として自家製ピクルス作りに、数十キロ単位で野菜を購入します。

野菜だけではありません。ハンガリーの果物は質が良く、外国人には大評判です。5月になると、イチゴや木苺、野イチゴなどのベリー系が充実し、6月になるとプラムやサクランボが店先を鮮やかに彩ります。商品は通常キロ単位で販売され、値段がリーズナブルなため、つい欲張って購入してしまいます。あまりの量の多さと重さで、買い物袋の中でそれぞれの果物の実がお互いを押しつぶしあい、家に到着する頃にはジュース状に。慣れたハンガリー人は実がつぶれないように、家から容器を持参します。

建物二階には、きれいな刺繍がほどこされたテーブルクロスや民族衣装を販売する土産屋が立ち並んでいます。ハンガリー人の日常生活を垣間見ることができるだけでなく、お土産物も揃ってしまう優れ場所の中央市場。買い物疲れの後には、本格的ハンガリー料理をつまめるビュッフェスタイルのスタンドや、ワインやビールが飲めるカウンターでほっと一息。

時間がある方は地下にも足を延ばしてみては。海のないハンガリーにとって、魚といえばナマズや鯉、チョウザメのこと。パプリカの粉をふんだんに使ったこくのある魚スープの材料が、いけすの中で元気に泳いでいます。キジや鹿などの獣肉を扱う専門店もあり、興味はつきません。











画像右上:「中央市場」は、このアール・ヌーヴォー様式の建物の中にある。
画像左上:店頭には、旬の野菜や果物が並ぶ。
画像右下:粉のパプリカなどが売られている土産店。
画像左下:魚屋。生け簀の中には鯉が。

【短信】此方はぐずつきの天気でしたが、本日(4/22)は久々に朝から青空が広がっています。また一昨日夜には、サッカー日本代表が訪洪し、地方都市、ザラエゲルセグで行われる25日の試合に向けて昨日からブダペストの練習場で汗を流しています。


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